- Amazon.co.jp ・本 (162ページ)
- / ISBN・EAN: 9784260014274
感想・レビュー・書評
-
新型コロナウイルス感染症対策分科会の会長として知った尾身茂先生の2011年の著書。
私は、新型コロナウイルスのパンデミックになってからしか知りませんでしたが、西太平洋地域のリーダーを2期を含む約20年間、WHOで感染症と闘ってきた専門家なのですね。
ポリオの根絶、結核対策、SARS対策、鳥インフルエンザ対策、と、数々の感染症に対して、国際的な取り組みをされてきた、その軌跡が書かれていました。
最後のほうの章では、感染症だけではなく、今後の人類の「心」と「身体」両面での「健康被害」にどのように立ち向かっていくべきなのか、ということに触れ、また、若者たちに向けての提言などもあり、とても興味深い本でした。
尾身先生が、広い視野で世界を見てくれているのがよくわかりました。尾身先生のような方がいてくれて、本当に良かったのだろうと思う。
新型コロナウイルスのパンデミックが落ち着いた時、またこのような書籍を書いてくださることを希望します。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
コロナ対策の専門家会議の尾身先生の本。
ポリオ封じ込めのために奔走する先生の苦闘が記録されている。
日本のODAに資金協力を依頼するも、ワクチンは消耗品だから規定により資金提供できないと断られる。尾身先生は、ワクチンで免疫ができればそれは固定資産だ、と説得。この発想、この粘り強さ。
別の国連機関に勤務した知人は、世界一の難所、難敵は日本のお役所だという。アジア諸国との交渉ももちろんだけど、日本のお役所を相手に様々な交渉を行い、ポリオ根絶を勝ち取った先生は本当に偉大。
その先生が今日本政府に力を貸してくださっていることに心から感謝。「日本におけるパンデミックインフルエンザ対策」の章では、日本で新興感染症が拡がった場合の戦略などが書かれているが、先生にはコロナが拡がる前から、色々なことが見えていたのだなと圧巻。いくつか本来の方針とは異なる方向に向かってしまった点を思うと、どれほど無念だったかとも思うけど、それでも今も政府、日本を支えてくださっている。感謝しかない。
と同時に、本書の後半を読むと、尾身先生には本当は他にやりたい医療政策があったのだということが分かる。切ない。
早くコロナが収まって、尾身先生が目指す医療に取り組めますように。尾身先生、本当にありがとうございます。一家に一冊、子供たちにもいつか読んでもらいたい。 -
胸が熱くなる、公衆衛生について学べる一冊。
新型コロナに関する報道でお名前を知った尾身茂先生。
どんなことを大切に考えていらっしゃる先生なのか、WHOでどんなことに取り組んでいらしたのか、まったく知らないままいたのですが、ふとしたきっかけで本書と出会い、読んでみました。
2011年に出版された本ですが、今読んでもしっくり、ぴったりくる内容です。
世界で、様々な環境のもとで暮らす方々の健康についてかかわってこられた先生のお言葉は、ソーシャルワーカーである私にも深く響きました。
関係性の喪失が課題であること。対策として、コミュニティの回復が大切であること。それは昔ながらの状態に戻ることではなく、様々な立場の人々が集い、様々なニーズに対応していけるような場を作ってゆく、ということ。
公衆衛生の歴史は、人の暮らしの変化とともにある歴史であることがわかりました。良い悪いではなく、人の暮らしは変化してゆくものであり、その都度対応を見直していく必要があるということ。
多くの方々の協力を求めるために、必要なことをわかりやすく説明する力がとても大切であることも本書から学びました。読めて、とてもよかったと思える本でした。 -
感染症対策についての議論が端的にまとまっていた。コロナ禍に初めて見聞きしたことはすでに感染症対策の専門家たちは何度も様々な感染症との戦いの中で実践してきたことだった。
そしてWHOの西太平洋に地域のリーダーとして様々な経験を積み重ねてきた尾身さんが今日本で陣頭指揮に当たっているのは幸運なことなのかなと考えた。実際にこの幸運を活かせたかどうかはまだわからないことだが。
後半のメッセージもわかりやすく健康と文明の章など興味深かった。 -
尾身先生、お医者様というより政治家じゃないか!と思いました。科学的思考を使いながら色んな立場の思惑を慮るお仕事。大変なお仕事をされてきたのだなと思いました。
以前、新型コロナのお仕事について「楽しい」と仰っていたのをお見受けしました。その時は本当に?!と思いましたが、尾身先生はこういうお仕事を楽しさややりがいを見出される方なのだと理解しました。 -
なかなか興味深い。冒頭のほうで、責任を取りたくない上司に、わざと席を外して貰ってその間に決めちゃうとか、実務家であることがわかる。
批判もあるだろうが、火中の栗を拾うことを厭わずやるのはすごいと思った -
感染症という身近なテーマで発生する外交をメインに取り扱ったという印象。
デンマーク首相を務めたこともある事務局長との、緊迫しつつも人間味のあるやりとりが人間味があってとても楽しく読めた。 -
2021.8.17 Abema news に出演された時に番組が紹介していた本。コロナ禍になり、首相が変わってもずっと変わらず、丁寧に言葉を届けてくれる尾身先生。「夜を日に継いで」生命を守る仕事をしている医療現場に恥じない生活をしなければ、と背筋が伸びる内容だった。
-
kindleになかったので医書.jpにて購入。
尾身さんの過去のWHOでの活動や
今後の医療に向けての展望についてかいてある。
パンデミック時にどううごくべきか
どう調整するべきかも10年前の時点でかいてあり
今に通ずる物がある。
今後の医療については総合医の重要性が増すこと
「関係性の欠如」の問題に対する対策として common forumなど関係性の改善のための示唆も提案。 -
全体を通して、読みやすい文章でした。
海外との仕事の中で、言葉で伝えることを大切に
されてきたのではないか、と思いました。
国際機関で仕事をされた他の方の著書からも
同じことを感じました。
WHOに入るまでの経歴やWHOでの仕事についての他に
日本での新型インフルエンザ対策の仕事についても
書かれています。
そこで述べられている論点は、他の感染症でも
共通した点が多いと感じました。
日本の医療や社会に対する考えについても
述べられています。
ものごとを広く見られている人であることを
この本を読んで感じました。