俺に似たひと

著者 :
  • 医学書院
4.22
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本棚登録 : 213
レビュー : 42
  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784260015363

感想・レビュー・書評

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  • 男の人が父親のまたは母親の介護をする作品を読むのは、これで3冊目。

    この「俺に似たひと」というタイトルは、平川さんの父親のことをさすのだけど、父(80代)・息子(60代)の介護生活でこんなにも淡々と描けるなんて、心中お察しいたします…と思った。ここに書けなかった(書かなかった)であろう、父親に対する私的感情は90%くらいカットされているので、読みやすいけど、もっと修羅場があったんだろうと想像してしまった。

    老人のせん妄の件は、なるほど~と納得させられた。うちはせん妄が激しくっても入院させず、自宅で最期までと決めているから、もう「胃ろうをどうする?」とかで迷わないけど、自分の選択ひとつひとつで、この人の命が左右されるんだと思うと、今まで自分が選んできたことがはたして正解だったのか、どうなのかとても迷い悩むことがある。

    『そういう迷いや悩みは、あなただけではありませんよ。うちの親父と俺はこうでしたよ』と優しく励まされるようで、胸に沁みた。男同士、…ここまで出来たんだなぁ…。すごいなぁ。

    タイトルも表紙もカッコいい。だけど誤植が少しあって、(掲載されたものを再構成したので)話が前後して読みにくい点が気になった。

    俺視点で俺フィルターを通して、俯瞰的に書いたからこそここまで冷静に淡々と書けたんだろうと思う。

    介護で悩んでいる人、家族。親や身内がせん妄で参っている人たちに読んでもらいたいな。あと介護に興味がある人にも。いい本だと思った。


    『THE BOOKS 365人の本屋さんがどうしても届けたい「この一冊」』で紹介されていた。

  • 介護は、大変、苦痛、疲弊と言うようなマイナスな先入観を持ってましたが、ちゃんと実態を知りたいと思い、この本を読んでみました。

    健常者の価値観で不憫に思う事が、必ずしも要介護者にとって不幸な事では無く、むしろ、せん妄や認知症が、自己防衛能力として働いているのではないかという考え方には、深く感嘆し、自分が介護に感じる、ぽっかりとした穴を埋めてくれた気がしました。

    もし自分が親を介護する立場になった時、度々心の救いになると感じた本でした。

  • ほぼ事実を書いているのでしょう、地名も旧友の内田樹さんも実名で出て来ます。なぜ小説にしなければならなかったのかな?
    多分、本当に多分だけど、これがノンフィクションだったら本人にとって唯一無二の経験である介護体験記になるところ、小説だから一例からの普遍性を書けたんだろうか。実名ゆえのリアルを感じさせながら、その経験は社会に数多ある経験の中の一つでしかないという冷めた感覚ゆえに、逆にこの一例と他の多数に通底するものがあるのを感じます。
    いずれ自分も老いて行くのを、自分に似た人(父親)の老いの進行を見つつ感じている著者。読者である自分にも、親の姿に自分の未来を重ねる視線が移って来る・・・・。
    今老い、死にゆこうとする親と、いずれ老い死にゆく自分は同じものだと、「俺に似たひと」というタイトルが語ってします。
    俺に似たひとを見つめながら、自分がやがて老いることを受け入れていく経験を、読みながら共有できた気がします。

  • どうにもならないことがたくさんあるけれど、

    なんとかなる

    どうにかなる

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    平川克美・著「俺に似たひと」(医学書院)に
    こんな一文がありました。

    この本は、著者が、父親を介護した体験をつづった物語です。

    父親よりも先に、母親を亡くしているのですが、
    その際、真っ先にお焼香に来てくれた近所の知人女性が、
    仏壇に手紙をお供えされていたそうです。

    その手紙に書かれてあったのが、上記の言葉。

    「どうにもならないことがたくさんあるけれど、なんとかなる。どうにかなる」

    というもの。

    著者が言うとおり、
    「仏壇は、生きるものと、逝ったものが会話する場所」なのかもしれません。

    逝ってしまった人が、具体的な答えを返してくれるわけではありませんが、
    仏壇という場で、逝った人に向かって語りかけることは、
    生きている人が、
    自分自身の気持ちを確かめたり、
    気持ちを前向きに切り替えたりすることにつながるように思います。

    逝った人は、生きている人に力を貸してくれる存在でもあるんですね。

    本書の記述より、もう一つ。
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
     最も会いたいときには会えず、最も必要なことはついに語られないのが、ひとの世の常なのかもしれない。
    思い通りになる世の中などは、どこにも存在していない。
    始まりの合図も終わりを知らせるエンドマークも出ない。
    いつも唐突に始まり、宙吊りの状態で突然終止符が打たれる。
     人生は映画のようでもないし、ましてや何度も繰り返すことのできるゲームのようでもない。
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

