つらいと言えない人がマインドフルネスとスキーマ療法をやってみた。

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  • 医学書院
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本棚登録 : 267
レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784260034593

作品紹介・あらすじ

人とを助けるひとは、なぜ自分を助けられないのか。自分の感情をないものとし、感情を出す人を「レベルが低い」と見下す“オレ様”開業医のヨウスケさん。自分の感情より相手の感情を優先して、他人の世話ばかりしてしまう“いい人”心理士のワカバさん。一見対照的なふたりですが、意外なところが似ています。それはどちらも「つらいと言えない」人たちだということ。いえ、これはもしかして、医療や福祉に携わる専門職や、ボランティア活動に勤しむ人たちに共通した特徴なのかもしれません。日々他人のために活動し、自らの感情に目を向けない。そして、そんな自分は強くなくてはならない。とても重要なことですが、ときどき息苦しくなりませんか?というわけで、そんな人たちがマインドフルネスとスキーマ療法をやってみたら……世界が違って見えてきました!…………(「私はなぜこの本を書いたのか」より抜粋)BPD【境界性パーソナリティ障害】を抱える人以上に、はるかにそれができない人たちがいます。すなわち感情を感じられない、特に「つらい」「傷ついた」「怖い」「寂しい」「腹が立つ」といった、いわゆるネガティブな感情を感じたり、表現したりすることが本当に難しい人たち。BPDの人たちはつらい感情を抱えていることを自ら知っているがゆえにそれを出すことを恐れるのですが、これらの人たちは、むしろ自分にそのような感情があること自体を知らない。というか無意識レベルで「知らんぷり」しています。あるいは「感情なんか馬鹿馬鹿しい」「感情なんか必要ない」「感情なんかくだらない」「感情より理性が重要」というように、感情を見下し、感情なんかあたかも「ない」かのように信じて、生きてきた人。そういう人は自分の感情だけでなく、他人の感情も見下します。感情を出す人を「レベルの低い人」として見下すのです。一方で、感情があることは知ってはいるのですが、あるいは感情を感じられないこともないのですが、自分の感情より他人の感情を優先する癖がついてしまっている人も、自らのネガティブな感情を認め、誰かに「つらいから助けて」と言うことができません。こういう人は他人のつらい感情には敏感で、「助けてあげたい」と思うのですが、他人の感情を優先してしまっているがゆえに、自分のつらい感情をつかまえることが非常に苦手なのです。非常に自己犠牲的です。…………

感想・レビュー・書評

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  • この本は認知行動療法と言われる治療法の具体的な実践例を通じて、本人がメンタルの問題として捉えてなかった問題をメンタルの問題として自覚し、解決に向かう話だ。
    TBSラジオsession22にて自身もうつ病に罹患した事を公表している荻上チキが「荻上チキが間違って2冊買っちゃったけどイイ本だったので1冊あげちゃうよSP!」にてお勧めしていたので、読んだ。

    マインドフルネスは最近ビジネス書でもよく見かける手法で、スキーマ療法は心の深いレベルでの認知の傷つきを理解し癒す手法だ。

    非常に胸を打つ話だった。自身が心を守るために行ってきた行為、例えば感情を出さないとか、弱味を見せないとか、自分の感じている事を遮断しようとするという事とか、そうした行為を早期に身につけ、身につけたその対処法が不健全な為、今度はその後の人生において生きづらさの原因となる。

    さらにその苦しさの背景が本人にはわからず、苦しさから解放されるために何らかの依存症、苦痛を和らげる薬やお酒にのめり込んでいく場合もある。

    この状況は「反省させると犯罪者になります(新潮新書)」でも似たような事が書かれていた。著者の岡本茂樹は刑務所での累犯受刑者の更生支援にも関わっていた人間だ。
    彼は犯罪者の多くが小さい時に親から受容されなかった経験を持ち、その時身につけた人間関係の対処法、暴言や暴力を伴うような対処法を身につけるようになる。
    だから刑務所によって反省文や反省する姿勢を表面的に行う事は出来るようになっても、もともと身につけている犯罪に繋がるやり方(ある種の苦しみからの解決法)を抱える本人の解決にはならないという事だった。

    自己肯定感や承認欲求とかそういうものにも繋がるわかりやすく良い本だった。

  • 二つのケースをあげて、マインドフルネスやスキーマ療法について分かりやすく解説されており、更に詳しく知りたくなる。難しいクライアントにも根気強く対応する著者の対応に、好感をもった。

