断片的なものの社会学

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  • 朝日出版社
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レビュー : 116
  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784255008516

作品紹介・あらすじ

路上のギター弾き、夜の仕事、元ヤクザ……
人の語りを聞くということは、ある人生のなかに入っていくということ。
社会学者が実際に出会った「解釈できない出来事」をめぐるエッセイ。

◆「この本は何も教えてはくれない。
  ただ深く豊かに惑うだけだ。
  そしてずっと、黙ってそばにいてくれる。
  小石や犬のように。
  私はこの本を必要としている。」

一生に一度はこういう本を書いてみたいと感じるような書でした。
ランダムに何度でも読み返す本となりそうです。
――星野智幸さん

どんな人でもいろいろな「語り」をその内側に持っていて、
その平凡さや普通さ、その「何事もなさ」に触れるだけで、
胸をかきむしられるような気持ちになる。梅田の繁華街で
すれちがう厖大な数の人びとが、それぞれに「何事もない、普通の」
物語を生きている。
 * * *
小石も、ブログも、犬の死も、すぐに私の解釈や理解をすり抜けてしまう。
それらはただそこにある。[…]社会学者としては失格かもしれないが、
いつかそうした「分析できないもの」ばかりを集めた本を書きたいと思っていた。(本文より)

感想・レビュー・書評

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  • 若干ねちっこい。社会学者が聞き取り調査をし、結果とか過程とか関係なく意味もなく、ただそこにあった存在していた断片的な物語の数々をまとめたエッセイ。怖さはないし全然違うんだけど「遠野物語」のような空気を感じた。

    「あとがき」が一番心に響いた。「誰にも隠されていないが、誰の目にも触れない」、「土偶と植木鉢」、「笑いと自由」、「普通であることへの意志」が特によかった。本の雰囲気がふわっとあたたかいような気がした。


    堅苦しいようなエッセイで、これはエッセイではなくて一種の語りのような気がしたし、著者の自意識の欠片みたいなものを感じて読みにくいなぁ…とか思いつつも読了。序盤と終盤は濃かった。中盤はくどいよ…と感じた。心にしみる内容もあり読み終えて時間が経ってから、自分は内容がある物語よりもあまり意味がなさそうで「だから何?」と思える欠片のような話が好きなんだと改めて気がついた。

    読むか読まないかは別として、この人の(岸さんの)小説(『ビニール傘』)ってどうなんだろう…と、とても気になった。。。他…作品中でも紹介されていたし巻末にも掲載されていた末井昭さんのエッセイ『自殺』も気になる。

  • かなり面白い。
    時間的な余裕で湯船にお湯をはれる日しか読書は出来ないけど、ないよりはマシだ。まとめて時間を取れないので、こういう断片的なものはとても良いなー。
    色んな人が居る、だけどその全ての話を聞いたり、声に耳を傾けたり、考えたり悩んだりは出来ないけど、こうやって知る事が出来る。色んな人の断片的な会話、地下鉄でヘッドホンをはずしてただ流れてくる会話に意識があるような、そういう本。
    そうなのだ、障害者の対義語として健常者があるのではない。そこには健康を当たり前とし障害について考えた事のない人々、というのがあるだけなのだ。
    1ヶ月くらいかかってよーやく読了。
    凄く楽しく面白い本だった。
    世界の本。社会?それは人の話。面白かったー。
    何度も読み返したくなる。突き刺さるような現実が、こんなにも優しいなんて。素敵な事を知った。

  • 社会学かエッセイかカテゴリ迷いましたが、エッセイに。

    素敵な文章も書ける社会学者って、最高だと思います。岸k

  • 幸せの只中にいる花嫁花婿に向かって、婚姻制度が、家父長制度が、戸籍制度が、強制異性愛主義が、ロマンチックラブイデオロギーが!などと議論を吹っかけるのは野暮である。
    マジョリティの幸せを祝福すること、祝福することを強制することは、そうでない者への暴力となる。その一方で、おめでとうの気持ちも本心で、もう、一体どうしたらええか分からん、と正直に言うてるところが素敵。
    淡々と、時に熱っぽく描かれている、とりとめのない情景や心情にぐいぐいと引き込まれた。

    この本は、ミランダ・ジュライの『あなたを選んでくれるもの』が併売されてあった書店であえて購入。お、分かってるなここの書店、と思える自分にいやらしさも感じつつ。でも、そういう良い書店を応援していきたいのは正直な気持ち。

  • 植本一子さんの本に書かれていて読みたいとメモし買っておいた。
    読むまでにしばらくかかってしまったけれど。

    思いもかけない物語の片鱗がとても興味深かった
    いつも目の前にあるのに、目にしながら気づいていないことはたくさんある。

    子ども=しあわせ 概念についても考えさせられる
    子どもは結婚すればできて当然
    子どもがいる人 いない人 で自然と疎遠になっていく
    私たちはそういう、世の中の幸せというものから自然に遠ざけられていく

    私たちは孤独である。
    脳の中では特に。
    どんなに愛し合った恋人同士でもどんなに仲良しの友達でも脳の中までは遊びに来てくれない

    経験則のない話はできないという圧倒的な対象が
    出産、そして育児だ 
    妬みや嫉みがなくても
    産んだ人 産んでいない人
    育てた人 育てていない人
    大きな境界線が敷かれる
    どちらが偉いとか偉くないはない というけれど
    ほんとうにはそう思っていない人は絶対数いるとおもう

    無意味なことはたくさんあるけれど
    その羅列でこの世は出来上がっている という解釈が
    心地よくわかりやすくエピソードがおもしろい
    知らぬ間に読み終えていたような本だった

  • ほとんど完璧な読書だった

  • 伊集院光さんの深夜ラジオの「空脳」コーナーを思い出した。
    私はこんな本に出会うために読書をしている。

  • 本は窓
    いつでも外に行くことができる

    結婚を祝うこと、出産が幸せだということを強要する違和感

    肉体労働と性風俗は似ている
    ある感覚に一定の時間耐えることで対価をもらう

    レッテル、ラベルの貼られてないマイノリティのユートピア性

  • 友人に薦められて読んだ。
    日常の通り過ぎてしまうかもしれなかった事柄を集めたエッセイ。少し読みにくさはあったが、何度か読み返して読了。
    沖縄についての考察はあたたかくも鋭くて身に沁みた。
    習字の手直しの時に先生との触れ合いについての文章は、昔のことを思い出してじんときた。

  • たとえば日曜の昼下がり、新宿や渋谷の街を行きかう途方もない数の人混みを前にして、こんなにたくさんの人たちが世の中にはいて、自分がいまこうして息を吸って吐いているのと同じように、この人たちのそれぞれにも、普通の、平凡な、にもかかわらずひと言では要約できない人生があるという、それこそ平凡であたりまえの事実に、なぜだか胸が苦しくなってしまった。

    なんて経験のある人は、この本を読んでもきっと同じように、なぜだか泣きそうになってしまうかもしれない。いまこのこぢんまりとした本棚にある中で、ともすると、いちばん多くの人にひっそり手にとってほしい本。

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