学校怪談 (1) (秋田文庫 55-1)

著者 :
  • 秋田書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784253177825

感想・レビュー・書評

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  • 高橋葉介の代表作。内容は学園を舞台にした短編ホラー漫画で、血生臭い話もあれば、不気味な余韻を残す話もあり、ショートショートとして読んでも物語がかなりしっかりしている。同じ漫画家の荒木飛呂彦は『死刑執行中脱獄進行中』のあとがきのなかで、短編を大きく、

    A.登場人物の行動や思いをひたすら追いまとめた作品
    B.ほんの短い時間の出来事を切り取って、そこに人生やテーマを
      閃光のように象徴させる作品
    C.ナンセンスやサスペンス、ムード、デザイン、エロ、グロ。
      それそのものを描くのを目的とした作品
    D.日記やエッセイ、手紙

    の4つに分類している。

    その分類法で言えば、高橋葉介という人はCの名手だと思う。純粋なショートショートの追求者という印象を持った。この短編集は、題名が先にあって、その題名を膨らませるかたちでストーリーが作られている。日常のふとした違和感や出来事から、血みどろの惨劇に繋がったり、異世界の扉が開くというのは、星新一の小説をホラー漫画にしたような趣がある。それも一編一編のレベルが高いところに高橋葉介の才能があるのだろう。

    似たような作風でいえば諸星大二郎が挙げられるが、諸星大二郎のような叙情性や突破力はないものの、カッチリとしたストーリーを作り上げて読者を楽しませるという面においては、高橋葉介がショートショートで5年も連載を続けられたことからも力量が伺い知れる。同じ作者の『我楽多街奇譚』のあとがきを読むと、ト書きの原作脚本を書いてから、ネームに取りかかるという製作方法をしているらしく、だから物語が一定して切れ味鋭いのかと納得した。

    また、意味性を物語に持たせていないのは、登場人物の名前が統一されていて、前の話で首チョンパされていても、別の話では別の役割が与えられているところなどに象徴されていると思う。そのことによって、超現実的な悪夢感が、単行本で通して読むと発生するのが面白い。

    でも、正直言って、最後の読み切りだけは諸星大二郎リスペクトがヒドい! そこだけが残念だった。

  • 下駄箱に隠れていたイジメられっ子が獲物を狙う「潜むもの」、深夜現れて赤い靴を履かせ女の子の脚を斧で切り落とす殺人鬼の恐怖「赤い靴」、クラスメイトの頭の後ろに眼や口が現れる「眼」、女の子の口から出て他の人の体に移る蛇の恐怖「渡り蛇」、登校拒否する生徒の体に起こる変異「少年ナイフ」など、学校の生徒や教室に起こる怪異を描くシリーズ第1巻。

    「潜むもの」「赤い靴」のような学校の怪談の定番ものから、デヴィッド・クローネンバーグ監督のホラーや「鉄男」のような人体変異ホラー、人形ホラー「ぬいぐるみ」、身体が再生する女のバイオホラー「手」、「エルム街の悪夢」のような「眠るな」などバラエティ豊かな学校怪談漫画。

  • スラップスティックあり、しんみりあり、ギャグあり、怪奇あり、と豊富な連作。
    「栞と紙魚子」シリーズを少し連想する。
    セリフなしの「人魚」や、顔が怖可愛い「座敷童子」がよい。

  • 絵がとても素敵 でほんとスタイリッシュですよね。時代を感じさせない画風。話も序盤は結構単純かなと思ったけど中盤くらいからはシュールで毒が効いてて読み応えばっちり。「スイカおばけ」とか「マンホール・マン」とか、内容はグロテスクなのにどこかコミカルなのはホラー漫画の醍醐味ですよね。「掘れ![dig]」はもはや勢いだけ。
    「壁がある!」は発想にも感心したけど同じくらい怖かったなぁ。恐怖感ってのはイメージのしやすさに比例すると思うんだけどまさにそれ。あまりにも突拍子もないことだと怖さを感じないけど、壁が少しずつ狭まって行動範囲が減っていくことの閉塞感とストレスは想像しただけでゾッとする。コミックス版で揃えるか文庫版で揃えるか悩むなぁ

  • 最初の方のオムニバスも好きだけど、久鬼子先生が出てきてからの物語がさらに好き。

  • その名の通り「学校の怪談」です。

    面白い漫画を探してたときに手塚治虫→藤子不二雄と来て、この人のこの作品に行き着きました。

    初めて読んだ時、あまりの気持ち悪さに吐きそうになりましたが、読んでるうちに完全にハマりました。

    何なんだ!!この魅惑的な人物たちは!!
    そして何なんだ!!この気持ち悪いクリーチャーどもは!!
    テンション高いなあ・・・楽しそう・・・・
    オエエエエエエ、スプラッターがえぐい!!
    あー、面白かった。

    という感じ

    非常に読み手を選ぶ作家ですが、面白いです。

    主役の山岸君が手塚治虫の「ザ・クレーター」のオクチンを思わせるが、影響はあるのかしら。

    この作品に限って言うならガイナックスのアニメとか、ぬーべー先生に似てるかも。

    純粋に怖い話が好きとか、SFショートショート的で好きという意味合いで読んでる人がいるそうですが、個人的にはこんなに楽しそうに書かれた怪談は少ないような気がします。

  • 高橋葉介氏を初めて読みました。独自のワールドに引き込まれる。恐怖という名の重力――惑星。怪奇。奇怪。ショートショートでしたがすごい作品ぞろい。山岸君は何回死んでも生き返るの?並行世界なのか。ある意味おでんくんみたいな。

  • 怖いというよりか気持ち悪いと思うような作品でした。

    独特の絵がとても好きでした。

    一巻目は人の描写がリアルで巻数が上がるにつれて絵柄がコミカルになっていきました。

  • 高橋葉介の絵はかなり好みです。
    主人公であるはすの山岸君は、1・2巻では狂言回し的ポジションで、3巻からはいきなり九段先生に主役の座を奪われ、5巻以降は完全に女3人に振り回されてる。そんな山岸君が可愛い。
    割と学園ものの要素が入っててコミカルに仕上がってる。
    夢幻紳士がたまーに顔を出すのが嬉しい。

    文庫で全8巻

  • 九段九鬼子先生の登場以降、くだけた学園モノという印象が強まってしまいましたが、それ以前の雰囲気が好き。

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著者プロフィール

1956年、長野県生まれ。77年「江帆波博士の診療室」でデビュー。『夢幻紳士』『学校怪談』、『もののけ草紙』などのシリーズで人気に。独自の「怪奇幻想マンガ」を描き続ける。

「2023年 『魔実子さんが許さない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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