かりそめ夜叉 (プリンセスコミックス)

著者 :
  • 秋田書店
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784253075336

感想・レビュー・書評

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  •  河村漫画における総合的な評価で、個人的に最も完成度が高く好ましい佳作。
     長編「明日香皇女」を除けば、読み切り短編か一話完結の連作形式が専らな中、珍しい中編作品。
     物語としての纏まりと吸引力、二転三転するドンデン返しのバランス、日本史の裏舞台と魅力を味わえる、大好きな物語。
     良質の歴史ドラマを鑑賞したような読後感が残るのは、終始、映写的な画面効果と起承転結の妙に拠る。
     本気で映像版が観たいと思った。
     絵柄も安定して繊細で、時流の荒波に弄ばれる少年と少女の悲恋が素直に胸を打つ。
     ヒロイン・柚里は、ありがちな無力で受動的な位置付けではなく、自らの手で愛する者を護り抜く強さと篤い労わりに満ちた毅然たる娘。
     何時(いつ)の世も、凛々しい女子(おなご)には惚れ惚れする。
     主人公・足利茶々丸は、名門堀越公方の当主としては未熟でも、権謀と猜疑が渦巻く戦国動乱幕開けの世を渡るには若過ぎて、心根が純粋だったとも言える。
     張り巡らされた罠に陥りながらも、僅かな信頼と思慕の名残を辿る姿が目に痛い。
     二人の心の結び付きと時代背景の変動が、もしや実話かと期待させてくれたりもする。
     柚里の出自か、それに準じる人物が実在したなら、凄く面白いのだけれど。

  • 「時代ロマン」シリーズ  8

  • 堀越公方嫡男・茶々丸と柚里の恋と陰謀、足利義満と后妃・厳子の決して結ばれない恋、人間の寿命を決める神・刻読みが起こす不思議な運命――・・・。時代も立場も全く異なる3つの短編を収録した時代ロマンシリーズ第8弾。

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