子どものための精神医学

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  • 医学書院
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感想 : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784260030373

作品紹介・あらすじ

名著『看護のための精神医学』のなかで、著者の中井久夫氏は次のように書きました。 「本書では児童青年期という重要な時期の患者を独立にとりあげることはしていない。それは、良き著者を得て別の一冊が生まれるのを待っていただきたい」 ――中井氏に“指名”された著者による待望の書が、ようやく刊行される運びとなりました。 発達障害、知的障害、ADH等々、診断名を解説する本はたくさんあります。しかし「発達のおくれとは一体何なのか?」そして「この子のために何ができるのか?」を、読めば分かるように書いてある本は、意外に少なかったのです。 本書は、熟達の児童精神科医による画期的基本書です。………【序文より】 この本では、子どもの精神障害を扱う。 とはいっても、「児童精神医学」の網羅的な教科書や啓蒙的な解説書をめざす本ではない。日々の暮らしのなかで子どもたちと直接かかわる人たち――教員、保育士、看護師、心理士などをはじめ、さまざまな子どもにかかわる職域にある人びと、そしてもちろん親たち――にとって、子どものこころの病気や失調、障害を理解したりケアしたりするために役だつことをめざす本である。 子どもの診療にあずかる医師にも役にたてばと願っている。(中略) 人生とは一人ひとりに個別的であり、しかも一回かぎりのものである。子育てとは、そうしたとりかえのきかぬ人生でのかかわりである。こうすればかならずOKという模範解答はない。太郎くんでこうだったら次郎くんでもこう、ともかぎらない。 この本では、できるだけ具体的・実践的に考えていくけれども、ハウツー的な「マニュアル」やマスターキーのような「公式」を示すものではない。それよりも、子どもというもの、子どもの精神障害というものへの「基本的な考え方」や「基本的なかかわりの姿勢」を、一回かぎりの人生を歩みはじめている子どもたちとのかかわりに生かせるかたちで伝えられたらと願う。 「基本」とは要点やさわりではない。基本的に考えるとは、基(もと)や本(もと)から考えること、土台から考えを積むことである。実践に役にたつ土台を提供するのがこの本の大きな目的で、しっかりした土台さえあれば、臨機応変や応用が可能。 マニュアルやハウツーは、そこに書かれたことしかできず、臨機応変や応用が効かない。急ぐ読者にはもどかしいかもしれないけれども、ていねいに土台から積んでいきたい。

感想・レビュー・書評

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  • 精神医学の大家、滝川一廣先生による子どもを対象とした精神医学の包括的な概説書。精神医学という名前がついているが、発達障害・虐待・いじめ・不登校と様々な子どものメンタルヘルスの問題について触れられており、精神医学に携わるもの以上に、子どもに携わる者全員に役に立つ本となっている。自分自身の様々な子どもとかかわってきた経験を、ここまで明快に言語化してくれた本は初めてだった。生物、心理、社会的な要因に至るまで幅広い視点で捉えられており、こんなにも分厚い本なのに一言一句に学びがあった。

  • 子どもの問題を社会的、文化的視野の中で捉えるという視点に立ち、子どもの精神発達とその困難について総括的にまとめてある一冊。
    発達に困難のある子どもと関わる大人だけでなく、親や教育に関わる人にとっても役立つ知識や、考えが散りばめられている。

    心に響いた部分をいくつか抜粋。


    障害名や診断名をつけることに意義は感じていたものの違和感があったが、「名前を知ることで、周りと分かち合うことができる。名前をつけることは、納得や安心感をもたらす力がある。」という記述で納得できた。

    「支え合うとは、仲良くもたれ合うことではなく、競争と協力、対立と妥協、主張と譲歩、自愛と他愛など、相反的なものを調和させながら関わりあうこと。」→もたれ合う関係は、親子や恋人でもあると思うが、その違いについて理解できた。

    「社会性をつけるケアやトレーニングをする考えもあるが、そこまでせねばならぬほど、社会性とは良きものなのか?」
    →「私たちの社会が過敏に対人関係を働かせなければならない世界になっていないか。(礼儀、マナーとか)」
    →「もっと懐の広くて深い、おおらかな社会を作り上げることが、子どもたちだけでなく、私たちに取って必要かもしれない。」

    「『みんなちがって、みんないい』を、現実に振る舞わせるのは理念ではなく、異質性、多様性の中を生きてきた経験がもたらす違うことへの「慣れ」なのである」
    →だから、多様性を顕在化し、子どもが意識できるかが大事。

  • すごくわかりやすい。
    そうか、そう感じてたんだなって思える。

  • 児童精神医学の専門家である滝川一廣先生が子供の精神障害についてわかりやすく解説した良書。発達障害や精神障害は不登校やいじめなどの問題とも密接につながっている。発達障害や精神障害の子供たちと関わる可能性がある人にはとてもおすすめできます。

  • フロイトやピアジェなど心理学の知見を使いながらも、日本人の特質や日本の社会状況に合わせて、主として未成年の心理失調を分析している。この、未成年に見られる心の現実を明らかにした分析は圧巻で、子供の発達過程を辿りながら、社会倫理も絡めて、現状を浮き彫りにしている。従って、現状分析は極めて独創的で、この分野に興味があるなら必読だ。ただ、問題の所在を明らかにした後に、対処法を示すが、それがあまりにも定式化され過ぎていて、これが現実の解決に一役買うとは思えない。これが科学としての心理学の限界で、未来を切り開く上での理想は、いにしえの思想を、時代の風雪に耐え得た思想を参照しなければならない。その意味で、仏教かキリスト教か儒教かなど、選択の余地はあるものの、現代の科学が単独で解決を目指すのではなく、古きを温める必要がある。西洋では心理学もキリスト教と地続きかもしれないが、日本では違うので、その点で古と新を架橋しなければならない。

  •  発達障害など様々な精神疾患や不登校などについて書かれた一冊。

     精神における病気や障害とは何かから始まる。この部分は確かに非常に重要だと思う。丁寧ながらやや難解さもあるか。一般向けには厳しいか。
     発達障害を精神分析的な理解を交えて説明していた部分はなるほどなぁと唸った。
     一方で不登校やいじめなど社会的な背景を絡めて説明する部分では以前と同じく雑な印象を受けた。

  • 学校・教育関係者のためのベースラインとして極めて有用。教育現場における心理学的知識のアップデートが包括的に行える。精神疾患を博物的に並べるだけでなく、捉え方・関わり方の点で著者の主観がところどころ顔を出すため読み進めやすい。

  • 400ページあり少し手が出しにくい感もありますが、基礎や理論から実践まで適宜症例を提示しながらわかりやすく解説してあります。内容が重複してる部分も多く、ページ数ほどは時間は取られないかと思いますし、何より理解しながら読み進められます。

  • 400ページを読む胆力があるならば、子どもに関わる前に必ず読んでおいて欲しいと思いました。この本を読もうと思う方なら絶対に理解できる内容となっています。

  • すごく売れてるようですね。なかなか読める人いないんじゃないかなと思うけど。

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著者プロフィール

あなはクリニック+オリブ山病院医師、前学習院大学教授

「2018年 『こころの四季』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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