恋愛美術館

著者 :
  • 朝日出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784255005867

作品紹介・あらすじ

恋愛小説を読むように絵画を読む。名品の数々を生んだ芸術家達の愛と苦悩の人生模様。ピカソ、モディリアーニ、モネ、ルノワール、カミーユ・クローデル、ドガ、ムンク等、カラー図版60点。

感想・レビュー・書評

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  • 美の本質は恋愛にある。なにものかを恋い求める際に激しくかきたてられる感情。モディリアーニ、ピカソ、ジェローム、ドガ、ベアトリーチェ、マネとモネ、ルノアール、ムンク、カミーユ・クローデル、モンマルトル、モンパルナス。アーティストの人生と作品の背景を語る。

    貴族からブルジョア、ルネサンスから近代絵画・近代都市への移行期。貧困や悲恋、恋愛遍歴、自由放浪のボヘミアンなアーティストたち。現代とは違う論理倫理構造だからこその作品群。

  • 絵画、彫刻の「恋愛にまつわる物語」をまとめた一冊。

    恋愛を描いた名画の物語もあれば、名画を描いた画家自身の物語も。

    著者の西岡文彦さんは、版画家、多摩美術大学の教授でもあり、沢山の美術本を書かれている方。
    また、『日曜美術館』、『世界一受けたい授業』、『芸術に恋して』、『誰でもピカソ』、『タモリ倶楽部』等、様々なテレビ番組も手がけているようです。

    西岡さんの本を読むのは二冊目。文体としては、中野京子さんに比べると真面目な印象だけど、主観をあまり入れないので、俯瞰で美術の世界を見ることが出来る。
    だからといって堅すぎもなく、バランスが絶妙です。

    収録作品は、モディリアーニを最後まで献身的に支え続けた若き妻を描いた「ジャンヌ・エビュテルヌ 」、
    恋多き天才画家、ピカソの「抱擁」、
    自分の作りだした彫刻に恋をしてしまうギリシャ神話の名場面を描いた、ジェロームの「ピュグマリオンとガラテア」、
    印象派の年長者ドガの描いた「アプサント」、
    イタリアの詩聖ダンテの運命の女性との出会いを描いた、ヘンリーホリデイの「ダンテとベアトリーチェ」、
    印象派の後輩夫妻を描いた、マネの「モネ夫妻」、
    華やかな表現で描き続けたルノワールの「ムーランドラギャレット」、
    恋愛、飲酒に苦しみ、終盤は孤独に過ごしたムンクの「吸血鬼」、
    ロダンとの宿命的な恋愛で知られる彫刻家カミーユの「ヴェルチュムとポモナ」、
    素朴な人柄でみんなに愛されたルソーの「詩人に霊感を与えるミューズ」、など。

    この前、メトロポリタン美術館展でジェロームの「ピュグマリオンとガラテア」(写真はその時購入したポストカードです)を見てきました!
    ジェロームは、印象派に対抗し、アカデミックなテーマ、描き方を続け、「芸術の名に値しない」と当時は酷評されていたとのこと。
    この絵は惹かれるものがある。ギリシャ神話が好きというのもあるけど。
    ジェロームの他の絵も見たけど、断然この絵に吸い寄せられる。後ろ姿でこんな見入ってしまう絵は他にあまり無い気がする。
    (いや、他にももっとあるかもしれない。調べてみます)

    切り口も面白く、それぞれのエピソードも断片的ではなく、その時の時代背景も書かれている。
    勉強になる一冊でした!

  • いま、自分が興味あるので、
    美術関係の本はほとんど面白く感じる。
    でも、やはり、
    「恋愛」でくくるのが一番面白いですね。
    ゴシップ的になることなく、
    それぞれの画家の個性が理解できました。
    絵もちゃんと載っている点も良いと思います。

  • 2021年 1冊目

    「恋愛小説を読むように絵画を読む」というコンセプトは良かったものの、いざ読んでみると実際には歴史的事象や想像の範疇を出ない事柄の羅列であり、冒頭のコンセプトには合致してないと言える。

    著者の、丁寧と言えば聞こえはいいが要はまわりくどい文章の書き方も自分にはハマらなかった。

  • 美術、そしてその背景を知って余計興味深い。

  • c

  • DVD「カミーユ・クローデル」予約しました。。。

  • 「人は皆、魂の磁石を持っている。知らず知らずのうちに、自身の向かうべき先を示す英知の指針というものを、自身の内の深くに秘めている」P170より

    だとしたら、悲恋も、貧窮も、惨めな死も、本人が求めたということ?と思える悲惨なエピソードも出てくる、芸術家たちの恋愛模様―モディリアニ、ピカソ、印象派の面々、ムンクほか―。

    個人的には、世相、ムード、芸術家がおかれていた立場のほうがおもしろく読めた。19世紀、近代化で人々の暮らしも意識も変わったこと。ブルジョワに対する清貧と自由の象徴になった芸術家とか。イタリアやフランスのような美術大国には、大きく遅れていたイギリスだけど、産業革命により列車内で読む本が流行り、挿絵は盛んだったとか。「不思議の国のアリス」「ハリーポッター」など、イギリスといえば、おとぎ話の国なのは、こういう経緯も関係あるのかな、とか。

    この本では、史実や出来事だけでなく、著者の人間観や感想も述べられているが、同じ時期に読んだ「印象派という革命」木村泰司著は説明に徹していて好みだった。

  • プロテスタントの隆盛が、キリスト教の肖像画や人物画を禁止したことにより、風景画や静物画が始まり、先行するオランダの風景画に憧れて、初期のフランスの風景画は、モンマルトルの風車を描いたものが多いなど、恋愛以外にも、興味深いエピソードが満載で楽しい。もちろん、芸術家たちの激しい恋愛話は読み応え十分。芸術家毎に各編がまとめられているが、カミーユ・クローデルの彫刻が、ジェロームの「ピグマリオンとガラテア」に影響を与えたのではなど、編間のつながりもあり、絵画や彫刻の鑑賞が、更に楽しく感じられる。

  • モディリアーニで始まりモディリアーニで終わる感じ。このタイトルどうなのかなぁって思ったけど、つい手にとってしまったから、思惑通りなのかも。内容はとても面白い!そしてわかりやすい!

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著者プロフィール

多摩美術大学名誉教授・版画家

1952年生まれ。柳宗悦門下の版画家森義利に入門、徒弟制にて民芸手法の型絵染を修得、現代版画手法としての合羽刷として確立。日本版画協会展、国展で受賞(1977・78)、リュブリアナ国際版画ビエンナーレ五十周年展(2006)に招待出品。作品が雑誌「遊」(工作舎)に起用されたことを機に編集・デザインに活動の幅を拡げ、ジャパネスクというコンセプトを提唱。1992年国連地球サミット関連出版にロバート・ラウシェンバーグらと参画、2005年愛知万博企画委員。著書『絵画の読み方』(JICC)、『二時間のモナ・リザ』(河出書房新社)等で、今日の名画解読型の美術コンテンツの先鞭をつけ、「日曜美術館」等、美術番組の監修を多く手がける。著書多数、全集「名画への旅」、「アート・ジャパネスク」(共に講談社)を企画、共著にシリーズ「公共哲学」(東京大学出版会)がある。

「2024年 『柳宗悦の視線革命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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