自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン

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  • 医学書院
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784260016285

作品紹介・あらすじ

対人関係のカギは"自分の心"にある。気鋭の精神科医が説く"人とかかわる"ための知恵と技。

感想・レビュー・書評

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  • 職場の人間関係でどうにかなりそうで、怒りで心がいっぱいになり、攻撃性のかたまりになりそうなとき読んだ本。

    怒りに関する良書はたくさんある。それこそ当時は每日怒っていたので、すがる気持ちで何冊も読み、救われた本もいくつかあった。

    そのなかでも、この本は別格。
    なぜかというと、「怒っている読者」に対して容赦がない。

    たとえば、

    われわれは例外なく、赤ん坊のとき「怒って泣けば他者が不快を除去してくれる」という間違った認識をもってしまう、という話から始まる。だから自分を労ってくれる親密な他者にこそ怒りを向けがちなのだ(要約)

    他にも、

    ・多かれ少なかれ人は心に「地獄」を飼っている。暴れ馬のような心を自分から一旦切り離して正確に認識し、その変化を観察しておくこと。
    ・心のなかには「自分だけが正しくて私の言うとおりにしない他人は間違っている」と考える自分が少なからずいる
    ・苦労話は、その人の本音や心の暗部を巧妙に隠すようにつくられた完成度の高い物語である

    など、ズバズバいく。

    怒っているときは確かに「自分は間違っていない、相手がおかしい」という気持ちが盛り上がり、自分に都合のいいストーリーを捏造して人に語り、いつのまにか自らもそれを真実と思い込んでしまったりすることがある。(というセリフ「3月のライオン」にもあったな…)
    そうすると、もう怒りから逃れられないし、自分の創りだした妄想に取り憑かれてますます苦しむことになる。

    怒り狂ってほてった頭に、ばしゃりと冷水をかけてくれるような仏教思想と心理学(精神医学?)の合わせ技。
    原因も解決も、ぜんぶ自分にある。
    厳しくて優しい、先生みたいな本でした。

  • ブックオフで思わず手に取った。

    ・心は暴れ馬であると認識する。
    ・怒りを消す。(瞑想・呼吸法の活用)
    ・性格分析でよりよい人間関係を。
    テーマは大きくこの3つ。
    視点が面白い。

    性格分析は有効かも。学んでみよう。

  • 怒りがいかに人間関係において無益なものか。
    そして怒りの消し方、性格分類まで。
    怒りに対して自覚的になれる一冊。
    性格分類の行動陰タイプとおもわれる人がいて、まさに本書のような行動や怒りの仕方をしていて作者の正確な人間理解には脱帽した。

  • ストレスコントロールは怒りのコントロールなのかー。人を見下したり、自分を卑下するのもまた怒りのバリエーションのうち。ほかにも「ほうほう」となるフレーズがたくさんありました。
    この手の啓蒙?啓発?な本ってどうも胡散臭い気がしてちゃんと読みきれたことがなかったのですが、この本は見計らいでぱらぱら読んでいたらそのまま読み耽ってしまい、お買い取りにしてしまいました。

  • 怒り、不安、見下し、、、自分の中で起きていることが何なのかよくわかった。全ては怒りからきていると。

    対人関係は自分の心にあり、自分をコントロール、怒りを抑えること。人の心は瞬間的にコロコロ変わるというのは初めて知ったことで、コロコロ変わるなら瞬間的にコントロールできれば、希望にもなる。難しい場面ばかりだが、意識してコントロールしてみよう。出来たという実感をつかみたい。この話、仏教の教えに通じており、裏を返すと、昔から人のなやみってって同じなんだな。

  • 対人関係の悩みは自分の心の中の問題が原因であることを示し、9つのレッスンを通して解決する。

    怒りにとらわれリアリストになり引きこもるメカニズムが自分にドンピシャではっとさせられた。
    単線的な認識で世界を捉えようとする人物は少し前に読んだ「悩む力」でも触れられており、そうした行動規範を持つ人は増えているのかも。

    自分にとって最も大事な相手に怒りをぶつけてしまうという考えがいまいち納得できない。
    最後の性格判断も詳しくは既刊で!というくらいの内容の薄さなので読後はちょっともやっとする。

    対人関係に悩んでいるというより御しがたい怒りの感情をもてあましてる時に読むことをお勧めしたい一冊。

  • まあ読みやすくはある。お手軽。だから哲学じゃない。思索とも無縁。
    しかし、随所にそれは違うだろうというところ多し。
    赤ん坊が怒ってるっていうのは違う。あれは不快の表現方法。それが母親に向けられるのは、身近に長時間いる人だから。母親でなくても父親でも祖母でも保育士でも同じよ。
    こういう話で人を納得させようというところに無理があるのよ。
    実際に子どもと濃厚に過ごした人ならわかること。
    「リアリストは必ず引きこもる」なんて話はちょっとそうかもと思ったけど、単に身近に引きこもりがいないからそうかも、と思っただけで、実際に身近にいる人はまた違う考えなのでは。
    確かに怒りは人を疲弊させ、パフォーマンスの低下を招くかもしれないけど、怒りで前向きな行動を起こす人もいるだろうし、著者の言うとおり座禅を組んで瞑想しても、怒る人は怒るのよ。
    私は年取ってあんまり怒らなくなったけど、たまに怒る。
    でも、あんまり心が穏やかなまんまのも刺激ないよね。
    適度に怒っていいのでは?無理して消す必要なし。
    政治や体制に対して怒りを抱くのはまっとうだと思うし。
    例えば被災者への無策ぶりに怒るのを、私の心の問題だから、とやめてしまっては、何の解決にもならないのではないか。
    この著者の本は初めて読んだが、もう読まない。

  • 怒りをコントロールする類の本の中では、独特の着眼点でおもしろく読めました。

    怒りは他人によってもたらされるものではなく、あくまで自分の心の状態によって発生するとせよ、の視点は気に入りました。
    他人への接し方うんぬんよりも、まず自分をよく知ることで、もっと生きやすくなるんでしょうね。

  • 医学的視点だけでなく、禅や仏教的視点からも心を考えている面白い本でした。

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著者プロフィール

1960年、奈良県生まれ。精神科医。相愛大学、高野山大学客員教授。専門は思春期精神医学、精神療法。近畿大学医学部卒業。大阪府立中宮病院(現:大阪府立精神医療センター)にて、精神科救急病棟の設立、責任者を経て、1999年に同病院を退職。引き続き臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。主な著書に『驚く力』(夜間飛行)、『自分を支える心の技法』(医学書院)、『どうせ死ぬのになぜ生きるのか』(PHP新書)などがある。

「2015年 『日本の反知性主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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