それでも親子でいなきゃいけないの? (akita essay collection)

著者 :
  • 秋田書店
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (123ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784253107358

感想・レビュー・書評

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  • R1.9.8 読了。

     この本を読んで、長い間親のことで悩んでいた私もちょっと救われた気持ちになります。世の中の一般論で「親孝行」「親不孝」と選別されて、さらにその考え方を一方的に押し付けてくる人ばかりではないことにも触れられていて、ホッとしました。

    ・「自分の親や家族が強烈だと、どうしても他の家族がものすごくマトモに思えたり、神聖な感じに見えたりすることがあります。だけど人間、全くなんの問題もない家族、ってことはそんなにないと思います。」
    ・「過去の出来事は変わらなくても、自分の「今」がちょっとでも自分の満足するものへ近づくと、過去の印象が変わるのかもしれないです。満足するっていうのは、目に見える恋愛とか結婚とか出産とか出世とかそういうことではなくて、自分自身が求めているものに自分が応える、っていうことだと思います。」
    ・「いつでもどんなことだって、自分のことであれば、自分が決定していい、というのは揺るがない答えのひとつかなと思います。」

  • 「毒親」漫画と言えば、の田房さんの2014年初版の本著。

    親子の絆や形は絶対的なものという当時の雰囲気を表題『それでも親子でいなきゃいけないの?』が示している気がする。

    そして、5年が経過し、親も万全ではない、或いは親子も距離を取る必要があるいう見方も随分広がってきた。

    私自身も30代手前の息子2人の母として、もう私自身の親に関わる辛さは、いいのかなという段階まで来ている。
    もちろん、疎遠にしているからこそだが。

    そろそろ世間は、「親」という言葉に込めた万能感から脱却をし、子どもを慈しむ能力を欠いた親が一定数いるが、それは子どもの所為ではないということを受け入れてはどうだろう。

    精神科医水島広子さんが著作『「毒親」の正体』で述べているよう、こうした親の背景には、発達やパーソナリティの障害、精神疾患等があることが臨床上で明らかになっているとのこと。

    田房さんが本著で取り上げた親たちは、どうみてもエキセントリック。

    よくも悪くも、思い込みが激しく、加減を知らない。突き進んでしまいがち。(あっ、私もだ。息子たちよ、ごめんね。)

    受け手の娘にとっては、防戦一方で、押し付けられるばかりで苦しい。親からの支配や操作で身動きが取れない。

    他の見方ややり方があるという発想が苦手。行動や思考にブレーキがかかりにくい。

    結局、母親のそんな気質を娘である私たちもどこかに抱えていて、嫌いなのに、自分もその部分に悩むというのが構造ではないだろうか。

    親なのに、こんな状態です、ではなく、こういう人が子どもを持ちました、という見方。

    まずは自分の心と体の安定である。
    そんな親から一旦離れて、自分の辛さや寂しさを判断なしに聞いてくれる専門家や人を見つけて、長らく蓋をしてきた自分の心を開けてみる。

    いつまでも「毒親」や「AC」という言葉のレッテルに拘泥して、被害者でいることは嫌だな。
    自分の人生だもの。
    子育ても終わったので自分のために、気持ちよく過ごしたい。

  • 親子に関する違和感、体験や考えがまとめられたコミックエッセイ。
    親に対するヘイトを口にすると「いくら嫌いでも苦手でも、育ててくれた親なんだから!」と説教してくる人いますよね。そういう風に言えるのってきっと真っ直ぐに育ってきた方で、純粋に羨ましいしすごいなと思います。
    私の親はたぶん毒親ではなかったけれど、それでも私はなぜか小さい頃から家族という枠にずっと居心地の悪さを感じていて、高校卒業後すぐに実家を出て現在に至るまで両親、きょうだいとは滅多な理由がない限りは距離を置いて過ごしている。
    だから、家族を嫌いであること、家族と関わらずに生きていくことを認めてくれるこんなエッセイがあると心底救われる気がします。
    それでも親子でいなきゃいけないの?そんなことはない。

    "毒親"は、決して親を罵るための蔑称ではない。病名でもない。
    あくまでも子供が自分と親を切り離して考えるための言葉であって、誰かに判定してもらうものでもなく、自分の「つらい」という気持ちを基準に決めていいんだ。

  • 作者や作者の周囲の人たちの親との確執を描いたマンガ。
    読んでて、親も子供もすごい・・・と思った。
    親は相変わらず訳の分からない言動で子供を振り回すパワフルさにあきれるし、子供の方は精神的におかしくなっても不思議でない状況なのに何とか精神的、経済的に自立しているのがすごい。

