海馬/脳は疲れない ほぼ日ブックス (ほぼ日ブックス # 第2弾 1)
- 朝日出版社 (2002年7月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784255001548
感想・レビュー・書評
-
脳の仕組みについて、池谷さんと糸井さんが対話した本
目次
<blockquote>第1章 脳の導火線
第2章 海馬は増える
第3章 脳に効く薬
第4章 やりすぎが天才をつくる
</blockquote>
なかなか面白い本だった。
脳の仕組みに関しては、それほど目立った新しい説があるわけでなく、池谷さんの研究上のエピソードとか、こぼれ話的なのが多かったかな。
これは、対話というスタイルの中で、話が右へ左へと変化するが故のモノだと思う。
杓子定規に決まったようなことを書く普通の本とは違う点だね。
話の中身は面白いけれど、スタイルが対話だから、まとめづらい。
流れが答えみたいなもので、まとめるのがむずかしい。
<blockquote>「経験してわかる」ことに関しては、大人になってからのほうが発達しているのです。三〇歳以上の人のほうが経験した内容を縦横に駆使できますし、年を重ねるほどに脳の働きをうまく利用できるという現象も起こります</blockquote>
この本で興味深かったこと。頭をうまく使う為に経験を増やす。それこそが大事なのだな……と思った。
そしてそれが、つながりに変わる。
<blockquote>年齢を重ねると遠視になるので、顕微鏡の下でピンセットを使うような細かな作業をしにくくなりますが、脳自体は三〇歳や四〇歳を超えたほうが、むしろ活発になると言われているんです。三〇歳以降の脳は、独特な働きをするようになるので、それを利用できるかできないかで、ずいぶん変わってくると思いますよ。</blockquote>
年をとって、意識しないのに、はっきりわかるほど違うんですよね。この微妙な感覚、わかります?
三十歳にはその境界が来るんでしょうかね……。楽しみではあります。
具体的にこうってのがあまり書けない。面白いけれど、残らない。
しかし、コピーライターって人の話は無知であっても話を面白く展開するもんだなぁ……詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
糸井重里と、大学で海馬の研究をしている池谷先生との対談形式でつづられています。ムツカシイ話というより、糸井氏が他の人との対談で感じたことや普通人として感じることに、脳の仕組みを少しづつおりまぜているという感じ。
脳の細胞は新しくつくられることはなく、生まれてすぐからどんどん死んでいくというイメージがあります。しかし海馬では、神経細胞は日々死んでいくけれども、新しく作られるという。また、脳を使うことによって、細胞同志のつながりがどんどん広がっていき、30代が一番細胞間のつながりを広げられる時期だという。いろんなことに興味を持ち、知識を広めようとアンテナを張り巡らすと、脳細胞もどんどんつながりを広げていくのです。
本の中で自分で「盲点」が体験できたり、2本の線がつながって見えたり、脳自身が整合性を勝手に取ってしまうのを体感できるのも面白い。また、一体何が描かれているかわからない絵を、「これは牛です」と言われると牛にしか見えなくなってしまったりします。
しかし、オバサンの私にとっては、もう少し早く読むべき本だったかも……。イヤ!年なんて関係ない!(と自分に言い聞かせる) -
糸井重里と池谷裕二の気楽に読める対談本。良いマッチアップ。アタマがイイ/ワルイなんて議論にちょっと引っ張られ気味だが、「こんなヤツ(例えば頑固な人)は面白くない」とか、うなずいてしまう箇所多数。
アルツハイマーの検査に使う図
見て覚える課題・・・大人と子供で成績に差がない
描いて覚える課題・・子供は見るだけの時と変わらず、大人は100点近い成績になる
⇒自分の手で描くことで「経験の記憶」(手続記憶だっけ?)になる。「経験の記憶」はつながりを認識する力のある大人が優れる。
(こうして読書ノートを作って良かった。。。)
「今まで一見ちがうと思われたものが、実は根底ではつながっている」ことに気づき始めるのが30歳を超えたくらいの時期・・・つながりを発見する能力
⇒ある意味、自分の過去の経験に縛られてしまうという側面もある。脳(経験)に逆らうこともクリエイティヴィティには必要。
海馬は記憶のゲートキーパー。刺激により大きくなる、旅とかがプラスだろうと。隣に扁桃体がいてこちらは感情対応。海馬とは連携していて、好き嫌いで記憶を選り分けていると考えられる。
センスは記憶。
⇒そう、やっぱり経験がモノを言うと思います。「どう経験するか」のスタンスを、また「センス」と言うのかもしれないけれど。
図形パターン(約500通り)に神経細胞が反応しているという実験は興味深い。理化学研究所田中啓治氏。
モーツァルト効果?『二台のピアノのためのソナタニ長調K.448』 -
やる気がでないのは誰しも共通で、そんなときはまず体を動かしてみる、行動してみることが大事だということに納得した。
体が疲れていても脳は疲れないとのことなので、考えて学ぶことは体調不良の時でもできそうだし、天才にはなれんけど学び続けていきたいと思う。使われてない脳を少しでも使うことができるようにしたい。
-
海馬研究者の池谷裕二氏と糸井重里氏の13時間以上の対談
他の脳科学関係の本にないような知識もあり、
何より、特に歳を重ねた人向けの応援的な内容 -
人の体の中でも最も重要な器官のひとつ、脳。
騙されやすく、適当で、疲れずに働く。
それだけ聴いていればなかなか見所のアル奴だ、など思わずにはいられない。 -
脳について、わかりやすい。
と読める本でした。 -
・年齢を重ねても方法記憶は蓄積される
・頭のいい人とは、テストで点数を取れる人?物理の法則を知らなくても、運動神経が素晴らしい人は頭がいい?
素人でもわかりやすい言葉で噛み砕かれて書かれていて、面白く読める本 -
自分が知らなかった脳の情報が詰まっていた。
勉強に役立つ対策も知れてよかった。 -
だいぶ前に読んだことがあったが、忘れてしまっている部分もけっこうあった。
脳って、やっぱり面白い。
可能性の限界を自分で決めつけてしまわず、様々な経験をつんでいきたい、と思った。
いくつになっても、好奇心をもって。
・・・記憶が増えるぶん、心に垢がついてしまうことも多いけれど。
【memo】
P42 ストッパーをはずして、ひとつ違う局面に行くことを何度かやると、次にできることの可能性が増える。
P46 ものごとを枠内に封じ込めて考えを止めている人を「頭がかたい」「わからずや」と言って憎んでいる
2005.5.16
脳の話を中心に、幅広い内容だった。糸井さんがすごい聞き手だ、と感じた。池谷さんも素晴らしい人なのだろうが、その素晴らしさを引き出しているのは糸井さんだ。私は記憶力にはかなり自信がない。だから、読み終わった今もこの本の内容を総体として思い出すことができない。でも、部分は残っている。何事も無駄ではないのだろう。面白い本だった。