対訳 21世紀に生きる君たちへ

  • 朝日出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (48ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784255990521

感想・レビュー・書評

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  • 2018年のNHKの番組「日本のジレンマ」で、歴史を信じない、という発言があった。誰が書いたものかわからないのに、ひとつの歴史を信じるのはおかしいと。色んな人の歴史を見て、自分で歴史を選ぶと言う。なんて現代的な考え方なんだろうと思った。その答えに対して、歴史と向き合うアカデミア(学者チーム)は、自分の好みで歴史を選ぶのは危険だと言う。

    歴史に絶対はない。過去に戻って確かめられないからだ。でも、歴史に学ぶことはたくさんあると思う。それを、どう説明したらいいんだろうと思っていた。司馬遼太郎さんは、この本で素晴らしい答えを書いていた。「それ(歴史)は大きな世界です。かつて存在した何億と言う人生がそこに詰め込まれている世界なのです」と。そして、歴史の中に友がいると。歴史を愛していると。そう、これまでの歴史があるから、今がある。それを忘れてはいけない。

    あと、この中で心に残ったフレーズが二つ。ひとつは「人間は、人なみでない部分をもつということは、すばらしいことなのである。そのことが。ものを考えるばねになる」。もう一つが、洪庵が開いた適塾。「すばらしい学校だった。入学試験などない。どのわか者も、勉強したくて、遠い地方からはるばるとやってくる。〜ここでは、学問をする、というただ一つの目的と心で結ばれていた」。適塾は、のちの慶応義塾大学の創設者、福沢諭吉を育てた。学校の在るべき姿は、やはり歴史の中にあった。

  • ・2018/12/29読了。
    ・日本語だけなら30分で読み終わる。
    ・人間の荘厳さ、21世紀に生きる君たちへ、洪庵のたいまつの3部構成。
    ・荘厳さとは何か気になります。1ページに凝縮して書かれています。
    ・自己の確立、助け合うこと、たのもしさ、たかだかとした心、ずっしりとしたたくましい足どり。
    ・世のためにつくした人の一生、名を求めず理を求めず。

  • 司馬遼太郎が小学生に向けたメッセージ。読みたいと思っていたので、図書館へ行って借りてきた。奥付に1999年11月10日初版第一刷と記されていて、校正ミスの正誤表までついていた。

    1999年とは平成11年だが、平成元年から大阪書籍の小学校の教科書に掲載されていたということなので、その後、朝日出版社から一般書籍として出版されたのでしょうか。

    書籍は、次の3つのメッセージが収められていました。
    「人間の荘厳さ」
    「21世紀に生きる君たちへ」
    「洪庵のたいまつ」

    「21世紀に生きる君たちへ」は小学校6年生の教科書に、「洪庵のたいまつ」は小学校5年生の教科書にそれぞれ掲載されていたようです。

    司馬遼太郎(1996年2月12日没)は、「21世紀~」の中で自分は21世紀を見ることができないだろうと語り、21世紀を生きる子供たちへ、歴史を見つめてきた自身の確信をベースとして、重要なメッセージを伝えようとしているかのようでした。

    20世紀までの長い歴史を遡り、より深く見てきた著者が、そこから見えた重要なエッセンスをここに集約してくれているのだと感じます。

    時代を超えて大切にせねばならないことが記された大切なメッセージであろうかと思います。

  •  司馬遼太郎が若者達に贈る言葉。

     元々は小学校の国語の教科書にあった三つの文章。 
     人は社会の為に生きるべきである。
     その言葉を簡潔に、そして緒方洪庵や鎌倉武士など歴史を交えて書いているあたりが司馬遼太郎らしい。 
     英訳文もあるので、英語長文理解としても使える。
     
     小中学生にぜひ一読してもらいたい一冊。
     

  • 娘が読んでいた(テキトーに)もの。

    対訳になっているので、英語も読もう。

    司馬遼太郎の著作は、これが初めて。どうにも歴史小説は苦手。

    (老人には)歴史という友人はいるが、手に入らない、見ることができない未来がある(若き人間が持っているもの)。

    中年はちょうどその間に存在している。
    果たして司馬さんは、中年にも何かメッセージを残しているんだろうか。

  • 非常に薄い本だけど、未来においても変わらないことが書かれてると思う。優しさは鍛えるものだというところに感服した。

  • twitterで抜粋された言葉を見て全部読みたいなと思ってた。
    ビシッと心に響いた。

  • 人間を考え続けた司馬さんの21世紀人へのメッセージ。
    これが国語の教科書に載っていることをうれしく思う。

    20世紀は自然へのおそれがうすくなった時代。
    21世紀はよりいっそう自然を尊敬する時代。

    司馬さんはこの現代をどう見ているだろうか。

  • いい。

    すごく当たり前のことが書かれているんだけど、
    読んでいると何か諭されているような心地よい感じがする。

    5分で読めます。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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