ケアする人も楽になる 認知行動療法入門 BOOK1

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  • 医学書院
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784260012454

感想・レビュー・書評

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  • 「生きていれば、何らかの問題が生じるものだ。問題があること自体を受け入れよう」

    この言葉だけでも十分に救いになる。
    私は気分が落ちたとき、私が悪いから、問題が起きるのだと自分を責めがちだ。

    だからダメなんだ。私なんて…。それに加えて、将来にわたっての最悪のシナリオを妄想してしまい、体は硬直し、息遣いも浅くなる。ダメだ。ダメだ、私。

    誰にとっても、思い通りにならないこと、意のままにならないことは日常茶飯事。本当は大小に関わらず、ストレスと無縁にはなりえない。なのに…。

    本著作で説く認知行動療法はコントロールできない気分感情と、身体反応はさておき、【認知(浮かぶイメージや考え)】と【行動(外から見てわかる動作や振る舞い)】を変えることにより、ストレスの負荷を軽減して対処していこうという療法である。

    医療者、特にナースに向けてのものだが、説明がとても平易な言葉を用いているので分かりやすい。
    伊藤さんの著作は3作目だが、いずれも救いに溢れている。

    もやもやや、落ち込みは雪だるま式であっという間に巨大化する。、何に悩んでいるのかもはや分からなくなるような状況まで膨らんでしまいがちだ。

    伊藤さんがおっしゃるように、簡単なワークシートを使って、まずは問題を細分化、可視化して、対処していきたい。

  • 心理職ではない人にもわかりやすく書かれている認知行動療法の入門書

    事例の経過が具体的で、セッションの様子がイメージしやすかった(^^)

  • 早速、無料のアプリなどを使って、認知行動療法を始めてみた。
    悲しいことや辛いことがあって、その瞬間の認知と行動に、すごく矛盾があって、そう言う時こそ、私はとても辛いんだとわかるようになってきて、その次の行動に変化が出てきた。
    できないことは、できるように努力している最中だと相手に伝えてみたり、嫌なことは嫌だと、親に伝えることができるようになってきた。
    ナース向けに書かれた本だけど、それ以外の人にも、たくさんの人に読んでもらいたいと思った。
    とてもわかりやすくて、取り組みやすい。
    本の構成も、最後にまとめがついているのが、とても読みやすいので、おすすめです。

  • 行動療法学会に期待すること(伊藤絵美:洗足ストレスコーピング・サポートオフィス)/日本行動療法学会
    http://jabt.umin.ne.jp/j/e-news/serial2/01.html

    医学書院/書籍・電子メディア/ケアする人も楽になる 認知行動療法入門 BOOK1
    https://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=81627

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      根本的な「生きづらさ」と向き合うスキーマ療法|臨床心理士 伊藤絵美 - オンラインカウンセリングのcotree(2021年06月28日)
      ...
      根本的な「生きづらさ」と向き合うスキーマ療法|臨床心理士 伊藤絵美 - オンラインカウンセリングのcotree(2021年06月28日)
      https://cotree.jp/columns/872
      2023/06/30
  • 心理職をターゲットにしていないので、非常にわかりやすくまとめてありました。
    伊藤先生の本も何冊目だろうか。
    まだ血となり肉となり…とはいかないが、あぁそうだった、うんうん、と相槌打ちながら読めるようになってきた。

  • ・P31:認知行動療法の基本モデルは、前節で紹介した心理学的ストレスモデルをベースにしています。そしてこのモデルにおける「ストレス反応」をもう少し細かく見ていこうというのが、認知行動療法になります。

    具体的にいうと、認知行動療法では、ストレス反応を<認知><気分・感情><身体反応><行動>の4つの領域に分けて理解しようとします。

    ・P49:認知には浅いレベルと深いレベルのものがある
    <認知>とは、先述したとおり「頭の中に浮かぶ考えやイメージ」のことですが、頭の中の考えやイメージにも、浅いレベルのものと深いレベルのものがあり、<認知>を「浅い」「深い」と階層的に区別することができるということを、この階層的認知モデルは表しています。

    ちなみにここでいう「浅い」「深い」とは、意識に上がりやすいレベルのものを「浅い」、意識に上がりにくい、奥底にあるレベルのものを「深い」と表現しています。

    ・P50:浅いレベルの<認知>が「自動思考」
    浅いレベルにある<認知>は「自動思考」と呼ばれています。自動的に勝手に湧き上がってくる思考という意味です。

    ・P53:より深いレベルにある認知が「スキーマ」
    スキーマはもともと「認知構造」のことを指す認知心理学の用語ですが、とりあえず本書では「意識の深いレベルにあるその人の信念や思い込み」をスキーマの定義としておきましょう。その人の「物の見方」や「価値観」がスキーマであると考えても良いかもしれません。

    ・P60:アセスメント
    認知行動療法のモデル(基本モデルや階層的認知モデル)を使って、自分の体験を理解したり整理したりするプロセスのことを「アセスメント」と言います。

