- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784255011875
作品紹介・あらすじ
本を、読む。こんなシンプルなことが、どうして放っておかれているのか。
「書を携えて、街に出る。人が人といてひとりになるためには
こんなすったもんだが必要なんですね」
――片桐はいり(俳優)
本はあっても、読む場所がない!
家でもカフェでも図書館でも……ゆっくり読めない。街をさまよう。
だから、「今日はがっつり本を読んじゃうぞ~」と思う人たちが
心ゆくまで「本の読める」店、「fuzkue(フヅクエ)」をつくった。
本と、光さえあればできるはずのものが、どうしてこんなに難しいんだろう?
心置きなく、気兼ねなく本を読むためには、なにが必要なんだろう?
なぜか語られてこなかった「読む」「場所」をめぐって、
ストラグルし、考えぬいた先に見えてきたものとは?
大部の『読書の日記』に綴る読書の喜びで人を驚かせた著者が、
ユーモアを織り交ぜた文体で小説のように書き記す。
「読書」を突き抜けて、「場づくり」「孤独」「文化」「公共」まで眼差す。
――きれいごとをちゃんと欲望しよう。
「もし映画館がなくて、小さな画面としょぼい音響でしか映画を観ることができなかったら。もしスキー場がなくて、野山を一歩一歩自分で登ってでしか滑ることができなかったら。もしスケートパークがなくて、注意されたり迷惑顔をされたりするリスクを常に抱えながらしか遊ぶことができなかったら。心置きなく没頭できる場所を抜きに、それぞれの文化の裾野は、今のような広さにはなっていないはずだ。
〔…〕だから読書にも、そういう場所があったほうがいい」(本文より)
目次:
はじめに
第1部 「本の読めない街」をさまよう
第1章 まずはおうちで
第2章 いったいなんなのか、ブックカフェ
第3章 街に出て本を読む
第4章 長居するおひとりさまとしての本を読む客
第5章 読書という不気味な行為
「フヅクエの案内書き」
第2部 「本の読める店」をつくる
第6章 店を定義する
第7章 穏やかな静けさと秩序を守る
第8章 おひとりさまが主役になる
第9章 誰も損をしない仕組みをつくる
第3部 「読書の居場所」を増やす
第10章 見たい世界をきちんと夢見る
おわりに
感想・レビュー・書評
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『本の読める場所』を提供することを仕事にした方が、読書についていろいろと考えたことを綴った本です。
私なりの解釈で勝手にまとめると、『本の読める場所』とは「おひとりさま」で「気兼ねしない」で「好きなだけいられ」「気を散らせる音がない」場所です。
私は長距離通勤(片道2時間)していた頃は電車が読書するための主要な場所でした。
電車に乗っている時間が少なくなった今はもっぱら自宅が読書する場所です。
どちらも、ほぼ『本の読める場所』の定義と合っていると思います。
図書館はもっぱら借りるのが目的で、本屋には置いていない面白そうな本を眺めたりはしますが、長く居座っての読書はしません。
喫茶店や公園なども本を読むために行ったことはありません。
時々気になる人や、気になる音があり、読書するにはどこか落ち着けない要素があるのだと思います。
著者は、家以外でパソコン作業ができる場所は沢山あると感じていて、パソコン作業と読書の違いは何かを考えたりしています。
これを考えるのに面白い例えが示されていました。
ー 葬儀のとき火葬場の控室で本を読んでいたら、親戚に「あれはないと思うよ」と言われた。
ー その親戚の人もスマホを見ていたが、本とスマホは違うらしい。
ー 本を開いている姿は、周囲との拒絶感を強くかもし出すようだ。
見られ方としては、次のようなことも言っています。
ー パソコン作業をしている人は生産的なことをしているように見える。コミュニケーションの要素も感じることができる。
ー 読書をしている人からは生産性は感じ取れない。その本とその人だけの閉ざされた世界を作っている。
読書する姿は、人前であまり見せるものではないのかもしれない。
心置きなく読書をするのに最適化された場所があってもいいのでは。
という考えから、心ゆくまで「本の読める」店「fuzkue」を作ったのですね。
この環境を気に入って応援する読書好きな人がいてくれて何よりです。
でも、私にとっては「お金がかからないこと」という重要な要件があるので、おそらくこのような場所で読書することはないです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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『本の読める場所を求めて』を全文公開します(1) 目次・はじめに|本の読める店 fuzkue|note
https://note.com/f...『本の読める場所を求めて』を全文公開します(1) 目次・はじめに|本の読める店 fuzkue|note
https://note.com/fuzkue/n/n8b95a42a582d
中江有里さんのおすすめ本 阿久津隆著『本の読める場所を求めて』|読むらじる。|NHKラジオ らじる★らじる
https://www.nhk.or.jp/radio/magazine/article/nhkjournal/uf5WxAiEp.html2022/01/05
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書名通り本を"本当に"読める場所を求めて様々な場所を彷徨い最終的に自身でそれを作った経緯を描いた作品。読書は立派な趣味だし集中力・体力が必要なスポーツだと思う。
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まだ読み終わってないんですけど、
書いちゃう。もう書いちゃう。
溢れ出てくるこの想いが止まらないから書いちゃう。
良い本に出会った。
京王線初台にある「fuzukue」という
お店の店主阿久津隆さん著の本。
読書好きの読書好きによる読書好きのための読本。
かのアメリカ大統領エイブラハム・リンカーンも
このようなことを言っていた気がする。
まだ読み進めて数十ページにしか満たないが
共感しすぎて首がもげそうだ。
本を読むぞと意気込んでお店に入ると
周りの話し声が気になってしまったり
店員さんの一挙一動に気を取られてしまう。
挙げ句の果てには読んでる物語の中に
店員さんが出てくることがある。
そうなってくるともう読書どころではない。
……わかる〜〜〜〜〜〜!!!!
