- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784255010908
作品紹介・あらすじ
画家であり絵本作家の安野光雅氏の挿絵でおくる、カラー版世界名作文学シリーズの第3弾!
谷川俊太郎氏の最新訳による「あしながおじさん」。何世代も世界中で愛されてきた作品を、大人になってもう一度読みたいというひとびとへ贈る主人公の少女ジュディ、あしながおじさん、学校の友人たち。全ての人物に作者の愛情が注がれ、変わらない温もりがこの本の中にはずっと息づいています。少女ジュディの想像力豊かで、機転が利いてユーモアたっぷりの数々のあしながおじさんへの手紙が、谷川氏の名訳により蘇り、時代や流行、言語の違いを越えて、あたたかく読む者のこころを癒してくれます。
感想・レビュー・書評
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谷川俊太郎さんの訳した『あしながおじさん』を読む。よく考えると、あしながおじさんを読むのはじめてだ。1967年に出版された少年少女世界の文学の初版本。装丁が美しく、いまさっき、偶然持ち込まれたもの。必然なのかな。
作家としての表現力をやしなうには、手紙を書くのがいちばんだと、孤児院から大学へ通わせてくれたあしながおじさんと一方通行の文通をするミスジルーシャアボット。実はぼくも架空の女性「詠美」へ向けた手紙を毎日書き綴っている。手紙って、ほんとに魅力的で、内面の強度を高められる。
内部の強度を鍛える。。外側だけ取り繕っても、現代の社会では、それなりにきれいなものが出来上がってしまう。学生でも、子供でも。それは、響かない。かといって、愛などと言う誰にも反論が許されない抽象的なものでもない。コピー&ペーストでつくられる安易な表現に飛び付くのは、もう卒業しよう。ぼくたちは、ホンモノを磨くためにひとりになる。ぼくは、ダメダメだ。
人生でりっぱな人格が必要になってくるのは大事件がおこったときじゃありません。いざというときにはだれだってしゃんとするものだし、大悲劇になら勇敢に面と向かうことができます。だけど、日常のみみっちいいざこざをわらいとばすってことは、これこそ根性がいるわ。
あしながおじさんとジュデイは、会ったことがないのに、生きている時間を過ごせてる。ただ居合わせた二人とは違う。死んだ時間を何千時間過ごしても意味がない。お互いに尊敬し、信頼し、協力する。それが愛する秘訣なのだと思う。
長新太さんの挿し絵も素敵だった。
世界はこんなにもおおくのものでいっぱいだ
わたしたちがみな王のようにしあわせであるべきなのはたしかなことだ
愛されるよりも愛することって、素晴らしい。過去や未来の不安に創造力を発揮させるなら、いまここに生きることを大切にしたい。いま思いを寄せることに集中したい。
あしながおじさんとのラストは、とても温かい気持ちになった。
未来の大作家ムック詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
谷川俊太郎さんの翻訳と安野光雅さんの絵が素晴らしいです。
ジュディーの率直で前向きで、ユーモア溢れる言葉の数々はキラキラしていて、読んでいて心が磨かれて洗われるようでした。
本人が書く手紙なのに彼女がどんどん新しいことに出会い、学び、お洒落に、素敵になっていく様子が読んでいて楽しく、ワクワクしました。
読み始めたら止まらないこのお話は、ジュディの成長譚でありながら、同時にハッピーエンドに違いないと思いながらも様々な角度から想像して時々切ない、素敵なラブストーリーでもありました。
谷川俊太郎さんのまえがきと安野光雅さんのあとがきにも心を打たれました。
これまで読んだ本の中で一番好きな本になったかも知れません。 -
何度読んでも色褪せない名作。
主人公があしながおじさんに送る手紙からなる本作は、とっつきやすく、主人公に共感しやすい。
劇的な場面は少ないが、少女にとっての悲しみや喜びを丁寧に描いた作品。 -
名作が谷川俊太郎の訳と安野光雅の絵で楽しめます。自分を支援してくれる人の正体はたぶん誰でも気になると思うけど、紳士がハゲかどうか気にするジュディには思わず笑ってしまいました。
(YA担当/ぽんこ)令和3年2月の特集「外国文学のススメ」 -
子どもの頃に読んだはずなのに、
まるで覚えていなかった。
ほんっとに面白い傑作。
ジュディの知性と率直さを見出したあしながおじさんの導きで、
カレッジで学ぶようになるジュディの変化が、
一方的な手紙を通じて、
情緒豊かに展開していく。
この一方通行が重要なのだ。
まるで精神分析のように、
おじさまがそこにいるのかいないのか、
何を感じ考えているのかわからないからこそ、
素直になったり、怒ったり、
いろんな感情が広がっていく。
ジュディの劣等感と傷つきと寂しさは、
体験のない人間には容易には理解できないのだが、
それを不幸にしない心のちからこそ、
あしながおじさんが彼女に惹かれたところではないだろうか。
おそらく途中からジュディ以外の読者は、
このからくりが見えてくるはずだが、
それでも最後の最後まで、
息もつかせぬ約5年間の手紙がどのように終わるのか、
ふたりはどうなっていくのか、
わくわくが止まらない。
そして私は、胸を打たれて涙した。
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安野光雅の絵が、なんとも魅力的であり、
物語に旨味を与えている。 -
美しいシンデレラストーリー。
悲観的じゃない姿が勇気を与えるし、
最後の驚きも知ってて読んでも楽しめる。 -
とても有名な物語。「少女漫画」の原型。はじめて通読してみました。
ジュディは、まるでキャンディーキャンディーのよう。書かれた順番は逆ですけれど。
谷川訳の乙女な手紙の文体は、大学生にしてはなんだか幼くも感じるけれど、こんな風に上機嫌で朗らかな手紙を毎月受け取れるなんて、なんて素敵なことでしょう。
不機嫌な言葉ばかりを耳にすることの多い時代だからこそ、読まれるべきものだと思うのです。
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児童書の名作は、世界名作劇場のアニメをたくさんみたが、本は全く読んだこともないかもしれない。この本は少し前に雑誌で紹介されていて、読んでみようと思った本。
訳がいいからか、原作もそうなのか分からないけど、100年も前に書かれたのに全く古い感じもせず、すごく面白く読めた。結末はアニメでなんとなく覚えていたけれど、それでも飽きることなく読めました。
時代は全然違うけれど、いま読んでも前向きになれるシンデレラストーリー。娘がもう少し大きくなったら読んでみて欲しい。
Amazonで名作劇場が見られるので、1話だけとりあえずみてみました。懐かしかった。 -
世界名作劇場のアニメ版がとても面白かったので読みました。
児童文学なだけあってとても読みやすかったけれど、全編手紙の内容だったので、主人公以外の心情が理解しづらいと思いました。