タヌキのきょうしつ

  • あかね書房 (2019年7月16日発売)
3.81
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Amazon.co.jp ・本 (79ページ) / ISBN・EAN: 9784251005533

作品紹介・あらすじ

昔、広島の小学校で夜になるとタヌキが勉強をしているという新聞記事が載ったことがありました(本当のことです)。タヌキだって勉強したい!学ぶ楽しさはタヌキだって同じなのです。教頭先生の手助けもあってタヌキの小学校は大盛りあがり。けれど時は流れ、世の中は戦の色が強くなっていきます。学校ですら安全な場所ではなくなりました。タヌキの学校はどうなってしまったのでしょう…。たくましく生きる人々とタヌキたちの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 低学年生にお勧めの本を探していて、このインパクトのある題名と表紙を見て手に取りました。
    表紙のぷっくりしたタヌキが学校でお勉強中かな?などと、軽い気持ちで読んでみたら、なかなか濃密なお話でした。
    確認してみたら2020年の夏休み読書感想文課題図書ということ。なるほど。

    ※※※ラストまでネタバレしています※※※

    始まりは明治6年。広島県に小さな小学校がありました。きれいな川や、お城や、有名な公園がある静かで便利なところでした。
    小学校の校庭にはクロガネモチの木が生えていて、タヌキの一家が住んでいました。お父さんタヌキは小学校を覗き見しているうちに、お勉強することは楽しいな、教育って大事だなって思います。だから人間の子供たちが帰った後、子供たちを集めて夜のタヌキ学校を開きました。
    ある夜、たまたま副校長先生は教室を覗いてびっくりしました。タヌキの先生がタヌキの生徒たちに勉強を教えているではありませんか。
    副校長先生は感心して、タヌキたちもやるもんだなあ、このことは内緒にして静かにタヌキの学校を続けさせようって思って、家に帰って奥さんにそう伝えました。
    奥さんも内緒よ、って言ってお友達に伝え、そのお友達は内緒だよって言って子供に伝え、その子供は…
    ついにタヌキの学校は新聞に乗って見物客が訪れるようになってしまいます。
    静かに学べなくなったタヌキたちは教室から居なくなりました。

    何年も経ちました。
    戦争が始まり、広島のお城には兵隊が集まり、学校では行進の練習をするようになりました。
    密かに続いていた夜のタヌキの学校でも、夜の校庭で行進の練習をするようになりました。
    そして広島に落とされた原子爆弾は、小学校を焼き、校庭のクロガネモチの木を焼き、お城を焼き、人間も動物も建物も乗り物も一発でふっ飛ばされ黒焦げになりました。

    また何年も経ちました。
    校庭のクロガネモチは真っ黒になりましたが、何年も掛けて芽を出し葉を出すようになりました。
    タヌキの一家はどうなったのでしょう?
    「自分が子供の頃には『タヌキの学校』があったなあ」なんて思い出す人たちも居ます。
    あ、お店に買い物に来た子供たち、あの子達にはしっぽが見えている?持っているお金はクロガネモチの葉っぱじゃない?
    昔の時と違って、お店のおじさんはこのことを誰にもいいませんでした。だからしっぽをはやした子供たちがたまにお店に現れることは、おじさんだけの秘密です。

    ==
    おお、80ページほどの短いお話で、山下明生の優しい語り口と長谷川義史の明るくすっとぼけた挿絵なのに、100年くらいの年月が経っているし、内容もなかなか濃厚でした。

    低学年向けかー。中学年でも良いのではという印象です。
    最初の頃の「内緒だよ」と言ってどんどん噂が広まり、それによりタヌキたちが学校を辞めざるを得なかった様子は現在のSNS拡散じゃないか!と思ったし、学校でのどかに「あいうえお」を習っていた子供たちやタヌキたちが時代の移り変わりとともに極自然に「軍隊の行進」の練習が日常になったこと、そして原爆投下場面の辛さといったら…。
    それでも町は復興し、人間の目からは隠れながらもタヌキ(野生動物)たちが変わっていく人間の町にしっかりと馴染んでいることには安堵の気持ちも持てます。
    何気ない優しい語り口だからこそのインパクトが強かったです。