  • いっきに読みました。いつも一緒にカウンセリング受けてる気になります。
    伊藤さんの本はほとんど読んで、ほぼ同じ内容なのだけど、わかりやすいのとかカラフルなのとか、違うタイプの人が出てきたりとか、とてもよいです。

  • 荻上チキのsession22で紹介されていたので読んでみた。

    著者は臨床心理士で、認知行動療法(CBT)という心理利用を専門にしている。CBTは、ストレスに対する方法で、大雑把にまとめると、ストレスになるような事柄に触れると、1.気分 2.身体反応 3.認知 4.行動の反応をする。気分と身体反応は変えられないが、認知と行動は自分の努力で変えられる、とのこと。CBTには、別のモデルもあって、それが浅いレベルの認知の自動思考と深いレベルの認知のスキーマに分けられて、みたいな話。

    そして、実際にクライアントの実例を示して、CBTやマインドフルネスを使って治療の実際を教えてくれる。

    方法論も面白いのだけれど、実例がとてつもなく面白い。背中の痛みが精神的なものだと言われてやってきた傲慢な内科医。よーく話を聞いてみると(なかなか話そうともしないのだけれど)、意外な事実が浮かび上がる。この治療の過程でCBTやスキーマやマインドフルネスの具体的なやり方が紹介されていて、それも面白かった。

    自分自身の心のトラブルを何とかしたいと思ってる人がや、人の心に興味のある人にオススメ。マインドフルネスについて書かれている本はたくさんあるけれど、これはかなり良かった。

  • 「私は私のために生きる。」「自分を大切にする。」

    この類の言葉を何度言い聞かせても、どういうことなのか、なかなか咀嚼できずに過ごす毎日。

    一体、自分は何に困っているのか、何を軽減したいと思っているのか。実は深層心理のところで、自分に真向向き合うことには痛みが伴い、難しいため、避けていることが多い。

    この本に出会え、様々な私自身のつらさに関して、溜飲が下がった。救われた。具体的かつ論理的で、わかりやすい表現や例が多用され、何度も読み返したくなる。

    この類の著作は、実は30年以上何冊も読んでいるが、そのなかでも私にとって大切な一冊に加わった。

    自分はどうしたいのか、何を望んでいるのかを
    日々、とことん自分自身に問い、心の声を聴いて、極力それを優先する。

    家族も含め、他者の反応は私の所為ではない。他者の問題を我がことのように、察し、思い悩み、解決するばかりの人生は、私の人生ではないな。

    寂しさ、心細さ、空腹、痛みなど、感情や感覚を表現しても、感じても大丈夫。辛いから助けてほしいと、訴えても大丈夫。

    辛いとき、心細いとき、怒りに震えたときは、この本に手を当てて、子どもたちの幼いころの手の感触や笑顔を蘇らせて安全基地にして、私をまず維持しよう!

  • 「人を助ける人は、なぜ自分を助けられないのか」と衝撃的な副題。対人関係職に就く人には、自分の感情を押し殺していたり、自分の感情より他人の感情を優先する人が多いかもしれない。そうだから、この職業を選ぶのかもしれないが。ただ、初級者の時はいいかもしれないが、複雑なケースを扱ったり、仕事が増えてくると、自分をスポイルしてきたり、疲れ切ってしまう時も出てくる。そうなった時、もしくは、ならないためのセルフヘルプ本でもあり、マインドフルネス、スキーマ療法を学ぶきっかけになる良本である。著者は、分かりやすい事例を提供することで、読む者を引き付ける本を書かれる。一気読みして、さらに勉強を深めたいと思える本である。

  • 架空の患者(とは言えモデルはいる)を題材に、認知行動療法とマインドフルネス、そしてスキーマ療法のやり方、効果を教えてくれる本。人は変われると信じさせてくれる良書。

  • スキーマ療法というのはあまり聞いたことがなかったのだが認知行動療法の一種とのこと。

    この本では二人のモデルとなる人物を中心にマインドフルネスやスキーマ療法を通じて変化してくようすが書かれています。

    物語風なので読みやすい。

    自分の事は自分が一番知らないのかもしれません。

  • 具体的でわかりやすく、一気に読み終えました。

    CBT、マインドフルネス、スキーマ療法のつながりがわかり、すっきりしました。
    自分でもやってみたくなりました。

  • 第3世代行動療法と言われるスキーマ療法の事例紹介本。「行きづらい」と感じている人に導入として良い本だと思う。

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著者プロフィール

洗足ストレスコーピング・サポートオフィス所長。

「2020年 『こころを使うということ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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