- Amazon.co.jp ・本 (165ページ)
- / ISBN・EAN: 9784251044211
作品紹介・あらすじ
「スーキー!!」眠れない夜、リリコは、奇妙な絵の中に、会えなくなった大切な友だちの姿を見つけた。追いかけようとした瞬間、リリコは絵の中へ-。汽車に乗り、ふしぎな旅をつづけた先に、リリコが見たものは…。幻惑と、深い感動の物語。
感想・レビュー・書評
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難しいな。とても観念的。
銀河鉄道の夜にも似ている。だけどさらにあやふやな世界のようにも思う。
西日本読書感想画コンクールの、中学生の部指定図書なんだけど、これを読み解いて、更に絵にするのはすごく難しそうだ。 -
友達を追いかけて絵の中に入り大冒険…と描くと壮大ですが、自分の立ち位置を把握する物語ですね。
リリコは物事をよく見ているな…言葉にしないだけなんだな…。
作中にデ・キリコの「街の神秘と憂鬱」が引用されててくらくら度アップ。『秘密の花園』のコリンとかあしながおじさんとか、なつかしいタイトルをふいに出して海馬を刺激してくる高楼さんの読書歴がわたしとそっくりで感激でした。
「まちがえたことを忘れずにいること。もうまちがわないために。またいつなんどき、まちがうかもしれないということを心にとめているために」 -
すごい。心の奥にたまった重たいものを掻き出されるような感じ。リリコのきょうだいに対する複雑な思い、自己嫌悪と認められたい欲求、おとなになることへの不安、後悔とその意味、大切な友達への思い、などなど、共感と感動とが渦巻いた。
話の流れも、実際に寝ている時に見る夢の感じそのもので、現実かと思って読んでいたら実は夢でした~といういわゆる「夢落ち」とは違う。
最後は温かいハッピーエンドでよかった。
児童書というより、自我に目覚めた思春期以降の大人が読むのにいい作品だと思う。 -
最初は言い回しや設定が少し古いなと感じたが、おとなしくて目立たないリリコの心の物語が描かれていて、地味だがこころに残る。
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物語の型は『わたしたちの帽子』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4577031256に似ている。でももっと大人向け。
刺さる描写が当たり前のようにでてきてぎょっとした。読後感は優しい。
リリコは5人きょうだいのまんなかの子。
賢かったり美しかったり優しくてやんちゃだったり天才だったりする兄姉弟妹にはさまれて、ぼんやりした平凡な子だと思われている。
眠れぬ夜は、ひっこしたきり手紙をくれない親友や、名前も知らない凛とした人を思い出しては心をなぐさめる。
そんなある夜、リリコは親友によく似た少女が描かれた絵の中に迷い込む。
感想を書くのがむずかしいな。
いろんな作品を思い出した。
『銀河鉄道の夜』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4001108046は列車から。『星の王子さま』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4001156768は砂から。
『鏡の中の鏡』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4006020317は輪まわしからの連想だけど、話はむしろ『はてしない物語』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/B000J7LMGKかもしれない。
ジュディ・ガーランドの『オズの魔法使』http://booklog.jp/item/1/B00005HC5Dっぽくもある。
BGMは『砂の果実』http://booklog.jp/item/1/B00005G5QOがいい。
ありがちというのではなく、つまり、また読んで理解したいなにかが隠れてる。
自分だとか他人だとか、知っているつもりだったものの見えていなかった部分を見せつけられる。
ここにいたくないだけじゃ、素敵な場所へはたどりつけないのだとつきつけられる。
きつい。けど、つきはなしはしない。
こどものうち、恥ずかしい大人になる前に知っておきたい話だけど、大人にならないと飲み込めない内容じゃないかな。
時間をおいてまた読みたい。
できればそのときは、いまと違う場所にいたい。