ユマニチュード入門

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  • Amazon.co.jp ・本 (145ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784260020282

感想・レビュー・書評

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  • 認知機能の衰えた人との接し方が分かりやすく書かれた、介護士さん向けに書かれた本。
    運動機能は大事と知り、それがわかっただけでも良かった。

  • そうだよね、と思うものが書かれていた。
    が、普段はついつい忘れがちだったり思考の端に寄せられているものを改めて矯正するという意味では良い本であったと思う。人はいくつであっても自分というものを他人にどんな形であれ承認されるということが人格を形作るうえで重要なものであると感じた。

  • フランスで生まれた認知症ケア「ユマニチュード」の基本は「見る」「触れる」「話す」「立つ」の4つである。尊厳をもった人間として見つめられ、敬意をもって話されると攻撃をやめ劇的に回復に向かうというこのケアの技法は希望を見せてくれる。
    (教員からの推薦コメント2021年)

    NHKでも特集番組がありましたが、今注目されている認知症ケアに関する本です。医療者は認知症の人の行動を「異常な行動」、「問題行動」と捉えがちですが、その行動には何らかの理由があるはずです。認知症の人の行動を押さえつけるのではなく、その人の抱える「痛み」に寄り添うことで持っている力を引き出すことが出来るならば、それは本人にとっても医療者にとっても喜ばしいことではないでしょうか。この本には、理論的なことだけでなく実践的な内容も書かれているようでしたので、看護学生の学習に役立つと思い選ばせて頂きました。
    (2014年度学生選書コメント 地域保健学域 2年生)

    大阪府立大学図書館OPACへ↓
    https://opac.osakafu-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2000870984

  • ラジオで 認知症ケア 革命的技法というものを聞いたので興味を持ちまし
    ユマニチュードという言葉を聴いて なんでしょう??と
    思って 調べたら 著書があったので 読んでみました。

    内容はラジオで聴いたのと重なりますが
    改めて文字で確認すると 記憶に残りますね。

    この 技法は
    貴方の事を 大切に思っていますよというメッセージを伝えるという事を基本としています。
    実際の現場でも そういう風にしていますよ~~って 思うけど、
    やはり 時間が限られているとか 諸々で つい おざなりになってしまうこともあることについて 提案がされていました。

    基本は「見る」「話す」「触れる」「立つ」である。
    例えば 壁に向いて寝ている人の所へ行く時は
    ベットを動かしてでも 正面へ行き 目をあわす。
    話しても反応がない場合は 自分でフィードバックをやる。
    実況中継みたいに話しかける。
    触れる時は 赤ちゃんに触れるように
    ひろく やさしく ゆっくりと。
    飛行機の離着陸のように そして手などを 掴む時は
    上からではなく 下から。
    上からだと 拘束されるような 負のイメージにつながるので。
    立つことは 1分も立てない人でも 立ってもらう。
    そうする事によって 人としても尊厳や自信を取り戻してもらえる。

    などなど ですが 
    多分ざっと 私のこのまとめを読んだ人は そんなの 当たり前にやっていますよ~
    でも、 ケアを拒否する人とかの扱いが大変なんですと おっしゃるかもしれませんが この ユマニチュードをしっかり学べば 拒否する人が段々穏やかになってくるという 実績があるそうです。

    この本は 認知症の方と関わる方に 是非読んでもらいたいと思いました。

  • その人の、尊厳と必要な介護レベルを見極めて最期まで生き生きと生きるサポートをする。

    行うは難しいかもしれないが大切で素敵な考えかたと思った。

  • 相手が人間であることを無意識のうちに忘れてしまっているかもしれない。レッテルや肩書や役割分担にとらわれてしまうと、人間性を見失ってしまうかもしれない。

  • とっても薄くて直ぐに読みきれるけど、とっても深くて役に立つことが書かれていました。

    「驚きの介護民俗学」(六車由美)と同時に図書館に予約したのだが、あちらは一ヶ月ほどで読めたのに対し、こちらは半年もかかってしまった。つまり、それだけ介護現場に高頻度に利用されてるということなのだろう。

    書かれているのは、しかし極めて介護の基本である。基本の基本は、このようにまとめられていた。
    ●正面から近づく
    ●相手の視線をとらえる
    ●目が合ったら2秒位内に話しかける
    ●最初から「ケア(仕事)」の話はしない
    ●体の「プライベートな部分」にいきなり触れない
    ●ユマニチュードの「見る」「触れる」「話す」の技術を使う
    ●3分位内に合意がとれなければ、ケアはあとにする。

    気がつくのは、昔の近親者の介護と態度としては同じ。それに科学的な根拠を付けたしただけのように思える。それならば、これは介護労働者に必要な知識だけではなく、すべての介護に必要な知識になるだろう。また、効率という「主義」を優先させて、結果的に(さらに病状を悪化させる)不効率な介護をしている「現場」があるから、ここまで注目されたのだろう。

    「ユマニチュードは精神論ではありません。ユマニチュードは、自分も他者も「人間という種に属する存在である」という特性を互いに認識しあうための、一連のケアの哲学と技法です」(34p)
    それはつまり、「介護に人間を取り戻す運動」にするということなのではないか。ユマニチュードが時に「革命」とも言われる所以だろう。

    「全国の介護施設や療養型病院のうち少なくとも1510施設で、2012年以降の3年間に高齢者への虐待があったり、虐待の疑いがあったりしたことが、厚生労働省の補助を受けたNPO法人の調査でわかった。」(2015.4.11朝日新聞)こういうことも、介護の技術と哲学が浸透していないことと無関係ではない。また、経営的にそれしか手段がないと思わせる政策があるからだろう。

    一部の介護はプロの手からボランティアという素人に移ろうとしている。そうやって「切り捨てる」ものが「人間の尊厳」であれば、後世に悔いを残す政策になるだろう。

    2015年4月9日読了

  • フランスで注目を集めている介護方法の一つが本書に記されているユマニチュードだ。介護現場は身体的負担が大きい割に低賃金のいわゆる3K仕事だ。声をかけても反応がないか、抵抗しかしない人たちを相手にしている介護職の人はいつしか無機質のモノを扱う感覚に陥ってしまう。接し方が悪いのではなく、それにはテクニックがいるということを提言した本だ。正常な認知機能を持たない人達へどうアプローチしたら良いかざっくりと書いてある。もう少し詳細なテクニックを書いてもと思ったが、入門書なのでさらに詳細が知りたければ、専門書を読み漁るしかない。仕事ではなく、介護する家族の一助になる本かもしれない。

  • ユマニチュード?なんのこっちゃ?という自分だったが、評判から手に取ってみて、びっくり。難しいことはなにも書いていないが、人間の尊厳を尊重した行為とは、何かということが、深い洞察と学術的な知見に基づいて書かれていました。

    ・ポジティブな見方(視線)とネガティブな見方。
    ・「見ない」はいない。
    ・散歩ですか?連行ですか?:手首をいきなり掴まない
    ・「今ケアすること」をあきらめ、次の機会を待つことは、本人の意志を尊重する事にほかなりません。
    ・いきなりケアの話しはしない:人との関わりを求めてきたことを伝える
    ・「この人は嫌なことはしない」という感情記憶を残す

  • 本当にそのとおりだと思う。
    そしてこのように出来れば「困った利用者さん」では無くなる方が実際いると思う。
    でも現場では「送迎に時間かかりすぎると他の利用者さんに迷惑かかる」と時間かければ歩けるのに車イスに乗せてしまうし、ヘルパーさんも自分で食べれる利用者さんでも時間かかりすぎて次の活動に差し支えるからと食べさせてしまう。
    利用中に歩こうとする利用者さんを「立たないでください。転ぶといけないから」と座りっぱなしにしてしまう。
    時間に追われ利用者さんの目を見ることも無く言葉かけも適切ではないことも多い。
    でも自然にユマニチュードを実践している介護士さんもいて、「なぜかわからないけどAさんはあのヘルパーさんの言うことだけはよく聞く」ということも実際ある。
    ユマニチュードは特別新しい考え方ではなく、こうすれば良いということはみんなわかってるんだけどなあ。

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著者プロフィール

■本田 美和子(ホンダ ミワコ)
国立病院機構東京医療センター総合内科医長/医療経営情報・高齢者ケア研究室長。1993年筑波大学医学専門学群卒業。内科医。
国立東京第二病院にて初期研修後、亀田総合病院等を経て米国トマス・ジェファソン大学内科、コーネル大学老年医学科でトレーニングを受ける。
その後、国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センターを経て2011年より現職。

「2020年 『2021年 タンザック判カレンダー ユマニチュードカレンダー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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