乙女軍曹ピュセル・アン・フラジャーイル (ソノラマ文庫 ま 3-2)
- 朝日ソノラマ (2003年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
- / ISBN・EAN: 9784257770152
感想・レビュー・書評
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「わたしくがやらねば、誰がやるというのです」この揺るぎない絶対正義。神に仕え戦う清廉な乙女の物語、スカッと爽やか勧善懲悪…ではないな、多分違う(笑)
主人公ピュセルは、物は物だ、そこに魂など無いと切って捨てる。うーん、擬人種と人との関わり方は、目をつぶってはいけない核の部分のはずなのに、あえて目をつぶったまま話を進めてしまう強引さ。ピュセル怖いわ。思春期の正義感は、もしかしたらこんな感じかもしれないけれどね。
実はとてもブラックな話だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
終わりが尻切れトンボというか。続編が読みたいような読みたくないような。
清く正しく美しく、てのは柄じゃないんだろうか。 -
宇宙標準暦10414年。人類はもはや、宇宙の片隅に追いやられていた。かつて、人類が惑星開発や病人介護のために造った「擬人種」に支配されていたのだ。そんな中、辺境の惑星に住む敬虔な少女、ピュセルが「神」の啓示を受けた。人類を解放せよ、と。少女は戦士となり、部下を探し、遙かなる惑星オルレアンを目指す。
普通に読むとあまりにストレートなSFアクション小説だがこれが「新造人間キャシャーン」を下敷きに
して書かれた小説だ、ということを知ると読み方が変わってくる。ピュセルは変形し乗り物になる犬型の
人工生命体を従えてるし改造手術を受け無敵の超人になる。このくだりで
たった一つの命を捨てて、生まれ変わった不死身の体。 鉄の悪魔を叩いて砕く、キャシャーンがやらねば誰がやる。
抜け抜けとこの口上を文章に織り込んでいるので笑ってしまった。文体が糞真面目でイラストの羽住都が
キャシャーンそっくりの甲冑姿を丁寧に絵にしているのでなおさら可笑しい。
GyaOで「新造人間キャシャーン」を配信していて時々観ているんだけど悩めるヒーローだったキャシャーンに比べ神の言葉を揺るぎなく信仰して闘うピュセルがだんだんと不気味に見えてくる。
「あとがき」で作者は「単純明快な勧善懲悪活劇です」とは言ってるものの実はこの作品、
読み方によって清く正しい美少女がグロテスクな狂信者に見えてきたり、勧善懲悪の裏側にある
猛毒に気が付いたりするような内容で「単純明快」ではなく屈折しまくっているんだよ。