- 本 ・本 (104ページ)
- / ISBN・EAN: 9784251040565
感想・レビュー・書評
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偶然カバンを拾った小学一年生のクマ・タクマくん。そのカバンの持ち主のウサギ・ササおばあちゃんからお礼の手紙をもらって、ぼくもササおばあちゃんにおてまみ(お手紙)を書こうとなり、文通が始まる。
ポストにお手紙が落ちる「かさっ」という音に耳を傾けるタクマくん。
習いたての字を一生懸命書いて、誤字も多かったのが、書き続けるうちに少しずつ上手になっていき、文字数も増えていくのが微笑ましい。お互いに、次の手紙が来るのを心待ちにしていて、離れていても、会っていなくても、お互いを想い合っているのが伝わってくる。
機械で文字を打って、タップしたら遠くの相手に要件が届く今の味気ない時代。タクマくんとササおばあちゃんのような心のこもったかけ合いは、とてもかけがえのないものに感じられました。利便性は上がっても、人間性は下がっている。時間は節約できても、心の広さも狭まっているように感じます。
自分で一文字一文字丁寧に想いを込めて字を書いて、切手を貼り、ポストにお手紙を入れ、「かさっ」という音を聞き遂げる。そして、相手からのお便りを待つ。この楽しい一連の体験を、ぜひ現代の小学一年生に、この本で体感してもらいないなと思いました。心温まる、可愛らしい一冊でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
クマの子が、拾ったカバンを交番に届けたことが縁で、その持ち主のウサギのササおばあさまとの手紙のやり取りが始まります。
ひらがなとカタカナを覚えたばかりのクマの子は、一生懸命お手紙を書きます。
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手紙のやり取りを重ねるうちに、手紙もだんだん長いものになっていくし、クマの子もだんだんと文章が上達していくの。
ササおばあさまが、小さな子ども相手だけれど、丁寧で上品なのも素敵だし、クマの子が本当に素直ないい子で泣けてくる。
手紙をポストに入れたときのカサッていう音に気が付くとか、本当に描写が細かいなぁと思う。
嬉しすぎてはしゃぎ過ぎちゃうところとか。
キツネの子と郵便ごっこをしたり、サルの子と逆立ちで遊んだりするの、すごくかわいかった。
あまりに優しいお話で、泣きながら読みました。 -
低学年向けの物語。
今どきだと、ターゲットの年齢に対して、少し長いと感じるけれど、
十分に読むことができると思う。
一年生になったばかりのクマのこが、バッグをひろった。
それは、旅行中のうさぎのおばあさん・ササさんのものだった。
旅行から帰ったおばあさんは、くまのこにお礼のお手紙を書く。
お手紙をもらったことがうれしいくまのこは、ならったばかりのひらがなでいっしょうけんめいにお手紙を返す。
そして、始まった文通。おばあさんと小さな子供の交流が、なんともあたたかい。
とてもやさしく、丁寧で、上品(?)な日本語で書かれたおばあさんの文章。
幼促音がぬけがちだけど、自分の身の回りに起こったうれしかったことやおばあさんへの思いやりを書くくまのこの文章。
なんと素敵なやりとりだろう。
途中、おばあさんの家の周辺で大水が出て、その安否を心配していたくまのこが、その無事を知ると、ついついはしゃいで暴れるシーンがある。
おとうさんとおかあさんには、ちょっと叱られたけど、感情があふれてどうしようもなくて、おどってしまう小さな子どもの姿がリアルだ。
ちょっと長いので、1年生は読むのが大変かもしれないけれど、
ぜひ1年生に読んでほしい本。 -
展示「手紙っていいな」
落とし物をひろって交番に届けたクマの子。そこに旅行中の落とし主のウサギのおばあさんがきて、クマの子の名前と住所を聞いて駅へ。
10日ほどたってお礼の手紙をもらったクマの子は返事を書くことに。
ひらがなとカタカナをおぼえたばかりでおてがみを「おてまみ」と言ってしまうクマの子だけど、一生懸命さが伝わります。
そして文通を続けるうちに文が上手になっていくのもわかります。
かわいい友だちも出てきて低学年におすすめ。 -
「ぼくも、おてまみ書こうかな」
(クマ・タクマ)
ササおばあさんと手紙をやりとりを重ねるうちに、くまちゃんのお手紙もカタカナが増えたり、誤字が減ったりとっても可愛い文通のやりとりでした。 -
くまの子が動作がとてもかわいいです。
おはなしと挿絵が見事にマッチしているのもいいですね。 -
くまのことうさぎおばあさまの往復書簡。
自分宛の手紙が届くと嬉しいのは何歳でも同じです。
くまのこと、うさぎおばあさまのやり取りは優しくて暖かみのある言葉に溢れています。
大人目線かもと思うけれどこういうお話に出会うと安心しました。
メールや電話の便利さを捨ててゆっくり時間の流れる場所に行きたいなあ… -
なんて可愛らしいくまの子ちゃんでしょう!初めはつたなかったお手紙が、うさぎのおばあさまとのやりとりをかさねるうちに少しずつ上手になっていくのも微笑ましい。ふんわりあたたかな気持ちにさせてくれました。子供達も大喜びの一冊。
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母国語をどう学習して身につけたのか、その過程を記憶する人は少ない。誰でも最初は濁点や撥音便などに躓いただろう。主語と述語だけの二語文から、段々と長くなって……返事がきた時の嬉しさ。
この本はなんといっても小学校一年生に勧めたい。一人暮らしのおばあさんあてに出す手紙の愛らしいこと。「いそがしのときはてがみかかないでいいです」と書いても返事はほしい。後書きは山羊の郵便やさんが書いているのも、面白い。
著者プロフィール
森山京の作品