いや、そうなんですよ。集中力がふとしたことで
散漫になっちゃう感じ。すごい具体的かつあるある。
だからこそ、読書ができる場所を求めて
彷徨いベストプレイスを探すんですよ。
そう…ベストプレイスをな…良い言葉だ…
今度お邪魔しに行きまする…
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読みやすいし、表現がおもしろくて思わずニヤッとしてしまう部分もあった。
家に始まり、ブックカフェ、チェーンカフェ、喫茶店、図書館など、本の読めそうな場所について、メリットとデメリットを挙げていってて、細かく分析されてるし共感できるしで、おもしろかった。
そして、自分の理想の「本の読める場所」がどこにもないと感じ、自らこだわりの詰まったお店を開く。案内書がめちゃ長いけど、生きた文章だし、フヅクエを快適な読書空間として保つためだってことが、伝わってくる。
長居できる雰囲気かどうかって、私もとても重視するポイントだから、それについての考察も読んでて共感できた。
フヅクエに行ったことはないけど、京都にも、静かにゆっくり読書できるお店がある。そこには詳しい案内書はないんだけど、入った瞬間、自分がどう振る舞えばいいかわかる。中にいる店主とお客さんが雰囲気をもう作ってくれてる。そこから何となくルールを察する。これって、すごいことだと思う。何も言わなくても伝わるって。これからも続いてほしいし、こんなお店が増えてほしい。 -
フヅクエの存在は、ネットか何かで知ってはいたが、ここまで細かいルールがあるとは。4月に近所に2号店ができたので、いつかのぞいてみたい。この本は電車の中で読了。帰りに立ち寄った書店で、著者の読書の日記を発見。ものすごい厚さにびっくりした。こちらはちびちび読もうと思う。
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1度しか行ったことがないけど、とにかく居心地良くて、本が気持ちよく読めた「本の読める店」Fusukeできるまで。そしてこれから。
どのような考えの末にあのお店が生まれたのか、どういう考えであの空間が保たれているのか。
面白かった。 -
2020/12/1 家で読書すればいいじゃないか、と私も思うのですが、やはり落ち着いて本を読めるところを探してしまうのです。図書館は案外うるさい。カフェは、運が悪いとそばに傍若無人な客がくる。この著者は読書に特化したお店の店主です。ありがたいけど、提供する側はたいへんだ❗行ってみたいなぁ。
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「フヅクエ」という読書空間を営んでいる著者の本を読む場所論。
経営されてるお店のコンセプトになるのかな?
どの場所も一長一短ですね~。
私が一番集中して本を読むのは電車の中。
公園でもよく読む。
お気に入りの珈琲チェーンの店舗が2つ。
古民家カフェも好き。喫茶店も。
お客さんが、多すぎず少なすぎずがいいかな。
読み始めるとまわりの音は聞こえなくなる。
家はあまり落ち着いて読めない。
本書でも触れられているように生活の空間だからかな。 -
本を読める場所(店)の考察と実践の書。落ち着いて本を読む事ができる場所って確かにあまり無い。喫茶店で隣客がうるさければイヤフォンをするしかないと思っていた。が、読書のための静寂を保証してくれるお店があったとしたら、、、正にコロンブスの卵。素晴らしい発想だ。至急体験したい。