大人の発達障害ってそういうことだったのか

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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784260018104

作品紹介・あらすじ

大人の精神科医×子どもの精神科医。専門の異なる2人の臨床家が大人の発達障害についてとことん語り合った至極の対談録。

感想・レビュー・書評

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  •  入院中に家族から暇つぶしに読んだら…とわたされた。
    発行が2013年であり2012年に対談した内容とすると、本年が2014年なのでひと回り前にまだ大人の発達障害についてこのように議論されていたのだとなかなか興味深く読ませていただいた。
     確か15年以上前になるか、通常のうつ病のように薬物療法が効かない若年者のうつを「新型うつ」なんて呼んでいたと記憶している。やはり本人特性(発達障害)を背景としたうつ症状が増えてきていたんだな。当時は専門家でもこのような議論をしていたのだ…。新たな知見を学ぶというよりは、今振り返って当時の新たな疾病概念についてない貴重な記録として価値がある一冊だ。

  • 2013年に発売されている本とだけあって、2022年現在出ている図書の方が詳しく解説されている感じがある。ただ、2013年現在だと、この本は画期的な一冊だったのだと感じる。

    p.24 カナ―&アイゼンバーグの診断基準
    ①他者との情緒的接触の重篤な欠如
    ②物事をいつも同じままにしておこうとする強い欲求
    ③ものに対する強い関心、ものを器用に扱うこと
    ④言葉がないか、オウム返しなどのコミュニケーションには役立たない言葉の使い方
    ⑤知的な顔立ち、特殊領域での優秀さ
    の5項目からなる自閉症の診断基準

    p.34 症状の特徴
    ・同年代の友人とうまく付き合えない
    ・社会性の問題が最も大きい
    ・異性との付き合い方が下手
    ・エキセントリックな印象、強迫的
    ・迷信やルーチンに縛られやすい
    ・着脱や身だしなみに問題があることも多い
    ・特定のことに関心がある。いわゆるオタク
    ・話し方が不自然(ペダンティック、文化的、モノトーンなど)
    ・非言語性コミニケーションに問題がある
    ・非常識な行動を悪気なくやってしまうことが多い
    ・能力の凹凸が多い
    ・思考障害や思考途絶に見えることもある

    p.36 子供の症状の特徴
    ・同年代の子供とごっこ遊びができない
    ・グループの中に入れない。いじめられる
    ・孤立が好き
    ・突飛な行動をとる
    ・奇妙でエキセントリック
    ・ものを並べたり、非常にオタク的な興味を持つ
    ・強い関心
    ・非言語性コミュニケーションが乏しい
    ・発達の凹凸は大人より目立つ

    p.128 発達障害の現在症と言うのは、社会性、コミニケーション、イマジネーションの障害+感覚過敏ですか。それでちょっと怪しい2つ3つ当てはまると思ったら次に発達歴を聞く

    p.147 女性に潜在例が多い理由
    ・行動がそれほど衝動的ではない
    ・ノーマルに振る舞えることが男性より上手
    ・暴力は多動などの問題行動はあまり起こさない
    ・主婦業の要求水準は社会に出て働くよりは低いため、症状が目立たない
    ・男性と同じ診断基準では見つけにくい。女性には女性の診断基準が必要である

    p.188 神経症うつ病と言う概念がなくなったから何か引き出しが必要になって、「新型うつ」と言い出したような面がある。良い入れ物がないから用意したのが新型うつだと思うんです。その中に、先生がおっしゃるように、「休め」と言われても「頑張れ」と言われても混乱する人がいますよね。

    「少し休みましょう」ではなくて、スケジュールを具体的に作ってあげないといけないんです。「この日は家でこれをやる」「この日は学校へ行こう」とか。そうしないと、ダラダラ過ごしちゃって、昼夜逆転みたいになり、どんどん悪くなっていきますから。そういった事は、うつ病のほうにあまり書いていないですよね。

    p.242 読みの障害とはどういうところですか。字が読めないのでしょうか。それとも読んでも理解できないのですか。

    いろいろなタイプがありますけど、例えば飛ばし読みするとか、1行抜かしちゃうとか。

    音読ができないのでしょうか。

    音読ができないこともありますよ。みんなの前で音読させると理解できないけど、黙読だったら理解できると言う子はいます。そういう子にとっては音読を無理強いされるのは非常に辛いことなのですね。黙読ならわかるのですからね。

    そうです。要するにメモリのキャパシティーが少ないんですよね。音読と言うのはすごくワーキングメモリを使うんです。音読大学でも語学の授業で音読させる先生がいますよね。それが辛くてその授業には出られないと言う学生もいます。できればやめて欲しいなと思います。学校は配慮してあげてほしいです。

  • 専門家の対談形式の本。最初は専門用語が頻発してついていけなかったが、終わりの方は専門用語にも段々とついていけるようになり、また内容も平易になったのでだいぶ理解できた。

    それにしてもADHD(注意欠如・多動性障害)、ASD(自閉症スペクトラム障害)、LD(学習障害)と色々あってややこしい。

  • 対談形式なので、非常に読みやすい。自分の講演の参考にもさせていただいてます。

  • 2021.3.3 M3福井が借りました
    2022.9.14 塚田先生に貸し出し中です

  • だれかの「生きづらさ」に目を向ける40冊

    所蔵状況の確認はこちらから↓
    https://libopac.akibi.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2001010144

  • 大人の発達障害について精神科医同士の対談という形で描かれている。専門用語などが多く素人には理解しにくい箇所もあるが、大人の発達障害者が起こす日常でよく目きる起こす失敗などが分かりやすく
    書かれており医学の素人でも部分的に読んでもわかる内容だと思う。この本を読もうと思ったきっかけは身の回りにいる仕事が全く出来ない人や人の気持ちがわからない人がそもそも病気なのではないかと思ったからである。生まれつきの性格や後天的に育ってきた環境が悪かったのだと諦め、関わらないようにすることも出来るのだが仕事をする上でそうもいかない。色んなことを試しても身にならない、自分の指導方法が悪いのかと悩むこともある。
    職業柄、病気の人を治療するために病気のことを理解しなければいけない。大人の発達障害も同じであり、今までの経験や常識を彼らに当てはめても通用しないのだ。
    本書では大人の発達障害を診断できる精神科医は少ないと書かれており、意外と身の回りには沢山の発達障害疑いの人がいるのではないだろうか。
    管理職にあたる方は是非読んだほうが良いと思う。

  • 現場の手探りがなまなしく感じられた。

  • 大学の学習課題の参考文献。大学教授でもある精神科医ふたりによる対談。ASDがメイン。統合失調症とASDの併発、ASDとADHDの併発で、ASDを見落とされてしまった時の危うさなど、非常に参考になりました。私のような当事者が読んでみると、自分を振り返るきっかけにもなります。
    医学書院から出ていることからもわかる通り、一般向けではなさそう。

  • N700

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著者プロフィール

北里大学医学部精神科学教授

「2020年 『こころの科学215』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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