かがり火百万石 時代ロマンシリーズ 10 (プリンセスコミックス)

著者 :
  • 秋田書店
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784253075381

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  •  河村作品で珍しくヘタレさのない格好良い男性主人公、前田利長。
     妻・永姫との睦まじさが、一冊の連作を通してゆっくり描かれる。
     一回りも歳の離れた二人が、兄妹のような間柄から少しずつ夫婦として歩んでゆく過程は、とても可愛い。
     「波振り」で、幼妻を見守る彼のまなざしは優しく、姫の未来を予感させる茶々との束の間の心の触れ合いも、味付けとなる。
     茶々への憧憬の昇華は「小夜の寝覚め」(『恋ひわたりの…』)でも見られるが、奥行きはこちらの方がより深い。
     やがて花開いた妙齢の永は可憐で、並び立てばまさに絵に描いた美男美女。
     気配りのできる大人へと成長した彼女は、「花の香籠め」にて、夫と苦悩を分け合い共に背負おうとする。
     加えて、利長と徳川家康の応酬が見応えのある凄味。
     仕掛けられる罠を躱す利長の持論も然る事ながら、その忍耐強さを認める家康も妙に憎めなかったりする。
     「小夜~」と比べて史料の扱いが若干違うので、発端や真意をどこに置くかで、史実の解釈や印象は格段に異なるのだと知らしめる。

     「葉の上」では、利長の弟・利政に嫁いだ蒲生氏郷の娘・籍が、一人の女として護られた行く末が描かれる。
     百万石に匹敵する加賀と会津の大大名家に生まれながら、質素に隠遁して暮らした若夫婦。
     織田と蒲生、二家の血をひく姫君の境遇の変化が、それでも彼女の穏やかな美しさのためか、不幸には見えない。

  • 「時代ロマンシリーズ」 10

  • 前田利家とまつの二人三脚の出世、利長と永姫のゆっくりと育む恋、徳川家康と前田家の衝突、利政と籍の恋――・・・。戦乱の世を生き抜き、加賀百万石の礎を築いて守り抜いた前田家の、5つの短編を収録した時代ロマンシリーズ第10弾。

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