リリコは眠れない (スプラッシュ・ストーリーズ 21)

著者 :
  • あかね書房
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本棚登録 : 91
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (165ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784251044211

作品紹介・あらすじ

「スーキー!!」眠れない夜、リリコは、奇妙な絵の中に、会えなくなった大切な友だちの姿を見つけた。追いかけようとした瞬間、リリコは絵の中へ-。汽車に乗り、ふしぎな旅をつづけた先に、リリコが見たものは…。幻惑と、深い感動の物語。

感想・レビュー・書評

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  • これは辛いですね。
    小学5年生の少女の、やるせない気持ちを、幼馴染そっくりの女の子が描かれている絵の中に入ることによって、あぶりだし、解決(納得?)させていくストーリー。

    このナンセンスさを理解できたらいいのでしょうが、かなり支離滅裂感があって、正直読み進めるのが苦痛でした。
    「つんつくせんせい」のたかどのほうこさんの、決して優等生ではない、かなりチャレンジングな作品だと思います。

    賛否が分かれるでしょうが、決め手は、これが子どもに理解できるか?受け入れられるか?というところだと思います。
    自己満足的なところが多く見受けられるので、私は推さない作品です。

  • 難しいな。とても観念的。
    銀河鉄道の夜にも似ている。だけどさらにあやふやな世界のようにも思う。
    西日本読書感想画コンクールの、中学生の部指定図書なんだけど、これを読み解いて、更に絵にするのはすごく難しそうだ。

  • 友達を追いかけて絵の中に入り大冒険…と描くと壮大ですが、自分の立ち位置を把握する物語ですね。
    リリコは物事をよく見ているな…言葉にしないだけなんだな…。

    作中にデ・キリコの「街の神秘と憂鬱」が引用されててくらくら度アップ。『秘密の花園』のコリンとかあしながおじさんとか、なつかしいタイトルをふいに出して海馬を刺激してくる高楼さんの読書歴がわたしとそっくりで感激でした。

    「まちがえたことを忘れずにいること。もうまちがわないために。またいつなんどき、まちがうかもしれないということを心にとめているために」

  • リリコの苦悩や葛藤がかなり抽象的に表現される部分が続くので、ずっと夢をみているような気持ちになる。
    少し戸惑うのだけれど、端々に「なるほどこれを伝えたいのだな」と分かる言葉が現れてくる。

    どんな外敵にも負けない真っ直ぐで強い木を研究して作ったら、苗木は恐ろしい勢いで成長し、周りを巻き込みながら全部枯れた。そんな木を作ろうとしたことが間違いだった。

    というエピソードが印象的。

  • 時計坂の家の世界を思い出す。

    夢の中の話だが、その経緯が明かされる末尾が悲しい。
    が、最後に希望が開かれる。

  • すごい。心の奥にたまった重たいものを掻き出されるような感じ。リリコのきょうだいに対する複雑な思い、自己嫌悪と認められたい欲求、おとなになることへの不安、後悔とその意味、大切な友達への思い、などなど、共感と感動とが渦巻いた。

    話の流れも、実際に寝ている時に見る夢の感じそのもので、現実かと思って読んでいたら実は夢でした~といういわゆる「夢落ち」とは違う。

    最後は温かいハッピーエンドでよかった。

    児童書というより、自我に目覚めた思春期以降の大人が読むのにいい作品だと思う。

  • 最初は言い回しや設定が少し古いなと感じたが、おとなしくて目立たないリリコの心の物語が描かれていて、地味だがこころに残る。

  • 物語の型は『わたしたちの帽子』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4577031256に似ている。でももっと大人向け。
    刺さる描写が当たり前のようにでてきてぎょっとした。読後感は優しい。

    リリコは5人きょうだいのまんなかの子。
    賢かったり美しかったり優しくてやんちゃだったり天才だったりする兄姉弟妹にはさまれて、ぼんやりした平凡な子だと思われている。
    眠れぬ夜は、ひっこしたきり手紙をくれない親友や、名前も知らない凛とした人を思い出しては心をなぐさめる。
    そんなある夜、リリコは親友によく似た少女が描かれた絵の中に迷い込む。

    感想を書くのがむずかしいな。
    いろんな作品を思い出した。
    『銀河鉄道の夜』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4001108046は列車から。『星の王子さま』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4001156768は砂から。
    『鏡の中の鏡』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4006020317は輪まわしからの連想だけど、話はむしろ『はてしない物語』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/B000J7LMGKかもしれない。
    ジュディ・ガーランドの『オズの魔法使』http://booklog.jp/item/1/B00005HC5Dっぽくもある。
    BGMは『砂の果実』http://booklog.jp/item/1/B00005G5QOがいい。
    ありがちというのではなく、つまり、また読んで理解したいなにかが隠れてる。

    自分だとか他人だとか、知っているつもりだったものの見えていなかった部分を見せつけられる。
    ここにいたくないだけじゃ、素敵な場所へはたどりつけないのだとつきつけられる。
    きつい。けど、つきはなしはしない。
    こどものうち、恥ずかしい大人になる前に知っておきたい話だけど、大人にならないと飲み込めない内容じゃないかな。

    時間をおいてまた読みたい。
    できればそのときは、いまと違う場所にいたい。

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著者プロフィール

高楼方子 函館市生まれ。絵本に『まあちゃんのながいかみ』(福音館書店)「つんつくせんせい」シリーズ(フレーベル館)など。幼年童話に『みどりいろのたね』(福音館書店)、低・中学年向きの作品に、『ねこが見た話』『おーばあちゃんはきらきら』(以上福音館書店)『紳士とオバケ氏』(フレーベル館)『ルゥルゥおはなしして』(岩波書店)「へんてこもり」シリーズ(偕成社)など。高学年向きの作品に『時計坂の家』『十一月の扉』『ココの詩』『緑の模様画』(以上福音館書店)『リリコは眠れない』(あかね書房)『街角には物語が.....』(偕成社)など。翻訳に『小公女』(福音館書店)、エッセイに『記憶の小瓶』(クレヨンハウス)『老嬢物語』(偕成社)がある。『いたずらおばあさん』(フレーベル館)で路傍の石幼少年文学賞、『キロコちゃんとみどりのくつ』(あかね書房)で児童福祉文化賞、『十一月の扉』『おともださにナリマ小』(フレーベル館)で産経児童出版文化賞、『わたしたちの帽子』(フレーベル館)で赤い鳥文学賞・小学館児童出版文化賞を受賞。札幌市在住。

「2021年 『黄色い夏の日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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