- Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
- / ISBN・EAN: 9784251066558
作品紹介・あらすじ
サキは、ゆっくりと体を浮かせてみる。すると、ふわりと宙に浮かんだ。飛べる。窓から外に出る。旅が、始まるのだ。はるかなる時の恋歌。
感想・レビュー・書評
-
歴史が好きな女子にはもってこいの作品ではないでしょうか。時代がとびとびなので、把握するのに頭の中の引き出しを出し入れしながらゆっくりと読みました。日本史のよいおさらいになってよかったです。主人公のサキがそれぞれの時代の中で、天女と思い込まれたり、皇女となって登場したりと立場は違うものの、会いたい人はただ1人という内容もグッド。古典文学とひっかけられているという点でも面白かったです。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
サキは、夢の中でひょうたんをもって飛んでいた。下に見えるのは多摩川の河原。でも、いつもとちがう。車もビルもない。もしかして、昔の多摩川!?
(『キラキラ子どもブックトーク』玉川大学出版部より紹介) -
★おたがい、会えてよかった。いい思い出があって、よかった(p.255)
【感想】
・しっかりした作品でした。
・絵師で本を選ぶのもアリだろうと思います。挿絵の佐竹美保さんは好みです。
・著者の名前は記憶にあるような気がするのでなにか読んだことがあるかもしれません。
【内容】
・夢の中で育ったひょうたんかかえて空飛んだサキは古代で青年に惚れ会いたくなってもう一回行こうとしたら王の四女竹姫になってしまい記憶を失った。さて、どうなる?
▼簡単なメモ
【泉/いずみ】下道真備の息子。由利の異母弟。
【小鹿/おしか】紀女郎(きのいらつめ)。宮子に仕える女官。大伴家持の年上の恋人。竹姫の数少ない友人のひとり。
【行基】僧。かつては危険人物扱いだったがいまはみかどの大仏建立にもチカラを貸している。《どんな人間にとってもこの世は仮の宿りというわけじゃが……。》p.232
【ククリ】飛騨のククリ。仲麻呂の私兵。
【サキ】主人公。ひょうたんで空を飛び時空移動する。
【紫香楽宮/しがらきのみや】この時点で都は難波京だが、みかど、松虫姫、高野姫、井上内親王など主要人物は紫香楽宮にいる。
【志貴麻呂/しきまろ】弓削の志貴麻呂。行基の弟子。行基を大僧正にし教団を国公認のものにしたい。
【下道真備/しもつみちまきび】吉備真備のことと思う。遣唐使留学生として十八年間唐に滞在し帰ってきたエリート政治家。同期に阿倍仲麻呂や僧の玄昉がいる。高野姫の教育係でもある。由利は政治家として尊敬はしているが娘としての愛情はまったくないと言った。真備の方もそれはありがたいと言った。
【高野姫/たかのひめ】皇太子。安倍内親王。竹姫の異母姉。
【竹姫/たけひめ】更科内親王。第四王女。十五歳。サキが中に入り込んでいるかもしれない? 家族たちとは離れて恭仁京(くにきょう)にいる。「異例のお出かけ」をして何かあって記憶と気をを失ったらしい。
【におい】《それが、サキに話しかけている。におい、という表現で。》p.21
【人間関係】不破麻呂いわく《ひととひととのつきあいってのは、だな……》《なりゆきさ》p.281
【ひょうたん】サキが庭で育てていたがうっかり茎を切ってしまった。その後夢に出てくるようになり成長していく。
【広嗣のたたり/ひろつぐのたたり】藤原広嗣が反乱を起こしたが失敗しその後不穏なことはなんでも広嗣のたたりだと言われるようになった。
【不破麻呂/ふわまろ】ひょうたんでふわふわ飛んで出会った男。《……おれは、おまえたちのひとりだった。今は、もうちがっているかもしれん》p.219
【松虫姫】竹姫の姉。第三王女。有名な姫。
【都】みかどの気まぐれで都がたくさんある。紫香楽宮、平城京、恭仁京、難波京。
【宮子/みやこ】藤原宮子(ふじわらのみやこ)。この話の時点で六十五歳。皇太后。藤原不比等と娘。文武天皇の妻。今のみかどの母。竹姫の祖母。彼女をどう呼ぶかでみかどと長屋王がもめてその結果長屋王は自死したとのウワサ。長いこと心をわずらい玄昉により快癒するまで閉じ籠っており十八歳で時が停まってしまった状態。
【由利/ゆり】采女。下道真備(しもつみちまきび)の娘。 -
恋する児童書
-
小学生のころに読んで大好きだった本。
更級日記に記述のあった竹芝伝説や史実からここまで物語を広げた作者はすごいと今改めて読んで思った。
切ない恋の物語が好きになったルーツを再発見した。
歴史好きの子どもに、ぜひ手に取ってもらいたい。
佐竹美保さんの美しいイラストも必見。 -
お互いにお互いが大好きなのに、生きる世界が違う。時代が違う。
死別とは違う、[もう二度と会えない]が、苦くて甘い。
この本と出会って、私は芝田さんに恋をした。 -
大切に育てていたひょうたんのつるをうっかり切ってしまったサキ。しかし、ひょうたんはサキの夢の中で育ち実をつける。そのひょうたんの実を手に空を飛び、時を超え過去の時代にたどりついたサキは、不破麻呂という男と出会う・・・。
(中1 東京 奈良) -
図書館の児童書コーナーで、何げなく手に取った一冊。
主人公サキが、タイムスリップした先で出会った不破麻呂。
一度現代に戻ってくるが、彼にもう一度会いたくて、今度は時の帝の第4王女・更科内親王(竹姫)と同化して時を遡る。
不破麻呂もサキ(天女だと思っている)に心奪われていて・・・というストーリー。
吉備真備や紀郎女、後の道鏡となる弓削の志貴麻呂、行基など、当時の有名人物が多く登場し、色どりを添えている。
(しかし藤原宮子が実は不比等の娘ではなく、紀州の海女だったという説があったなんて知らなかったわ!本の中だけの事かと思ったら、本当にそういった説があるらしい)
ラストはやっぱり2人の別れで終わってしまうけれど、切ない余韻が残るもので、良い終わり方だった。
本書に載っている史跡(竹芝の済海寺、亀塚公園)に、機会があったら行ってみよう。 -
小学校5年生くらいに出会った本で、未だに大好きで大切な本です。時空間を飛び越えたファンタジーロマンス。小学生の私は果たして理解出来ていたのだろうか?というような、少し複雑で、不可思議で、切ない、それでいて優しく温かい物語。最後は何回読んでも泣いてしまいます。佐竹美保さんの挿し絵がまた素敵!
-
中学生の時に読んで印象に残っている本の一冊です。これをきっかけに、この後「更科日記」を読んだ覚えがあります。ラストが切なかった。