Black Jack―The best 11 stories by Osamu Tezuka (17) (秋田文庫)

著者 :
  • 秋田書店
3.86
  • (134)
  • (53)
  • (186)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 817
レビュー : 69
  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784253171175

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • これ程、人間の多面性と多様性、そして、ジレンマを、一つの作品の枠の中で描ききった作品もなかなかないと思います。

    日本人なら、作品タイトルと主人公の風貌ならば知ってる、といっても過言ではないくらいの名作で、医療漫画の金字塔。

    私にとっては、訳あって、最近手塚治虫氏に興味を持って、初めて読んだ手塚作品。

    無免許の外科医「ブラック・ジャック」が、患者を治すため、その天才的な手術の腕を振るう、一話完結型の、大枠それ自体は至極シンプルなストーリー。

    しかし、一人の人間の中に矛盾的な面が同居する複雑さ、医師や患者それぞれのエゴ、誰かに向ける愛情、医療における永久的な課題や医師のジレンマなど、様々なテーマが、毎回毎回、20ページほどの短い中にきっちりと収められています。

    主人公のブラック・ジャックは、幼い時に悲惨な事故で母を亡くし、同時に自身の身体はバラバラになって、恩師のおかげで奇跡的に助かって医師を志した人物。

    天才的な腕を持つ外科医だけど、無免許で、法外な手術料を要求し、はたからみれば金に汚い面を持つ。
    けれど、自身の幼少期のことがあるのか、特に、子供や、子を持つ親の一途さには甘く、結果的にしてもただ働きをしたりも平気でする。
    他の医師に興味がなさそうに見えて、馬鹿にされれば、意地になって張り合ったりするプライドの高さがある。

    あるきっかけから産み出した、同居人の少女「ピノコ」には、家族としての深い愛情を持つ。
    母を捨てた父と、母を殺した事故を起こした人々を憎み、復讐に手を染める。けれど、その過程で、苦悩もする。

    そして、いくら天才的な外科医であっても、すべての患者を救えるわけではなく、そのことにひどく肩を落とす。
    中には、助かったことを苦にして自殺してしまう患者までいて、それが彼を、ひどく傷つけ、悩ますこともある。

    矛盾するようで同居する人間の様々な側面をブラック・ジャックは持ち、決して完全無欠のヒーローではない様が、かえってそれ故に魅力的です。

    毎回登場する患者たちも、善人もいれば、悪人もいて、そして、それを取り巻く家族や友人の人物模様があり、悲喜劇に満ちていて、飽きません。

    そして、ピノコとの、親子とも夫婦とも恋人とも言い難い微妙だけどよい関係と、ブラック・ジャック大好きなピノコの無邪気な一途さが、時に重いテーマを和ませてくれます。

    主要キャラの人物像や生命に関わるテーマという縦糸と、毎回変わる患者や進展する状況の横糸が巧みに組み合わさってできた、まさに名作ですね。

  • 最終の17巻、最後の話はピノコの健気さがとにかくかわいい。
    ブラックジャックとピノコのコントラスト。これもブラックジャックの魅力の一つである。

  • チャンピオン・コミックスには未収録の作品を読むために購入。「金! 金! 金!」,「不死鳥」,「おとずれた思い出」が初見。ウランちゃんが出て来たり,ピノコ出生話の後日譚があったり,感慨深く楽しく読めた。今更ながら,1回分の限られたページ数の中に,濃いストーリーを書き切る手腕には脱帽である。

  • 全巻読破。最高に面白かった、初めての手塚治虫。

    まずはピノコと先生の関係が素敵。親子のようで、師弟のようで、ひたすら先生一筋、常に一番の味方であり助手であるピノコ。父親のようにピノコと接し、時にピノコを思って距離を置きながらも常に大切に思っている先生。ぎゃー、素敵。ピノコいいなぁ。私も先生の助手になりたい。

    そんで、ストーリーが面白い。一話がびっくりするくらい短いのに、それぞれに全て面白くてあっという間に17冊読み終わってしまった。ブラック・ジャックの命に対する姿勢がかっこいい。医療に対する想いとプライドがかっこいい。

    また、昨今の漫画と違って、綺麗にスッキリ終わる話が少ない。「こんな悪いやつなんだから苦しんだらいい。そのぶんブラック・ジャックが幸せに終わるべきだ」と思う話でも、大抵一話の終わりはブラック・ジャックが何事もなかったかのように去りゆく後ろ姿なんかで終わっちゃったりする。
    勧善懲悪でもなく、救済の話でもなく、ただ淡々と患者に最善を尽くし、自分の信念を曲げないストーリー展開はちょっと新鮮だった。

    ともかく、ブラック・ジャックがかっこよくてかっこよくて、先生すてきなのよさー!という感じでこの1週間過ごしておりました。

  • 時間が無いときでも
    もう一話、もう一話、…もう一話だけ読んだらやめよう…
    と、ページを捲る手が止まらない。
    先生とピノコの関係が大好き。

  • 犬のかわり 腹膜炎 鳥女 地下街で火遊び 隣国からの密航者 ネバダ州競馬ステークス 胆石 ピノコの危ないお色気も、手塚作品の底に流れる主旋律の一本だ。

  • 一番最後に家が壊れてしまう。ブラックジャックは天才外科医でありながも、自分自身が不発弾の爆発事故の被害者であり、父親との葛藤があり、人間形成の過程を歩んでいるひとりの人間なのだなと思った。そのなかで、ピノコは、時には娘としてブラックジャックは父親の役割であり、時には恋人として立ち現われ、ときにはコワーカーとして同僚としての側面があって、ブラックジャックの人間を深めるベストパートナーなのだと思った。

  • 最終巻でも淡々としたもの。

    黒男の復讐すべき5人の相手も、結局3人は分からないまま…

    一話完結も良いが、長編も読んでみたかった。

  • 2016/01/31

    ピノコ再び/人間鳥/ふたりの修二/パク船長/化身/純華飯店/金!金!金!/キモダメシ/不死鳥/おとずれた思い出/台風一過

  • 「俺の仕事は人間を治す事だか、死ななくすることじゃない」という「不死鳥」批判が印象的。結局は延命治療批判なのだろうが。

全69件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

手塚治虫(てづか おさむ)
1928年11月3日 - 1989年2月9日
大阪府生まれ、兵庫県宝塚市出身の漫画家、アニメーター、アニメーション監督。その功績から、「漫画の神様」とも評された。1946年デビュー以後、漫画を表現とストーリーでもって魅力的な媒体に仕立てる。『ジャングル大帝』『鉄腕アトム』『リボンの騎士』『火の鳥』『どろろ』『ブラック・ジャック』『アドルフに告ぐ』など、世に知られる多くの代表作があり、アニメ化・実写化された作品も数知れない。

手塚治虫の作品

Black Jack―The best 11 stories by Osamu Tezuka (17) (秋田文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする