絵を見る技術 名画の構造を読み解く

著者 :
  • 朝日出版社
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本棚登録 : 1593
レビュー : 100
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784255011110

作品紹介・あらすじ

【同じ絵を見ても、プロと素人では、見ているところが違っていた!?】

・この絵の主役はどこ? 
・なぜ、この絵に惹きつけられるのだろう?
・前情報なしに絵を見たとき、どう目を動かしたらいいの?
・バランスや構図が良いとか悪いとか、みんな何を見て言っているの?

ちゃんと絵の中にヒントがあるんです。
センスがなくても、知識がなくても、目の前の絵画を「自分の目で見る」、
そして「良し悪しを判断する」ことは、できるんです。
謎を解くカギは、ぜんぶ絵の中にあります。

絵の研究は、「意味」と「形」の二本柱。
この本では、これまであまり触れられてこなかった、「造形」(線や色やバランスや構図)の面から歴史的名画を見ていきます。

描かれたモノを「見る」ためには、少し見方を訓練していないと気づかないものです。

ダ・ヴィンチ、ラファエロ、ルーベンス、
ベラスケス、フェルメール、ゴッホ、セザンヌ――
超有名なあの名画、知られざるあの傑作、
どう見たらいいか迷う抽象絵画、20世紀を代表する写真まで――

たくさんのカラー作品を練習問題に、初歩の初歩から階段を上がっていきます。
はじめて見る絵でも、パズルを解くようにスルスルと絵を読み解いていく面白さ、
味わってみませんか?

「どういう絵に対しても使える本書で紹介した絵の見方は、
コンパスのような役割を果たしてくれるはず。
名画がどうして名画と呼ばれるのか。
今まで見ようとしなかった真実が、きっと見え始めるでしょう」――著者

感想・レビュー・書評

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  • 何故こうした本が今まで出なかったのだろう。
    「芸術」とは、実は緻密に計算された理性の上に成り立つものだということを、教えてくれる。
    理性を超えた、何やら崇高な感性の賜物だと思い込んでいた方、目からウロコですよ。

    絵画を読み解く知識も技術もなければ、ただ「見る」だけに終わってしまい「観察」することも出来ない。では、観察のためのスキームを解説しましょう、というのがこの一冊。
    テキサス大学で美術史の修士号を取得し、2015年からはビジネスパーソン向けに「絵を見る技術を学ぼう!」という講座を開催しているという方だ。
    大好評のその「ビジュアル・リテラシー講座」の書籍化がこちら。
    講座内容を更に充実させ、歴史的名画も豊富に載せられている。

    美術の教科書でお馴染みの絵もあれば、「ああ、これは知ってる!」という絵も多く、ブク友さんに人気の高い「中野京子さん」の著作に登場した絵も数点。
    それらを例にとりながらの解説は、まるで目の前で生の講座を受講しているかのよう。
    なんて楽しいんだろう。すでに何度も読んだというのに、またすぐに読み返している。

    かと言って、左脳に働きかけるのみではない。
    「特別な美術教育など受けていなくても、皆さんは造形を正確に読み取っているのですよ。
    ただ何を見てそう感じているのかを具体的に説明できないだけです」
    と、最初の段階で優しく読者を肯定し、受け入れてくれる。その解説はまさに懇切丁寧そのもの。
    「センスがなくても、知識がなくても、目の前の絵画を自分の目で見ること。
    謎を解くカギは、ぜんぶ絵の中にあります。」
    どうです?聴いて(読んで)みたくなりません?

    第一章 この絵の主役はどこ?(フォーカルポイントの探し方)
    第二章 名画が人の目をとらえて放さないのはなぜか?(絵を見る経路の探し方)
    第三章 絵のバランスの見方(バランスは名画の絶対条件!)
    第四章 なぜ、その色なのか?(絵の具と色の秘密)
    第五章 名画の裏に構造あり(構図と比例)
    第六章 だから名画は名画なんです(統一感)

    そしてここまで学んだことを総動員して観察する最終問題は、ルーベンスの「十字架降下」。
    「フランダースの犬」のラストで少年ネロが遂に見ることが出来たという、ネロ憧れの絵だ。

    宗教改革の吹き荒れた時代の名画。
    カトリック側はより派手に、よりドラマチックに絵を掲げる必要があったという代物。
    畏怖感を持って眺めてしまうのは仕方がないのかもなどと考えていると、見透かしたかのような著者の言葉に出会い安堵の胸を撫で下ろす。
    「正直に言うと、この絵が好きかと言われたら、そこまで好きではありません。。。。
    好き嫌いを感じることと、造形が成功しているかどうかを理解することは別なのです」

    この秋、美術館に足を運ぶ予定のある方も、そうでない方も、ぜひご一読を。
    読み終えると、すぐにでも絵を見に行きたくなる。
    視覚情報をどこまで言語情報に変換できるように成長したか、確認したくてうずうず。

    • 夜型さん
      良い本ですね!
      実は、大昔からこういう分野はありました。
      若桑みどりさんの「イメージを読む」(元は放送大学のテキスト)高階秀爾さんの「名...
      良い本ですね!
      実は、大昔からこういう分野はありました。
      若桑みどりさんの「イメージを読む」(元は放送大学のテキスト)高階秀爾さんの「名画を見る目」などです。
      やさしいものだと「巨匠に教わる名画の見方」巨視的に掘り下げたものはジョンバージャーの「イメージ Ways of Seeing―視覚とメディア」。
      でも普及されるかどうかが大事ですね。
      素晴らしいレビューでした!
      2019/10/15
    • nejidonさん
      夜型読書人さん、こんにちは(^^♪
      コメントありがとうございます。
      「良い本」と言ってくださって、自分が書いたかのように嬉しいです・笑
      ...
      夜型読書人さん、こんにちは(^^♪
      コメントありがとうございます。
      「良い本」と言ってくださって、自分が書いたかのように嬉しいです・笑
      絵画の見方については、これまでも様々な本が出ているようですね。
      ご紹介いただいた中では「巨匠に教わる絵画の見方」を、刊行当時に購入して
      読みました。
      大変読みやすかったのですが、確かに入門編という内容でした。
      若菜みどりさんの「イメージを読む」が面白そうですね。今度探してみます。
      よく美術展に出向くのですが、分からない絵に出会った時は聞くことにしています。
      ところが殆どの場合「好きなように見て下さい」という答えでして。
      これは困りますよねぇ。。ますます混乱します。
      とても面白く読める本なので、夜型読書人さんにもお勧めですよ!
      2019/10/16
  • 以前からず~っと読むのを楽しみにしていた本♪
    非常に斬新で興味深いことが書かれている
    残念ながら義務教育以外で絵を習ったことがなく、趣味として美術館での絵の鑑賞をしている程度で自分の感性と好みでしか絵を観ることができない
    最近は作品の時代背景や、画家の歴史などの知識も増やしてきたのでもう少し突っ込んだ観方ができるようになったが、もう一歩なにか絵を深く知る材料を求めていたのでこの本はとてもうってつけであった

    著者は秋田麻早子氏
    美術史研究家
    「名画を自分の目で見る方法を広めることで、人々が自分の言葉で芸術や美について語れる世の中にするのが目標」
    という素晴らしい目標をお持ちの方である
    人が漠然と「?」と思っていることを言葉にする才能は本当に素晴らしい(尊敬)!

    ■フォーカルポイントを見つける

    〇主役、パッと目につく場所(ほとんど無意識で気づくことができる)
     ~当たり前のことを分析するって大事だなぁ

    ○ハッキリわかりにくいものは、明暗の落差(コントラスト)で見つけられる
     ~明暗の落差だが、「暗」がフォーカルポイントとなっているケースがあることに驚いた 
    「明」は光が当たっていたりして目立つので無意識でわかるのだが、逆も同じ効果がある
    (へー、思い込みって怖いな)

    ○リーディングライン
     ・集中線若しくは線に見えるものを使い1点に集めることで際立つ 
      ~例えば顔の向き、指差し、物体の形状や流れなんかでもラインができている
    他にもグラデーション、筆遣い、似たようなものが並ぶと線状のものとしてつなげて認識する…等
    意識しないと気付かないが、そういう目でみると確かに!
    特に対象物がたくさんある分散型の絵は流れがわかるとストーリーが見えるぞ!
    ・囲みの効果を使う
      ~建造物で囲まれていたり、背景のタペストリーであったり…なるほど

    ○二つのフォーカルポイントがある場合
     様々な方法でバランスを均衡させる
     2つの主役がバラバラになっては絵が成立しない
     人なら手をつながせる、見つめ合う
     対になるもの→男女、天地、表裏、大小など
     これらで対の概念を表す


    ■名画は角を避ける
    人の目は角に吸い寄せられる
    この角の引力を削いで中央に目線を戻させるため角を回避
    ~おお確かに! でもあまり角に絵を描くことってないような気もするが…

    ■絵の経路

    勝手に目線が回路に沿って流れる仕掛けがたくさんある
    ○視線の誘導
     ~本当だ勝手に誘導されている
    ○絵には入口と出口がある
     ~入口と出口!?と思ったがIN→OUTという流れで絵を観ることができる 絵の流れは大事だ くまなく絵を観察できる(描いている方だって全部見てほしいよね)

    ■絵のバランス

    ○縦の線…立っている感じ(堂々とした、毅然とした)
    ○横の線…寝ている、動きのない感じ(穏やかな)
    ○斜めの線…「起き上がりそう」「倒れそう」といった動き、(不安定、緊張感)
    これらの柱となる線があり、別の角度のサブの線でバランスを取っている
    縦軸を構造線とした場合、これだけだと不安定なため、横線や斜め線が支えている

    例)
    立っている女性→スカートのすそ広がりなラインなどが補助的に支える
    ゴッホのひまわり→両サイドをつないだテーブルの横線が固定
     ~当たり前だけどこれも無意識
      知って観察するとこれも納得!

    ■安定し過ぎない左右バランス

    少しバランスが崩れている方が格式ばらず自然な印象に
     ~シンメトリー過ぎると確かに格式高い感じがする
     (宗教画には効果的)何事にも言えるなぁ 
      きっちりすぎない絶妙なバランスが大事ですね 
      人生も!
     
    ■絵具

    現在のようなチューブ絵具はない!
     ~当たり前だけど凄いことだ いちいち色を作っていたのだから!
      保存だって大変だ 化学の知識もいるではないか

    ■高価な色
    青い絵具は高価だった
    聖母マリアやキリストの衣装に使用
    青✖️金→最高に高級(プレミアムモルツ!なるほど!)

    ■影を鮮やかな色で塗る(「カンジャンテ」というらしい)

     ~今まで無意識だった!意外とあるではないか
     ダヴィンチはリアリティに欠けると否定的
     (確かにそうだが遊び心があっていいじゃん!)

    ■位置が明かす力関係

    ○上下、そのままシンプルに上下関係
    例)
    ムンクの叫び
    意外なほど下の方にいることにより
    強烈な不安や孤独の表現ができる
    ○左右、右側の方が左側より格上?
    (絵を観る側からすると左側が偉い)
     〜確かに男女の絵は左側が男性である
     (いつの時代も男尊女卑)
    ○絵の構図をパクるのは当然
    肖像画→胸より上、左右どちらかを3/4見せたポーズ(モナリザ等)
    肖像画としての記号的意味
    特定の配置やポーズが確立されると何が書いてあるか文字の読めない人にもすぐわかる
    大事な視覚情報


    ルート矩形が出てきたあたりで(最後の方はもう数学の世界となってしまい)お手上げ!
    やっぱり絵画は数学である。
    アートはサイエンスである(泣)

    とにかくいちいち例となる絵があるので、とても親切でわかりわすい
    さらに絵には補助線的なものも実際に記載されているため、漠然とではなく理路整然と説明が理解できるのだ
    とても親切な本だ
    芸術って『見て学べ』的なことが多いのでまさかこんなこと可能だなんて!
    と驚きの連続であった
    西洋絵画だけでなく、写真や映画、広告のデザインにも適用できる内容とのこと
    確かに!

