非道に生きる (ideaink 〈アイデアインク〉)

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  • 朝日出版社
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レビュー : 141
  • Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784255006772

作品紹介・あらすじ

極端だから、人をひきつける。
こんなの映画じゃない。『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』『ヒミズ』……性・暴力・震災など
現実に切り込む衝撃作で賛否両論を巻き起こし続け、最新作『希望の国』では日本最大のタブー、原発問題に真っ向から挑んだ鬼才映画監督・園子温(その・しおん)。
社会の暗部を容赦なく明るみに出す刺激の強すぎる作家が「映画のような」壮絶な人生とともに、極端を貫いて道なき道を生き抜いた先の希望を語る。「これからのアイデア」をコンパクトに提供するブックシリーズ第4弾。
画期的なブックデザインはグルーヴィジョンズ。

感想・レビュー・書評

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  • 園監督作品との出会いは「ヒミズ」
    以来、「希望の国」「地獄でなぜ悪い」と立て続けに観ています。

    この「ideaink 〈アイデアインク〉」シリーズ自体が面白いかも。
    他のも読んでみよう。

    1961年生まれで、なんと三谷幸喜と同い年と。
    すごいな、1961年生まれ。

    生きてきた時代の臭いがプンプンする内容でした。
    バブルがはじけ、就職超氷河期、リーマンショックなどの風をもろに受け、
    保守的に生きてきたわたしには、いささか理解しがたいところもあるし、
    「その当時はそんなのも許せただろうね」と、ちょっと冷めた視線で読み進める青春時代の件も否めませんが、
    歳と経験を重ねた今、出会い、時代が追いついたのか、
    はたまた時代がそれを求めてるのか、
    今提示される作品のひとつひとつが、
    わたしにはとってもかっこよく見えたりします。

    過去の作品、とっても怖いもの観たさですがやっぱり観たい。
    (「地獄でなぜ悪い」もぎりぎりだったからなぁ。「冷たい熱帯魚」とか・・・冷汗)

    • tzwさん
      愛のむきだしからお願いします。
      愛のむきだしからお願いします。
      2013/11/14
    • onionさん
      コメントありがとうございます!
      「愛のむきだし」からいこうと思います。
      「モテキ」観る前に、出会うべきでした。
      アドバイスありがとうご...
      コメントありがとうございます!
      「愛のむきだし」からいこうと思います。
      「モテキ」観る前に、出会うべきでした。
      アドバイスありがとうございます!
      2013/11/15
  • 映画監督園子温の半自伝。破天荒な思春期を経て映画の道へと進んでいった道程、不遇時代の生活ぶりや果敢に売り込みを図っていくようすなどが綴られている。映画という表現形態に求めているものや映画製作のスタンスについて、ぶれることのない信念を持っていることを再確認できた。誰になんと言われようと、どんなに悪評されても、自分が表現したい、発露したい感情や言葉をそのまま創作にぶつけること。そして「質よりも量」を目指し、たった1人でも10人分の作品を生み出せばムーヴメントを巻き起こしていくことができるのだ、そうするのだと、あらためてここで宣言されている。

    ”報道やドキュメンタリーでは取材する相手をカメラに収め、彼らの言葉を収めていきます。しかし、その言葉はすべて過去形で語られます。「あのとき、何が起きたか、どうだったか」――決して、現在進行形で「その刹那」が語られることはありません。いま現在の体験を描くこと。これが、実話を基に僕がドラマを作る理由の一つです。”(p114)

    ”映画に込めるべきは「情報」ではなく「情緒」です。(・・・)出来事の追想ではなく、出来事の真っただ中にいるときの気持ちや情感を、貧弱な言葉でもいいからそれで綴ること、それがドラマ映画にあるべきスタンスだと思います。映画は「事実の記録」ではなく「情緒の記憶」なのです。”(p135-136)

    これらの言葉は、くしくも、その回顧展で感動させられたばかりのフランシス・ベーコンの芸術論を想い起こさずにはいられない。画家いわく、鑑賞する者に呼びかけるのには、彼らの「脳」(思考や言語)にではなく、「神経システム」を経由して、すなわち情動によってそうしたい、と。ベーコンが抽象芸術同様に、説明的な物語的な芸術を拒絶するのは、それらは「脳」に働きかけるだけで「神経システム」に働きかけないからである(ベーコンが用いる「脳」は高次機能を司る大脳皮質を指し、「神経システム」とはそれ以外を意味していると思われる)。
    対象を極端に歪めたり分解して描いているのは、そうすることによって鑑賞する者の感覚領域そのものを押し広げたり変容させることになるからだとベーコンは言っているし、歪めて描かれた対象そのものがむしろ鑑賞者自身の「歪められた神経システム」を表現しているともいえるだろう。