    特に最初の女性の体験談がすごい。
    その人の母親はまるでロボットのように自分の母親に操られていて自我がない人。
    さらに兄はニートで、彼女に性的な嫌がらせをする。
    祖母は一家をしきっていて、そんな親子に振り回されおかしくなると思った女性は早々に家を出る事を決意。
    自分でバイトでお金を貯めて大学の入学金を用意(100万円!)。
    さらに一人暮らしまで始める。
    こんなに早々に自立した考えをもてて、ちゃんと行動できるなんて・・・すごすぎる!
    でも、そんだけ家がつらすぎたって事なんだろうな・・・と思った。

    最近、続けざまにこの作者のマンガを読んでますが、続けて読んだので作者の成長ぶりがめざましい。
    これは私が今まで読んだマンガの後に描かれたもののようで、このマンガでは結構客観的に自分と親との関係を見つめているし、さらには他人にアドバイスができるようにもなっている。
    今は親とは自分で決めた範囲で会い、いい感じの距離感でつきあっているよう。
    これから親が年老いていくとまた別の形に親子関係が変っていくのかな・・・と思うけど、多分もうこれまでのように親に振り回される事はないだろうな・・・と思う。

    今回も「あ~、分かるわ。私もあるわ」というのがあって、例えば母親に似ている人を引き寄せてしまうという話。
    自分の話しかしない、人の話は聞かないというタイプの人と何故か気がつけばいる・・・というのが「うん。うん。そうなんだよな~」となった。
    多分、昔から家でも他でもそういう人といる事が多くて、ものすごく嫌なのに何となく慣れていて安心してしまうというのがあるんだと思う。

    あと親がしんどい人は一般的に心が狭いような・・・人を許せない人のように思われがちだけど、むよしろ、許して許して許しまくってきた、限界まで許してきた人なんだというくだりは読んでいて心あたたまった。

    今までと違い、作者の心に余裕が出て、昔の事を思いだして笑ったりするという場面があり、良かったね~と思いました。
    能天気な母親が娘に拒否されて、
    「滝に打たれたい気分です~」
    というのには私も噴出した。

  • ここに出てくる人たち全員、親子でいる必要のない人たちだと思うんですけどねぇ。

    にも関わらず、親子の絆を断って欲しくない、いや、断たれると困る人たちがいるんでしょうか。当然娘息子本人はしんどいし、私自身ここに書かれてあることのつらさが分かります。伝わりすぎてこっちまで死ぬほど苦しくなるくらい。だから、逃げて正解、絶縁して当然で、さらに逃げたことで幸せになって人間関係も改善されるのであれば尚更悪いことはどこにもないはずです。

  • 自分が壊れるまで、親子関係を続けなくてもいいのです

    というメッセージ。「母がしんどい」人たちは

    親の過去の悪行を「許さない」人じゃなくて

    「許して許して許しまくった挙句

     限界を超えてしまった」人たちなんですよね

  • うちは親が亡くなってから楽になれた。

  • いやぁ、ヒドい。ウチの母親もかなりなものだけれど、ここまでひどくはない。こういう親御さんに育てられた人達は、一刻も早く自立出来るようになって、自分らしく生きることが出来るようになって欲しい。

  • 「うちの母ってヘンですか?」の続編、今回も強烈な毒親オンパレードです。しかし、「毒親」としてテレビ等で簡単に消費されてしまう現状への違和感や、田房さんの母親再会など、それ以外のコンテンツも盛りだくさんです。田房ファンならぜひご一読を。

  • 一巻完結。
    『母がしんどい』その後のエピソードと、
    作者が同じ悩みを抱える方々を取材した、
    人それぞれ様々な形の『毒親』話を収録。
    様々な形があれど、少しでも共通する部分は必ずどこかにある。
    一般人には伝わらない『毒親』の辛さを皆で共有し、対処法を学ぶ。そんなエッセイ漫画。

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著者プロフィール

1978年東京都生まれ。漫画家、エッセイスト。武蔵野美術大学短期大学部美術科卒業後、漫画家デビュー。2001年第3回アックス新人漫画賞佳作受賞。2012年、母との確執による葛藤を描いたコミックエッセイ『母がしんどい』(KADOKAWA/中経出版)を刊行。そのほかの著書に『しんどい母から逃げる!!』(小学館)、『キレる私をやめたい』(竹書房)、『ママだって、人間』『お母さんみたいな母親にはなりたくないのに』(共に河出書房新社)、『大黒柱妻の日常』(MDNコーポレーション)などがある。

「2021年 『なぜ親はうるさいのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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