    これを読んでからカラヴァッジョ展へ出かけた!
    予備知識を持ったからいつもと違う絵の観方ができるはずである!
    しかーし
    やはり圧倒的な絵を前にすると
    ううわぁ~!スゲー!!
    と舞い上がってしまい、頭が空っぽに…
    あああああ
    せっかく勉強してきたのに。
    付け焼き刃の知識がいかに役に立たないか身をもって実感

    でもいいのだ
    何回も読んで、絵を観て…
    と繰り返して楽しめば♪
    贅沢ではないか
    もっと贅沢を言うと…
    和田さん解説付きの美術館巡り
    こんなの夢の夢だけど…
    いやそこまでは無理なので、さらに深堀解説の本を期待!

    絵の好きな方はぜひぜひ!!

    • やまさん
      ハイジさん
      こんにちは。
      フォローの登録ありがとうございます。
      今後とも宜しくお願い致します。
      やま
      ハイジさん
      こんにちは。
      フォローの登録ありがとうございます。
      今後とも宜しくお願い致します。
      やま
      2019/12/25
    • ハイジさん
      やまさん
      こんばんは
      こちらこそいつもありがとうございます。
      どうぞ宜しくお願い致しますm(_ _)m
      やまさん
      こんばんは
      こちらこそいつもありがとうございます。
      どうぞ宜しくお願い致しますm(_ _)m
      2019/12/25
  • フォローしている方が、読んでおすすめされていたので、迷うことなく購入。

    先に、『観察力を磨く 名画読解』を読み終えてから、こちらの本を読みました。

    立ち位置としては、『絵を見る技術』は、鑑賞そのものにウエイトを置いていて、『観察力を磨く』は、鑑賞を通じて、日常で観察力を発揮するためにはどうするべきか、に重きを置いている印象を受けました。
    どちらがよい、悪いという断定は避けますが、あくまで参考程度に。個人的には2冊とも読むことをお勧めします笑。


    読み終えた直後は、手品師の種明かしのような驚きで、そういうことだったのか!と。

    美術作品の見方の解説をする本は、どうしても偏った見方になってしまう不安があり、正直なところ、今まで抵抗がありました。
    しかし、自分の見方を固定するのではなく、あくまでこういう解釈もあるのだな、とプロの視点を学ぶ姿勢をもちつつ、
    立ち位置としては、新しい言葉を学ぶような感覚で読んでいくと、ものすごくすんなりと受け入れられると実感しました。

    この本では、まずシャーロックホームズの名台詞を引用し、自分がいかに観察していないか、すなわち「見たいように見ている」かを読者に想起させ、視点を養う基礎として、主題(フォーカルポイント)を探すところから始まります。

    その後、視線誘導、バランス、色の使い方、構図、そして統一感と続きます。
    こうして並べてみると、気難しく感じられますが、内容としては優しく、美術の知識が全くない方でも安心して読み進める構成となっています。

    感銘を受けたのは、「色の使い方」の部分です。
    色の使い方を、彩度という視点だけではなく、歴史的事実、すなわち画家は薬剤師のように絵具を調合して作っていたこと、青色が貴重な時代があったことなどを知ることで、色一つにおいても、絵画に奥行きを見ることができるのは、なんとも素晴らしいことではありませんか。