    思考や物語的読解を拒み、情緒を揺さぶることを志向する態度が彼らには通底している。この立場はむしろ現代アートにおいてはしごくまっとうで正統であるように思えるが、商業的であることが製作の前提とされている映画の世界においては、すでにいま社会に分かりやすく充満している欲望を満たす物語が資本に要請されているのが現状である。心地よいストーリー、涙を誘う展開。そこに驚きやあらたな広がりをもった世界は、ない(共同出資による「○○製作委員会」システム=合議制をとりわけ園は批判している)。芸術家としては王道である園子温は、映画監督としてはいつまで異端児なままなのであろうか。

  • いや、彼はまだ自身が成功したとは思ってないだろうし、オレも成功者だとは思ってない。強烈に面白い人だとは思う。子供の頃からのバイタリティは変わらずあるんだろうけど、文面からはおごることもない落ち着いた「いい大人」という印象。でも、熱い。熱すぎる! 「恋の罪」が今まで観た映画の中でいちばん好きなのだが、あれは女性目線だったのか。発見。

  • 園子温によって語られる園子温のこれまで、そして「刹那」に生きてきた今までの人生が本人によって語られている。

    園子温映画によるモノローグの集中砲火(『紀子の食卓』など)が前半にあるためにその登場人物が後半にどう動くかが違和感なく観客に受けいられていくように、その『非道に生きる』を読んでいくと園子温という人がなぜ映画監督として突出しているのか、なぜそのフィルモグラフィーがあるのかがすうっと入ってくる。

    まず、これは生き方の本だ。これは創造する人の本だ。

    周りの顔色に合わせて同じ青信号でなければ渡らないのであれば他者との差異は絶対に生まれはしない。それは協調性のある国民性によるガラパゴス化がうまく発揮されない現在において自分がどう生きるかを考え刹那に動こうとする時に周りなんか関係ない。今、何信号であろうが必要があれば走ってしまえばいいし、あるいは東京ガガガのようにその交差点すら幕で囲んでしまって交差点という特異性を封印してしまえばいいのだ。

    昔お会いして話を聞いている時にバブル後ぐらいにエアマックスとかスニーカーが流行ったから買い漁っていた連中のほとんどは今や仕事を失ってたりして無惨なことになっていると言われていた。
    これはスニーカーを買い漁っていたのが問題ではなくて、ただ流行っているからという理由だけで買い漁っているような周りを見て動いているやつは結局沈む時には周りと同じように沈むんだよって教えられた気がしていた。だって、未だにスニーカーが好きで好きで面白いやつが出たら買って履いてを続けている人は彼らとは違う、もはやスペシャリストですらあるんだから。

    周りなんか気にしせずに突き進んでいいくとそれが特異なものに武器になる。それにはもしかしたら覚悟が必要なのかもしれない。世間とは違うのだから。園さんのような生まれ持った天の邪鬼気質ではないと難しいのかもしれない? いやそんなことはないはずだ。

    僕はやりたくもない仕事をしてそれが給料も安定していてボーナスが出ても仕事のストレスで結局は心身ともに壊れていくのなんかお断りだ。人生について考えればそんな生き方をしていて自分は楽しいとは思えないから今みたいな状態になっている。

    二十代中頃で園さんの『ハザード』を劇場で初めて観た衝撃は僕の人生の中で忘れられない出来事だった。あの時に感じた事がここで書かれていると読みながら思った。僕はあの映画の中でオダギリジョーさんが演じたシンの刹那的に生きる衝動に惹かれ、周りなんか気にしないで自分が面白いと思う事に対して咆哮し彷徨したいとあの日渋谷で思ったんだ。

    園さんの視線は彼の作品について語られるようにエログロなものではなくて他者を排除しようとか敵意をむきだしなんてことはない。四畳半の生活の中でそれでもずっと続けてきてどん底と呼ばれる生活を得て様々な人と向き合ってきたその視線はとても優しい。

    園子温作品は人に夢を見せないで夢から醒まさせる、そう覚醒を促す。覚醒したものはもはや過去の自分には戻れるはずもない。しかし覚醒した世界でその五感は以前よりも敏感になっている。だからこそもっと前よりも自分の「個」がより際立ってくる。

    だから周りなんか気にしないでいい、刹那に非道に生きれる。

  • "大阪への新幹線で読む。園子温さん。映画監督。この人の体験が語られている。波乱万丈な生きざま。あっという間に読み切った。
    恥ずかしながら、園さんの映画はまだ拝見したことがない。
    早速レンタルしてみたくなった。
    まずは、冷たい熱帯魚、愛のむきだし、恋の罪、ヒミズ、希望の国あたりから・・・

