コミック星新一宇宙からの客

著者 :
  • 秋田書店
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本棚登録 : 141
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784253104791

感想・レビュー・書評

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  • 星新一アンソロジー待望の第三弾。
    前作前々作もよかったけれどこれも素晴らしい。
    執筆陣はいずれも期待の新星や漫画読みなら知る人ぞ知る隠れた実力派ばかり、星新一の奔放かつ柔軟なイマジネーションが大胆なアレンジによって原石に磨きをかけるよう生まれ変わっている。
    個人的なお気に入りは「包み」と「帰郷」。両方とも漫画ならではの豊饒なイメージの横溢が素晴らしい。
    「包み」の主人公は大器晩成の画家、冴えない無名画家として食うために筆をとっていた彼の転機とは……?ある時はイノセント、ある時はグロテスクに。一個の包みに着想を得て画家が生み出した世界の奥深い表現が美しい。
    「帰郷」はモノクロなのに暗黒の宇宙空間で瞬く星の色が見えるような表現力に脱帽。空想上の少女と孤独な青年との触れ合いがロマンチックだけに、ラストが絶望を帯びた哀切を醸す。
    「調査」のコミカライズ担当は青木朋。机上の九龍など作者の過去作のキャラがゲスト出演してるのもファンには嬉しいサプライズ。
    他の作品もそれぞれ可愛かったり皮肉だったりとハズレなし。
    星新一既読ファンは記憶を振り返りながら懐かしくも新鮮な気持ちで、未読の者でも楽しく読めるが興味がでたらぜひ原作にも手を伸ばしてもらいたい

  • いわゆるトリビュート短編集。
    出来が悪いとかではなく星先生の作品は文章で無いとあのドライな雰囲気は出せないと思う。

  • 「包み」「帰郷」が好き。

  • 例によってショートショートのコミカライズのため、必然的にオムニバス形式になってます。

    「包み」
    これは確かに「絵」にする意味のある1篇。
    画家の想像と実際に形になった絵が一緒に見れる、しかもそのイメージが違和感なく絵になっているのがいいのです。
    それから漫画としてのテンポもいい。
    作家に一番重要なのは想像力、という話ですが、同時に「形にしたい何か」なんて意外とどこにでもある、という示唆でもありますね。

    「地球から来た男」
    独特のファンシーな絵柄とコミカルな表現、そして幸せな生活の描写…でコーティングされていますが、その中にはどうしようもなく残酷な切なさがあります。
    どんなに幸せでも、そこに「ずれ」を感じる生活って…どうなんでしょうねぇ。

  • どの話も、絵に個性があって面白かったし、あとがきでは星新一が好きな方ばかりということがわかり読んでいて楽しかったです。

    「宇宙からの客」は話を知っていたのですが絵がとてもあっていて、ドキドキしながら読みました。宇宙人の表情が最高です!
    「地球から来た男」は漫画になってかわいそうさが倍増していました。

    まだ1巻、2巻を読んでいないので、すごく楽しみです。

  • 前の三巻に比べてちょっとパワーダウンが否めない感じかなー。
    なんでだろ?

  • 毒性が、多くの漫画家の手が加わる事によって、更に増している、としか思えない
    元より、星先生のショートショートは、その短さ故に、作品としての密度が高く、読み手に独特の世界観を共有しているような錯覚を強いらせるのだが、星先生に対して畏敬の念を持っているのが絵柄から伝わってくる、実力派と言い切っていい漫画家らが新しいカタチの作品にしたことで、作品の中に引き摺り込む腕力が増した。捻りも何もない表現だが、二人に襟首を掴まれているようだ
    何と言うのか、小説にしろ、漫画にしろ、読み手を“魅了”を通り越して、中毒にして何ぼなんだな、そう、しみじみ感じる高品質
    どの作品も、レベルが高く、それぞれに良い所があるので、順位は決められないが、単純に好きな作品を一つだけ挙げるなら、手代木史織先生が手掛けた『包み』だろう
    『聖闘士星矢 冥王神話 THE LOST CANVAS』で、先生の麗しいタッチに惚れているってのも理由の一つだが、埋もれていた才能を引っ張り出す原因ってのは案外、ちっぽけなものってメッセージと、最後の最後で引っくり返しに来るオチは絶句もの
    次のオムニバスも楽しみ。今度は、星先生のどの傑作が、トップランカーの漫画家らによって化けるのかな?

  • 個人的目玉の手代木史織版は、いかにもこの人らしいドラマチックな筆致。押見修造のマンガ絵の力を使った「まさか」と「なるほど」の同居、岩岡ヒサエ版の現代スリラーのような緊張感も良かった。

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著者プロフィール

1926 - 1997。SF作家。生涯にわたり膨大な量の質の高い掌編小説を書き続けたことから「ショートショートの神様」とも称された。日本SFの草創期から執筆活動を行っており、日本SF作家クラブの初代会長を務めた。1968年に『妄想銀行』で日本推理作家協会賞を受賞。また、1998年には日本SF大賞特別賞を受賞している。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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