    とにかく、美術作品を見たいという衝動に駆られます。
    この本で紹介されている技術を1つでも断片的に使うことができれば、きっと視界がぐっと広がると思います。

    最後に。
    著者は、「自分の好き・嫌い」と「作品の客観的な特徴」が分けられると、楽しみ方の幅が広がる、と述べております。
    まずは第一印象を感じる。自由な感想が全ての出発点で、そこから観察していく。これは、絵画だけでなく、小説や映画など、他の作品にもいえることではないのでしょうか。
    「この構図が良い」だとか、分析的な意見を言えるようになることは魅力的ではありますが、
    「眩しいな」と口からこぼれるように出てくる感想も、いつまでも持っていたいものです。

  • ◯たいへん面白かった。まさに今すぐにでも美術館に行って、絵画を見たいという気にさせる一冊。
    ◯美術や芸術はその道の達人にしか楽しめない狭き世界の高尚な話だと思っていたが、そんなことはないということを理屈で教えてくれる。美術は技術に裏打ちされ、その技術を用いる人間の思いがあるからこそ美しいということを痛感する。
    ◯究極的には本人の好みで楽しむことが音楽然り芸術然り、重要であると思うけれども、技術的な部分や構造を理解し、作者の意図を理解することは、より深く楽しむことができる。それは自分をもっと豊かにできることとつながるのではないか。学校の授業でなぜこういうことを教えないのか!
    ◯コロナで中々外へ出る勇気が出せないのが勿体ない。

    • nejidonさん
      yoshio70さん、こんばんは(^^♪
      この本は本当に面白くてためになりますね!
      なんだ、こんなに分かりやすく説明できるものなんだと、...
      yoshio70さん、こんばんは(^^♪
      この本は本当に面白くてためになりますね!
      なんだ、こんなに分かりやすく説明できるものなんだと、目からうろこがいっぱい落ちました。
      言われる通り今は美術館どころじゃないのがとても残念。
      安心して出かけられる日がめぐってきてほしいですよね。
      2020/08/06
    • yoshio70さん
      nejidonさん、コメントありがとうございます!返信が遅くなりまして申し訳ございません。。。

      仰しゃるとおり、目からウロコな眼から鱗な一...
      nejidonさん、コメントありがとうございます!返信が遅くなりまして申し訳ございません。。。

      仰しゃるとおり、目からウロコな眼から鱗な一冊でした!
      その道を極めると、凡人には分かるまいと考えていた世界の最たるものだった美術の世界が、グッと身近に感じられる素敵な本でした^^

      本を読むことで、より外に出たくなるのに、今の環境は悲しい限りです。
      今少し我慢して、より読書を深め、外に出るための「タメ」にしていきたいと思います!
      2020/08/10
  • こういうことを学校で教えてもらえたら、
    美術館がもっと楽しめるだろうに!

    〇見ると観察の違い
    観察→スキーム(見るための枠組み)がある。
    常に問いを立てながら見ている。ex:階段の段数は何段?

    〇美術教育を受けた人の目の動き→絵全体に満遍なく
    普通の学生→目につくところだけ
    ⇒目の動かし方が完全に違う

    ☆絵について抽出するときのポイントが違う。
    例えば、美術教育を受けた者は、造形的な要素をとらえてみることができる。例えば、輪郭線があるかないか、のように。
    それに対して、普通の学生では、漫然とした印象とした捉えることができない。明るい絵、暗い絵のように。

    ☆美術教育を受けると、具体的に絵が見られるようになる。それは、音楽と同じだ。
    だから、スキームをいくつ与えられるか、という問題と同じである。

    〇つまり、「絵の見方を知っている」とは、表面的な印象だけでなく、線・形・色などの造形の見るべきポイントを押さえ、その配置や構造を見ている、ということだといえます。

    〇スキーム 大きく4つ(+構造)
    ①主役 脇役との関係
    ②経路 見る順
    ③バランス
    ④色

    ①主役
    〇図と地
    (浮かび上がってくるもの→図、それ以外→地)