    この感想を記入してから数日後に「冷たい熱帯魚」をレンタルで見た。
    強烈な作品だった。最後まで目が離せないけど、目をそらしたくなる映像も大量にある。
    強烈なキャラクターを演じたでんでんさんが光っている。
    人を洗脳していく流れが多少強引な部分もあるが、自然に思える。気の弱い人なら従ってしまいそうだで、怖い。今後も注目の監督。"

  •  初の自伝的エッセイ。幼少期の思い出から映画監督としての歩みまでがコンパクトにまとめられている。正味170ページ程度の薄い本なのですぐに読み終わるが、強烈な印象を残す本だ。

     タイトルの「非道に生きる」とは、世間が敷いたレールの上を歩くような生き方をしないことの謂である。
     なるほど、本書を読むと、著者の半生は常識への挑戦の連続だ。小学生時代、「なんで服を着て学校に行かなきゃいけないんだろう」と思い、フルチンになって教室に入るなどし、通知表に「性的異常が見られます」と書かれたというエピソードを筆頭に……。

     高校生のときの詩人デビュー、22歳での映画監督デビュー以降の、表現者としての歩みもしかり。型破りなことこのうえない。

     「もしも映画に文法があるのなら、そんなものぶっ壊してしまえ。もしもまだわずかに『映画的』なるものが自分に潜んでいるとすれば、それもぶっ壊してしまえ」という思いで映画を撮りつづけてきたという園子温は、「映画の外道、映画の非道を生き抜きたい」と「はじめに」で宣言する。
     そのような姿勢にもかかわらず、難解な前衛作品にはならず、大いに楽しめるエンタテインメントでもあるところが、『愛のむきだし』以降の彼の作品のユニークなところだ。

     園子温の生き方と本書に込められたメッセージは、岡本太郎とその著作を彷彿とさせる。たとえば、次のような一節が――。

    《他の人と同じ考え方をするために生きるのなら、生まれなくてもよかったとさえ思います。少しでも面白くないと自分が思うことは一切やらない。それを他人が「非道」と呼ぼうが、知ったこっちゃない。》

    《ピカソのように、フォームをぶち壊したところで遊ぶのが表現者にとっては一番面白いはずです。「小津っぽいね」「ウォーホルっぽいね」と言われて喜ぶとしたら、その人は真のアーティストではないと思います。》

    《表現者は自分で時代を作るくらいの気持ちでいればいいのです。具体的には「量より質」ではなく「質より量」で勝負することです。自分の作品が認められない、と時代を嘆くのではなく、自分の作品を無視することができないくらいに量産して時代に認めさせればいいのです。》

     映画監督を目指す者のみならず、表現に携わって生きたいと願っている者にとっては、勇気を与え、背中を押してくれる一冊だろう。岡本太郎の著作がそうであるように……。
     これまでの代表的作品の舞台裏も明かされているから、園子温作品のファンも必読だ。

  • idea ink シリーズの一冊として
    著者は映画監督(知らなかった)
    わが道を行く、主張。

  • 園子温監督作品は一本も観たことがないけど、情熱大陸で気になって読んだ。幼少期から変な人だった。好きなことだけをする生き方。

  • もータイプ

    今気になる人

  • 前半がどうでも良くなるくらい、最後の部分が良かった。

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著者プロフィール

映画監督・詩人・アーティスト。1961年愛知県豊川市生まれ。17歳で詩人デビューし、「ジーパンをはいた朔太郎」と呼ばれ注目される。1987年、『男の花道』でPFFグランプリを受賞。スカラシップ作品として1990年に制作した『自転車吐息』がベルリン映画祭に正式招待される。1993年には、無意味・無目的・無宗教の運動体「東京ガガガ」を組織し、東京の路上を詩でもってゲリラ的に占拠。東日本大震災の翌年には『ヒミズ』(第68回ヴェネチア国際映画祭で主演二人がマルチェロ・マストロヤンニ賞受賞)、『希望の国』(第37回トロント国際映画祭最優秀アジア映画賞受賞)を世に問い、世界でも高い評価を得る。2015年には『新宿スワン』『ラブ&ピース』『リアル鬼ごっこ』『映画みんな!エスパーだよ!』と年間で4作品を発表。同年7月にはChim↑Pomキュレーションによる初個展「ひそひそ星」を高円寺 Garter@キタコレビルにて開催し、9月にもChim↑Pom発案の「Don't Follow the Wind」展(ワタリウム美術館)にて像インスタレーションを発表。2016年5月に『ひそひそ星』を公開。

「2016年 『園子温作品集 ひそひそ星』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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