  • 2020年、小学校低学年課題図書。
    長谷川義史さんの絵が好きです
    元気が出ます

    タヌキたちのかしこいこと

    子どもたちにテーマがそのまま伝わらなくても
    なにか感じてもらえたらいいな

    つらい場面もありましたが
    「きょうとうせんせい」
    「おでんやのおやじさん」いいですね

    ≪ アリガトウ タヌキの子から サンキュウと ≫

  • 第66回課題図書。低学年の部。課題図書としての評価は、低学年には難しい。「明治」「広島」など、時代の変遷や戦争を理解できるのか?
    特に、1年生にこの情報量は、大人に読んでもらってもきびしいのではないかと思われる。
    帯には、「タヌキだって、べんきょうしたい」とあるが、作者がこの作品を通して伝えたかったテーマは、別だと思う。

  • 「すこしむかし」といっても明じだから、大正・しょうわ・平せい・れいわでたくさん入るからすごい。
    タヌキがべん強していたのが、びっくりする。はらづつみがいいな。おれもいつもたたいている。
    でも、小学校の木のねもとにほらあなは見つかりやすいんじゃないかと思った。先生はやさしいけど、だれかに言っちゃうのがおしい。かぶっているシルクハットみたいなぼうしがいいな。
    原ばくのことは知っていたけど、すごいい力だった。みんないなくなってさびしい。
    クロガネモチの赤い実がおいしそうだった。黒こげになってびっくしたけど、また元気になってよかった。生きているんだって思った。
    それから、にたまごがおいしそうだった。タヌキが買いにきていて「サンキュウ」って書いてあったのがおもしろかった。人間はだまってようと思ってもだれかに言っちゃう。おれも言っちゃうかも。おでんやさんは、これからもひみつをまもってくれそうでよかった。(小3)

  • 2020年度(第66回)課題図書の低学年向け。
    夏休み終盤、図書館で借りられた。(今年は夏休みが短くて、読書感想文に取り組む子が減っているよう)

    すこしむかしの、ほんとが いっぱいの おはなし。
    ひろしま市の のぼり町というところに、ひろしま県で はじめての 小学校が できた。
    校庭には、クロガネモチの木が あり、ねもとには タヌキの一家が すんでいる。
    ひるまは 子どもたちが べんきょうをして、よるは タヌキの子どもたちが べんきょうをしていて……。

    平和を考える本。
    低学年なら二年生、原爆のことが出てくるので本になじみのない三年生にもいいと思います。
    あえて広島を舞台に選んでいる通り、明治から昭和へ時は流れ、戦時中にはタヌキたちの教育にも戦争が色濃く出ています。
    タヌキが行進の練習をしたりしているのは滑稽で、比喩的に戦争のおかしさも感じられる。
    戦前は平和にタヌキまでもが学ぶことができて、戦後も復興したところにタヌキが戻ってきました。
    読んでいるときは何でタヌキなんだろう、時代の流れが早いのではないかと思っていましたが、読み終わるとしっくりきました。
    著者の山下さんは広島出身だそうです。
    また、長谷川さんの絵がとてもいい味を出しています。
    素朴で平和を感じます。

  • 2020年課題図書低学年。学校の側の木の根元に住むタヌキが化けて勉強する、するとすっかり楽しくなり、夜になると子だぬき達に教える。楽しい可愛いお話だが原爆が落ち…戦争は怖い、愚かだ。低学年に伝わるかな、伝わるといいね。

  • この本はおも白いですけど、ばくだんが落ちたパートはとても悲しい気分にさせてくれます。


    私は5 star だと思います。なぜかと言うと読んでみるだけで昔の広島県の様子がわかるのでそれは良いと思いました。

  • 実際に過去、広島で夜に小学校で狸が勉強しているという記事が出たということに、まずびっくりします。びっくりというかホッコリというか。

    夜の学校で人間をまねて勉強する狸たち。かわいくてホッコリした話かと思いきや、時代は第二次世界大戦を迎え、狸たちも戦争に巻き込まれていきます。何もかもメチャクチャに燃え尽き(たと思うくらい原爆のシーンだけ真っ赤で怖い)戦争が乱暴に日常を破壊していく姿が描かれていました。やがて終戦を迎え、広島が復興してきたこと、狸たちが今でも人と暮らしいることが書かれて終わります。

