さるかにがっせん (日本の昔話えほん 3)

著者 :
  • あかね書房
4.22
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本棚登録 : 117
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784251011534

作品紹介・あらすじ

みんなのおかけで、りっぱなかきがみのりました。「もうすぐ、おいしいかきまつりができるね」かには、くりとうすとはちとうしのくそに、いいました。ところが…。

感想・レビュー・書評

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  • 昔話の「さるかに合戦」、山下明生さん 2010年の作品。
    高畠那生さんのダイナミックな絵に引きこまれる。


    なんで、サルとカニなのか? そもそもそこから可笑しい。
    カニのなかまも組みあわせが意味不明で、牛のクソまで出てくる。
    こういうの、子どもは好き。

    カニの歌い回しや「ももクリ3年 柿8年」のことわざも出てきて楽しい。

    サルがカニに柿を投げつけて殺してしまうシーンでは、子どもながらに「なんで?」と心を痛めた。

    その後に復讐がはじまるが、憎いサルを懲らしめる様はスカッとする…のかな?
    今の時代に「勧善懲悪」はフィットするのか?


    --
    最後のページに裏話がのっていて、昔話は時代で形を変えていること、本作もサルにトドメを刺さなかったこと、に触れている。

    さらには芥川龍之介が「猿蟹合戦」を書いているらしい。
    しかも、カニがサルに復讐したその後…。
    まるで「昔話法廷」ではないか?!


    10:30

  • 読むのは初めてだが、年少の時の園の発表会で当時の年中さんが演じていたのを見て知っていた5歳5ヶ月の息子。「よんでよんで~」と読む前も乗り気で読んだ後もあっけらかんとしていた息子に比べ、大人はいろいろ複雑な気持ちになる昔話だなぁ。
    小さな子ガニたちに栗、ハチ、牛の糞、臼が加勢してサルをこらしめるドタバタな敵討ちはどことなくユーモアがあって前半の悲しみを感じさせない。
    サルが殺されるパターンもあったり、芥川龍之介もその後日譚を書いていたとは知らなかった。

  • 2018.1 父

  • いつ読んだのか?★3で評価を4に変更。絵がダイナミックで楽しい。勧善懲悪、でも最後の最後にとどめを刺していないところに救いが。
    子供達がゲラゲラ笑いながら聞いていた(カニのお母さんが潰れてしまうところまで…)。
    カニのお母さんの位牌に柿のお供えというディテールの細かさも楽しい。

  • 大人向けの絵本ですね。お話も「なんでこうなるの?」という普通の昔話と違って筋が通っている。でもそれを補う(?)ような大胆な絵!
    え?カニの足ってそれでいいの?
    カニのおかあさんのお位牌があるし!

  • サルが柿の種を見つけ、カニがおにぎりのを見つける。
    サルがさっさと交換してしまう。
    カニが地面に埋めてみると、臼が水を与え、蜂が花粉を運び、牛の糞が居座って肥料になる。
    たくさんの柿が成ったと思ったらサルが片っ端から食べてしまい、カニには青くて固い柿を投げつける。
    カニはぺしゃんこに潰れ、その下から子供たちが生まれてくる。
    サルを懲らしめてやれ、と栗、蜂、臼、牛の糞と協力してサルの家に隠れる。
    戻ってきたサルをみんなでとっちめる。
    裁判に掛けると、サルはもう二度としないと約束したので、許してやるのだった。

    ところどころアレンジされている猿蟹合戦。

    牛ではなく、ダイレクトに牛の糞だったり、最後サルが死ななかったり。

    あとがきには、中国の奥地などにも猿蟹合戦のような話はあり、日本でもサルとカニ以外の話もあると書かれていて、色々なパターンがあることが分かる。
    その一環として最後サルが死なない終わり方を選んだのだとか。

  • *未購入*
    2歳10ヶ月時、図書館にて借。

  • ごぞんじ猿蟹合戦。蟹のひろったにぎりめしを柿の種とムリヤリ交換しておいて、蟹がせっせと育てた柿を 猿は横取りし、あまつさえ 蟹を殺してしまう。後に残された蟹の子らのため、栗と蜂とウシの糞と臼は猿をこらしめてやる。
    ・・・考えたら、謎の多いこの話。本書では、臼も蜂もウシの糞も柿の木を育てるのを手伝ってやっていた(栗は意見を言っただけだけど)。
    昔話は各地で語りつがれ時代とともに変化するもの。山下明生さんの猿蟹合戦は、田舎の農家の囲炉裏端の情景がうかぶ、のどかなもの。猿は殺されずに、土下座します。ただ、もうちょっと昔話っぽい語り口がよかった。

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著者プロフィール

山下明生(やました・はるお)
1937年、東京に生まれ瀬戸内海の能美島に育つ。児童文学作家、翻訳家として活躍中。児童文学として『うみのしろうま』(理論社/絵・長新太/第11回野間児童文芸推奨作品賞)、『海のコウモリ』(理論社/絵・宇野亜喜良/第16回赤い鳥文学賞)、『カモメの家』(理論社/絵・宇野亜喜良/第32回日本児童文学者協会賞/第15回路傍の石文学賞)。絵本は『はんぶんちょうだい』(小学館/絵・長新太/第24回小学館文学賞)、『まつげの海のひこうせん』(偕成社/絵・杉浦範茂/第6回日本の絵本賞絵本にっぽん大賞)、『島ひきおに』(偕成社/絵・梶山俊夫)、『きつねのぼんおどり』(解放出版社/絵・宇野亜喜良)、『あふりかのあかいみち』(教育画劇/絵・しまだ・しほ)。翻訳に『バーバパパ』シリーズ(偕成社・講談社)、『カロリーヌ』シリーズ(BL出版)など、数多くの作品がある。

「2011年 『カワウソ村の火の玉ばなし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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