    ☆フォーカルポイントを見つけるときはコントラストに注目する。それは、暗いところもあれば、明るいところもある。

    〇リーディングライン→線、視線、配置

    ☆どこに注目すべきなのかは、絵が教えてくれる!
    私が好きなフィンセント・ファン・ゴッホの夜のカフェテラスも、リーディングラインに注目すると、なぜ明るい中央の部分に視線がいくのかよく分かる。そこに注目させるように、周りの建物の配置がされていたり、コントラストをはっきりさせたりしているのだ。

    〇同じ風景画であっても、どこか一点を描きたいと思うなら集中型がいいですし、景色全体の印象をとどめたいと思うなら分散型がいいということになります。

    ☆流行もある。私は集中型がすきだなあ。分かりやすいからかな。

    ②経路
    〇主役を見ていない、指していないリーディングラインを探してみる。
    角の守護神→角の部分を回避する描写

    ☆角は引力がある。引き付けられやすい。角をどのように処理をするのかは、見所だ。

    〇「あなたは何故そこにいて、何をしているの?」と尋ね、教えてもらいましょう。

    ☆楽しくなってきた。美術館に行きたい。

    〇左右にジグザク→辺にストッパーがある。
    上下にジグザグ→つなぐ何かがある。
    S字カーブ→エレガント 武骨さは出ない。

    ☆まず、主役はどこか。
    次にリーディングラインを探す。

    ③バランス
    ☆構造線→主となる線があります。
    1 縦 立っている感じ。堂々。
    2 横 寝ている。動きのない感じ。
    3 斜め 起き上がりそう。倒れそう。動きがある。
    バランスをとるための支える線もある。

    ☆真ん中に主役というのは、面白みに欠けるが、そこがそうなっていないときには、何らかの工夫がある。それを見つけるのも楽しい。

    ④色
    〇ゴッホは手紙魔だった。弟テオだけで800通以上。どの絵をどんなふうに、どんな色で塗ったのか、スケッチまで入れて詳細に説明している。

    ☆へー、知らなかった。そして、それにより研究も進む。

    〇2010年に始まった入念な科学調査の結果、ゼラニウムレーキという、ピンクがかった赤い絵の具の色素が、経年変化によって抜け落ちていたということが分かったのです。

    ☆私たちが今見ている絵は、元の色とは違う可能性もある。

    〇昔の色、絵の具、土由来のものも多い。
    「絵の状態がいい」という場合、保存状態も大事ですが、画家に絵具を扱う技術が前提としてあった、ということなんです。
    〇青として使える天然素材はわずかで、中でもラピスラズリという半貴石を原料とする「ウルトラマリン」はたいへん貴重で金と同じくらい値が張りました。画家が使いたいだけ使える色ではなく、塗ってあると「すごく贅沢だな」と思わせる色だったのです。

    ☆ほー、だからマリアとかキリストとか青衣が多いのか。フェルメールがこの色大好きだったというのも人柄が出ていて面白い。

    〇1704年のある日のこと、ベルリンの錬金術師の工房にいた調合師が偶然、真っ青な顔料を作り出したのです。

    ☆こうやって青が普及していくのか。

  • 美術館で作品を観るのが好きです。
    展覧会選びはだいたい、好きか、ピンときたか、何なんだろ…と思ったもので選んでました。
    作者のプロフィール、時代背景など、知りたくなったら調べるという感じ。
    作品そのものの観察は、あまりしてなかったなぁ…漫然と鑑賞してたかも。
    漫然としてた所を、ちゃんと言葉で自分に落とし込んで、人にも説明出来ると良いね、という本です。面白かったです。

    惜しむらくは、絵画の写真がぼんやりしていて、色も暗めで見にくいところ。説明された部分を大きくするとか、分かりやすい工夫があれば満点。

  • とっても勉強になった!!
    絵ってこうやって見ればいいのかー!
    今までは美術館で絵を見てもパッと見の印象ですきーとかきらいーとか、あ、これ有名だーと、サササッと見て帰っていたけれど、本を読んで分析的な絵の見方ってこうなんだ!と感動。