    木々がゆっくりと回復するのとリンクして、人間もタヌキも営みが戻ってきてホッとします。現代もタヌキが共に生きていること、あの時のタヌキたちはもういないけれど、教室で子ダヌキたちが勉強した文字がその後の世代に引き継がれている所も嬉しい描写。
    タヌキたちが「勉強せにゃ!これからは勉強だ」となっているシーンは、大人の顔色を伺うことに疲れている子どもには「勉強できるって良いことだって思って欲しいんだー……」と思って少し疲れないか心配ですが、その先へ進めば、ごくごく自然に字を覚えたらこうやってちがう世界に思える相手とも気持ちが伝わるんだ、と思ってもらえる……と良いなと思います。

    課題図書のくくりでは低学年向け、なのですが、うーん、ちょっと説明が必要かな、どうかな?

  • 恐るべし、げんしばくだん。怖いよ〜_:(´ཀ`」 ∠):
    タヌキが、勉強できるなんて、凄い!

  • たぬきくんたち、えらい‼️
    純粋に、何かを学ぶって楽しいよね。

  •  明治の始めごろの広島に、初めて小学校ができました。
     子どもたちが勉強する様子を見たタヌキのお父さんは、タヌキの子どもたちにも勉強をさせようと思いつきました。
     そして、おおぜいのタヌキの子どもたちに、人間がいなくなった夜の小学校で勉強を教えはじめました。

     ある日、その様子を教頭先生が見つけてしまいます。最初はだまっていようと思った教頭先生ですが、つい、奥さんに話してしまい、奥さんも息子に話して…。

  • タヌキの学校の新聞記事がほんとうだなんて!!
    なんておおらかな時代なんだ。(明治時代)
    タヌキさえも翻弄される戦争。
    平和への願いがユーモラスに描かれていて、小さい子にもわかりやすい。長谷川義史の絵も素晴らしい。

  • 導入が楽しく、子供が夢中で聞いてくれた。戦争について話すきっかけをくれた。

  • 戦争や原爆の話が怖かった。

  • たぬき小学校のかわいい話から村人との交流かと予想していたが、違った。いつもの日々が戦争に代わられ、広島には原爆が落とされる。焼け野原の広島に再びいつもの日々がやってくる。こどもへ戦争を伝える本かと。

  •  週に学校が六日なのはいやでした。だけど、戦争で学校が0日なのは、もっといやでした。だから、戦争はよくないと思いました。

  • 図書館本。長谷川義史さんの児童書。時は戦前、小学校に勉強をするために集まってくるタヌキたち。街の人は驚きながらも受け入れます。時は流れて…戦争に触れる児童書は多くないので、響いてくれたら、いいな。

  • 69点

    最後におでんやさんに、お金を払ってすぐに葉っぱにかわってしまうところが面白い。不思議だった。

  • たぬきが死んじゃったと思わせる、いがいにかなしいおはなし

  • たぬきが、勉強をするなんて、びっくりしました❗️

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著者プロフィール

山下明生(やました・はるお)
1937年、東京に生まれ瀬戸内海の能美島に育つ。児童文学作家、翻訳家として活躍中。児童文学として『うみのしろうま』(理論社/絵・長新太/第11回野間児童文芸推奨作品賞)、『海のコウモリ』(理論社/絵・宇野亜喜良/第16回赤い鳥文学賞)、『カモメの家』(理論社/絵・宇野亜喜良/第32回日本児童文学者協会賞/第15回路傍の石文学賞)。絵本は『はんぶんちょうだい』(小学館/絵・長新太/第24回小学館文学賞)、『まつげの海のひこうせん』(偕成社/絵・杉浦範茂/第6回日本の絵本賞絵本にっぽん大賞)、『島ひきおに』(偕成社/絵・梶山俊夫)、『きつねのぼんおどり』(解放出版社/絵・宇野亜喜良)、『あふりかのあかいみち』(教育画劇/絵・しまだ・しほ)。翻訳に『バーバパパ』シリーズ(偕成社・講談社)、『カロリーヌ』シリーズ(BL出版)など、数多くの作品がある。

「2011年 『カワウソ村の火の玉ばなし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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