    P73:コーピングとは、ストレスに対する意図的な対処のこと
    「コーピング」とは「ストレスに対する意図的な対処」のことです。もう少し具体的に言うと、自分を取り巻くストレス状況を改善したり、ストレス状況によって生じたさまざまなストレス反応を緩和したりするために、何らかの対処を意図的にすることを「コーピング」と呼ぶのです。

    P78:だから「認知行動療法」なのだ
    まとめると、ストレス状況やストレス反応に意図的に対処するのが「コーピング」なのですが、コーピングは全て、認知的コーピングか行動的コーピングのどちらか、もしくはその両方が合わさった物だと言うことになります。

    認知行動療法の基本モデルでアセスメントを行い、そこに何らかの悪循環が見られる場合、その悪循環から抜け出すために私たちができることは、認知の工夫と行動の工夫、言い換えると認知的コーピングと行動的コーピングに尽きます。

    認知行動療法は、認知と行動のコーピングによって悪循環から抜け出しましょう、と言うことで、まさに「認知行動療法」と言う名前なのです。

    ・P88:認知行動療法の進め方
    1. ターゲットとする「困りごと」を決める
    2. その「困りごと」についてアセスメントを行う
    3. 悪循環に関わる認知と行動を同定し、目標を立てる
    4. 目標を達成するための技法(新たに身につけるべきコーピング)を選択する
    5. 日常生活において繰り返し技法を練習する
    6. 効果を検証する
    7. 全ての技法(コーピング)を一生使い続ける
    8. 必要性や機会があれば、他の人に認知行動療法を教えてあげる

    ・P94:認知行動療法の適応と限界、および実施にあたっての注意点
    認知行動療法といえども「万能薬」ではありません。全ての薬や治療法と同じように、やはり限界や副作用や注意点があります。それを以下に説明します。
     - 環境要因が大きいストレスの場合にはまず環境調整が必要
     - 精神疾患治療中であれば、主治医と相談してからはじめること
     - 即効性はない。根気強く取り組む必要がある
     - ストレス体験を対象にするので、時には痛みを伴う場合もある
     - なかなか上達が感じられない時も苦痛
     - 成長痛として捉える

  • 育休中に読もうと思って一年以上前に購入し
    積読になっていたが
    今こそ読むべきと思って手に取ったら
    2時間足らずで読み切った。
    いまワーク中。

    過度なストレスがかかったときに
    ストレス対処ができるかできないか
    どれくらい現状が過酷な環境なのか
    これまでの環境が過酷だったか
    それによって形成されたメンタル耐性とか
    ダメージの蓄積によって
    精神疾患になるかならないかが
    決まる気がしてならない。
    ケアされる人もする人も紙一重というか。

    完全にこの事例と同じ
    自責系グルグル思考なので
    読んでいて共感しきり。
    時間がかかっても良いので繰り返しワークして
    この状況を打破したい。

  • 【気づき】

    ・伊藤絵美さんの本は、
    わかりやすく、包み込むような優しい雰囲気で書かれている気がするので、読みやすい。

    ・認知行動療法とは
    コーピングでストレスの悪循環から抜け出せるのが
    認知と行動だけだから、認知行動療法と言う名がついたと言うのは目から鱗!


    ・コーピングとは、
    ストレスに対する意図的な対処のこと

    ・認知・行動の他には
    気分や感情、身体反応など個人が感じる部分。

    気分や感情、身体反応は人が直接コントロールできないところ。
      

    環境    個人

    【状況】、【気分・感情・行動・身体反応・認知】


    ・何が問題かと言うことを具体的に外材化し、
    その問題に対して今の自分は何ができそうかということを落ち着いて考え実行すると言う問題解決的な構えを持つと良い

    ・この本の特に前半部分は
    先に
    スキーマ療法をやってみた
    を読んでいたこともあり
    重複してるところも多い。
    なので、知ってることの確認と言う感じでサクサク読めた。 

  • 人生の最初と真ん中とでは、感想が違ってきそうな本

  • まったくの素人が読んでもひとつひとつの説明が丁寧に噛み砕かれていてわかりやすい。自分に対して実際に認知行動療法を試すにあたって、掲載のワークシートをもとにすぐにでも実践できるのがありがたい。

    • panjiroさん
      わかりやすいですよね?福岡の学会で購入しました?著者の方もチラッと見かけました。認知行動療法マスターになるべく頑張ってます。
      わかりやすいですよね?福岡の学会で購入しました?著者の方もチラッと見かけました。認知行動療法マスターになるべく頑張ってます。
      2011/06/05
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著者プロフィール

公認心理師、臨床心理士、精神保健福祉士。洗足ストレスコーピング・サポートオフィス所長。専門は臨床心理学、ストレス心理学、認知行動療法、スキーマ療法。2004年より認知行動療法に基づくカウンセリングを提供する専門機関を開設。

「2023年 『攻略!きみのストレスを発見せよ!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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