    ======
    ざっと整理。
    絵の見方は、1.自分が感じた印象・背景知識+2.絵を見る枠組みに沿った観察結果。

    観察のポイントとしては、
    1.フォーカルポイントはどこ?
    2.経路---入口と出口
    3.バランス---構造線とリニアスキーム
    4.色
    5.構造
    6.その他---輪郭線、疎か密か、質感、形の反復

    特に1と2が目から鱗だったし、
    最後のまとめで見た「ウルビーノのヴィーナス」の解説は鳥肌ものだった!

    最初立ち読みで読んだんだけど、改めてじっくり読んだらわかりみが全然違った。ぜひ買うか借りるかでじっくり読むのがオススメです。
    ======

    ちなみにこの本のもう1つの良さとして、たくさん絵画を例として用いて紹介してくれたので、この人はこういう時代にこういう絵を描いたんだー!っていうのが自然に分かってすごく良かった◎

    私のお気に入りはラファエロ・サンティ(特に「システィーナの聖母」)!フワって浮いてる感じがとても素敵!読み進めると構図や色もよく考えられてるんだ!と分かって見飽きない。
    ドレスデンにあるアルテ・マイスター絵画ギャラリーにあるんだって。ぜひとも本物を見てみたい!

    あと、小学生の時に家に大きくポスターが飾られてた絵が出てきて嬉しくなった〜(ルノワールの「習作(陽光の中の裸婦)」!
    こちらはオルセー美術館にあるそう。パリ行きたいなー!

  • ぶったまげた。これが、一言目の感想。

    今まで、絵画ってどのように鑑賞したらよいのか、全く分からなかったし、
    名画はなぜ名画なのかも全く分からなかった。
    何となく、自分の好きな絵画(見ていて「いいな」と思う絵画)はあったけれど、
    世間一般的な評価と全く一致しなかった。

    この本は、そんな絵画を正しく「観察」する方法を
    素人が分かるようにきちんと「言語化」した本。
    「言語化」ってところがミソで、
    今まで美術の学校とかでは教えられていたのかもしれないけれど、
    ちゃんとフツーの人が「なるほど、そうこの絵を見たらええのか!」と理解できるレベルで、
    言語化してくれているところが、(素人には)とてもありがたいです。

    いわゆる「センス」のようなあいまいなビック・ワードで片付けられていた表現を
    一つ一つ言語化していったら、こうなっていくのか!という驚き。
    それだけでも読む価値はある。

    「かの有名な●●(作家名)」とか
    「みなもよく見たことのある●●(絵の名前)」みたいな表現が出てきても、
    自分は全然知りませんでしたが(汗)、
    それでもとても楽しめました。

    美術館に行きたくなる本ですね。

  • マジBOOKフェスで、直接編集者より購入。神経美学に興味があって、美しいと思うには、心だけじゃなく、それなりの理由があるんじゃん?って気になってたから、解り易く絵を読み解く技術を情緒に頼らず講釈しているのが面白い。通じて、好き嫌いは関係なしに、作品自体を評価できることが、社会や人間関係にも役立つ冷静な視点なんじゃないかって。

  • こういう事をどこかで知れる、学べる機会なく今まで生きてきてしまったのがもったいない。

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著者プロフィール

美術史研究家。岡山県岡山市生まれ。2002年テキサス大学オースティン校美術史学科修士課程修了(MA)。専攻はメソポタミア美術で、トークン研究で知られるシュマント゠ベッセラに師事。2009年より「絵の見方は教えられるか?」というテーマに取り掛かり、2015年からビジネスパーソンの学習の場・麹町アカデミアで「絵を見る技術を学ぼう!」を不定期で開催。名画を自分の目で見る方法を広めることで、人々が自分の言葉で芸術や美について語れる世の中にするのが目標。

「2019年 『絵を見る技術 名画の構造を読み解く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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