     誰かの死に立ちあうことは、自分の生に向き合うことになるのかもしれません。
     
    たまには、ちょっと立ちどまって、ただ、「生きていること」、そのものの価値を感じておきたいと思います。

  • ある方のブクログレビューを読んで、興味を持って借りてみました。
    「俺に似たひと」=介護が必要になった(実)父、です。

    自分が実父の看病をしているときのことを思い出しました。
    看取る、とはいっても、「最後の最後(死の確定は医師しかできないわけで)」は病院にゆだねるわけですが、なんとなくそういったことも思いだしました。
    キレイにまとめてある印象です。

    でも、当時、どうしても辛かったこと、も思いだしましたし、
    以前介護していて、気持ちを整理しきれていない方は、この本を読んで気持ちの整理がつくかもしれないです。
    これから介護が始まる方も、なんとなく覚悟、ができるかも。

    • まっきーさん
      みつきさんへ

      こんにちは。
      いいね!ありがとうございます。

      あと私のつたない感想を見て、本を手に取ってもらことうれしく思いまし...
      みつきさんへ

      こんにちは。
      いいね!ありがとうございます。

      あと私のつたない感想を見て、本を手に取ってもらことうれしく思いました。

      みつきさんも介護されていたのですね。
      うちは今、真っ最中で…毎日悩みの連続です。介護5で100歳越えているので
      私にも負担がかかって体調が悪くなり、週の半分をショートステイに出すことにしました。

      色々な介護の本を読みましたが、この本は感情的なこともあまり書かれていなくって
      生々しくもなく、スッと読むことが出来ました。

      うちは「せん妄」がひどいので、せん妄がひどいケースはうちだけでは
      ないんだと…とても救いに感じました。

      介護する前は「何となく自分でも出来るだろう」と思っていましたが甘かったです。


      この本、見つけて読んで良かった…と思っています。これで少し気持ちに整理がついた気がします。
      2015/12/19
    • みつきさん
      コメントありがとうございます♪
      まっき~♪さんのブクログはちょくちょく見ては読書の参考にさせていただいてます。

      親の介護のことは、思...
      コメントありがとうございます♪
      まっき~♪さんのブクログはちょくちょく見ては読書の参考にさせていただいてます。

      親の介護のことは、思いだしたくない、でも折りにふれては思いだしてしまうような。そんな思い出です。

      追い込まれるような日々から解放されて(体よりも、気持ちがツライです)
      ようやく少し、気持ちの整理がついてきたというか。



      この本は良書でした。
      ブクログで紹介してくださって、ありがとうございます。
      これからも、まっき~♪さんのブクログにはちょくちょくお邪魔しますので、
      レビューはいっぱい書いてください(笑。

      自分のお体(と心)大切になさってくださいね。
      2015/12/20
  • 老いるということを忘れて生きてていいのかと思う。

  • 涙を、堪えつつ、時にポロポロこぼしながら読んだ。

  • この本は、NHKテレビでも紹介され、「生前供養としての介護」いう言葉が話題になりました。
    平川氏のお父様は、80代半ばまで奥様と2人で生活をしていましたが、その後奥様を病気で亡くし認知症が進行しました。
    平川氏は、80代半ばを過ぎた老夫婦の生活は危機的なものであったが、その現実に息子として目を向けようとしなかったと語っています。
    それからお父様の介護を亡くなられるまで1年半にわたる父子の介護生活が始まりました。
    介護生活通じてざまざまな心の葛藤を体験しています。

  • 先と終わりの見えない状態で「なんとかなる」「楽しかった」と嫌悪する事なくなぜ、自ら進んで受け入れられるようになるのか。
    どうしたら憎まず、思いやれるのか。
    できることと、できないことの違いはどこにあるんだろう。

    いつかの「その日」までの長い道のりをどう決意して、向かって行ったらいいのだろう。

    同性の親と異性の親で、違うんだろうか。

  • 父様の介護、読ませて頂いていて ウンウンと頷ける場面が随所にありました。
    でも、素敵です。息子さんが率先してお父様の気持ちを察して、下のお世話はじめ身の回りのことを人任せでなくご自分でやり切られるお姿に感動しました。
    介護は、される方の喜ぶ笑顔が励みでしょうが、ややもすると一途になり介護する方が自由も利かず鬱状態になりやすい。
    でも、介護することで自分が後悔しない様にと同じような立場でいるから感じる所です。
    実の息子たちに見習って欲しいなと感じました。
    「生きているということはそれ自体が苦痛であり、身体はすべてのエネルギーをただ生きていることだけに使っていたのだと思う」の言葉が辛かった。

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著者プロフィール

平川克美(ひらかわ・かつみ) 1950年、東京都生まれ。文筆家、隣町珈琲店主。

「2020年 『街場の日韓論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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