死を忘れた日本人

著者 :
  • 朝日出版社
3.30
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本棚登録 : 91
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784255005263

作品紹介・あらすじ

伝統も宗教も失って、無力に死に直面する日本人に救いはあるか。どこに「死に支え」を求めるか、がん専門医が、2万人の治療に関わって考えたこと。

感想・レビュー・書評

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  • 半分までよんでの感想。
     今まで死をテーマにして読んできたけど、この本はちょっと違う導入のしかただと感じた。時間から、細胞のお話などがあり、理系受けする内容だなと感じた。死の苦しみや、死の捉え方を知りたい人にとっては、ちょっと違う本だと思う。その点この本は死を別の側面からとらえることができ、面白い本だと思った。
    読了後
     がんによる死は、余命期間があり人生の集大成を行うことが出来るとの著者の発言にその通りだと思った。アメリカではがんで死にたいと思う人が多くおり、これは、緩和ケアが十分に行き届いているからだとも書かれていた。
     昔は、死は身近にあり、現代では核家族化などで、身近な存在ではなくなった。身近なものでないから受容が進まず死を遠ざける傾向にあるんだと思った。
     その彼もがんで亡くなりたいと表明している。ピンピンコロリは残された家族に対しても死を受容する期間が少ない点も指摘されていた
     著者は2万人ほどのがん患者を診た人だ。そんな人が発する言葉には重みがあると感じた。

  • 宗教の話と、がんの進展の話が多かった。
    病院での死の現状、死に関する日本の習慣。すごく身近な部分とそうじゃない部分があわさって、勉強になった。

    やっぱり、もっと死について語り考える場は必要だと思う。

  • 「宗教なき時代の死の需要」
    がテーマでたくさんの方を看取った経験がある医師が書いておられる

    本の中では、一神教と日本の宗教間の違いなどは書かれているけど、一神教(イスラム教やキリスト教)が何なのかいまいちわかっていないので、そんなに日本はダメなのかなぁよくわからないなぁと思ったキリスト教やイスラム教の人は死が怖くないのかな???そこはハテナマークのままでした

    初めから
    宇宙の成り立ち、生命の成り立ちを細かく書いてくれていて、人も宇宙の一部で死んでも元に戻っていくだけ、不死身とかはないと言う表現はすごく納得できた

    人間の体も、常に細胞が死んでは生まれ変わっていて
    何を持って死するのかも確かによくわからんなぁと思った
    単細胞生物なら踏まれたり焼かれたりしたら死ぬけど、人間もそう言われたら単細胞生物のような細胞の集合体

    死ぬことを恐れるのはで人間だけ
    大脳が大きくなりすぎたせいだと

    それはすごく、納得してしまって、次の世代に命を繋いだら、死んでもいいと思える生物としての本能が、大脳によっておかしくなってしまった?のが人間なんだなと
    子育てが終わったら、害にならないように生きていきたいなー

    欧米ではガンで死にたいという人が多く、著者もそうだと書いてあるけど、
    文章の後の方では間で死にたい人はいないでしょう、と書かれていて???となった

    どうせ死ぬならガンがいい を読んだ直後だったのでこの人もガンで死にたいのか!私も!と思ったけどどうやら違うらしい
    そこらへんよくわからなくなったので⭐︎4にしました(それ以外はとてもいい本です!)

    死の練習が昔はできたけど(いろんなところで死を経験した)今は病院等に隔離されてしまっているから、つらい、怖い、縁起でもないとなっている
    死の予習は大切

    死に方を選べなくなった国、日本
    というテーマの部分はすごく共感するところがあって、医療との付き合い方を含めて今からでもどう死にたいかは考えていかないといけないテーマだなぁと思った

    最後にダイジェスト版みたいなところがあるので、そこから読み始めてもいいかもしれません

  • 日本人(40代以上)の死因第一位の「がん」や、がん治療について、新たな視点や考え方を得る事が出来た。がん治療の功罪についても考えさせられた。
    宗教や死生観、哲学の分野にも踏み込んでいるが、宗教については恐らく著者が無宗教のためか解説がお粗末な感は否めない。がんという、緩やかな死・人生のタイムリミットが見える死に方を前に、一人ひとりが死や死後の世界などについて考えされられる事は不可避である。その答えは一人ひとりが出すしかないのであろうが、本書は死や死に方について、人生について考え始めるきっかけになる。日本人は死から目をそらし「ピンピンコロリ」の死に方を希望する人が多く、逆にアメリカ人は死の準備ができる「がん死」を希望する人が多いという箇所は印象的だった。

  • ・最近読んだ(まだ読了していない)「オスは生きてるムダなのか」にも通じる話もあり、哲学よりも雑学的。

    ・手塚治虫が医学博士で「火の鳥」を書いたことに通じるような、イメージ。元素を受け取って、死んでその元素を宇宙へ解き放つ。

    ・宗教は科学と相反するもののようで、死という自分にとっての不条理に対する防護システムに感じた。そして、死んだ後は遺された者の哀しみへの癒しシステム。

  • 細胞分裂の数を限定すること(死ぬということ)を受け入れ、我々は性を得た。それは多様性を求めたから。
    体は遺伝子の入れ物であり、脳は体の王様。
    そして、進化し過ぎた脳は「自らの死」を知ることになるが、それを否定する。
    かくして、宗教は生まれた。
    日本人は無宗教が多いが、海外では宗教を持たないと変人。
    一神教信者は、生活と人生では悩まない。すべては神様が決めるから。
    「プログラムされた」細胞の死を「アポトーシス」と呼ぶ。これは、個別のための細胞の死。全体に捧げる殉死。
    死ぬまでが自分の人生だが、死んだ後も大切な人達の中では続いていく。

  • で?
    というのが率直な感想。
    そんなに皆「死」に対して無関心かなぁ?
    そんなにまでして「生かされたい」のか?
    「ゆるやかな死」が本当にいいのか?
    そんなに皆、死を受け入れてないのかなぁ?

    〈内容紹介〉で、
    伝統も宗教も失って、無力に死に直面する日本人に救いはあるか。どこに「死に支え」を求めるか、がん専門医が、2万人の治療に関わって考えたこと。

    とあるのだが、このタイトルに、この内容???
    ホント、“考えたこと”をつらつらと綴っているだけ。
    (そもそも死に対して救いを求めなければいけないのか?
    「死に支え」は必要なのか?)

    外国では宗教が死の怯えを緩和しているといいながら、
    日本では宗教心が希薄、なんでもありの“ごった煮”宗教とし、
    「宗教なき時代の死の受容」など可能なのか?
    などという。
    信仰心は薄いとされながらも、
    こんなにも色んな神々を受け入れ、祈る日本人。
    それによって「死」への怯えを緩和し、
    救いになっているんじゃないのか?
    また、日本人に自殺が多いのには宗教心が薄いのが大きく関わっているとし、
    自殺を罪とするキリスト教徒は少ないとする。
    関わりがないとはいえないけれど、
    セーフティネットの乏しさ、責任感の強い生真面目な民族性、人間関係の変容など
    社会的背景の方がはるかに大きな要因だと思われる。
    そして、ここに尊厳死などもからめているのだけど、
    キリスト教のなかでも、尊厳死は自殺、sinである、
    という議論は今でもなされているわけで、
    様々な要因を含んでいるにも関わらず、
    宗教ひとつをとって欧米とこんなに違う!と、
    しれっと書いて比較するのは、
    どうなんだろう…。

    宗教、哲学、時間論、脳科学など
    色んなことを書いているのだけど、
    多角的に物事を見ているわけではなく、
    狭い範囲でしか物事をとらえていない。
    知識の風呂敷をばーんと広げただけな気がする。
    矛盾や、重複する内容も多く、まとまりがなく、読みにくい。
    結局何がいいたいのか、焦点が定まらない。

    ページごとのポイント(しかもポイントとは思えない)は
    本文をいったん分断するので非常に読みづらい。

    死刑囚にも必要な「さよなら」の時間
    は、本書に含めた意図がわからない。
    死刑囚は自身の刑の執行を当日の朝、知らされるのだそうだ。
    この事実にはびっくりはしたし、これがいい方法だとも思わないけれど、
    数時間後に執行されるため、「さよなら」の時間がない、
    という著者の言葉には、首をかしげる。
    刑が確定した時点から「さよなら」の時間があるんじゃないのか?
    被害者は「さよなら」の時間もなく、恐怖と不安の中で、
    この世を去らなければならなかっただろうに。

    日本人は「死」を忘れたり、
    受け入れられなかったりしているんじゃない。
    「死」を前に、家族や会社、経済的なことなど、具体的なことに対して
    不安や心配があるだけでは?
    いつ死が訪れるのかを聞いて、
    長ければ自他ともに身辺整理など準備はできるかもしれない。
    でも、死を受け入れるのに、死の恐怖の有無に、
    期間が長いか短いかは、あまり関係ないような気がする。
    時間が長くて、考えすぎて恐怖が増す人だっているだろうし、
    短くても、それが自分の運命なんだなと腹をくくる人もいる。
    いくら「死」への知識を増やしたところで、
    臨死体験でもしない限り“未知”の領域で、(にしても生き返っているわけで本当の意味で死を経験したわけではない)
    知識が邪魔をしてすんなり死を受け入れられない人だって
    いるんじゃないのか?

  • 昭和に入るまで「○○家の墓」はなかったということは、墓を守るって概念自体が親の世代のものでしかないわけだ。日本中のソメイヨシノが江戸の染井村で人工交配によって作り出された桜で全く同じDNAを持っているとは知らなかった。ドリーだな。

  • 死後は、ただ灰になるだけだと思っていたけれど、元素として宇宙に吸収され、また何らかに生まれ変わっているそうです。死んだら星になるって昔から言うけれど、あれは本当の事だったのね。

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著者プロフィール

1960年生まれ。東京大学医学部卒業。東大医学部付属病院放射線科准教授兼放射線治療部門長。厚生労働省がん対策推進企業アクション議長。

「2023年 『人生を変える健康学 がんを学んで元気に100歳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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