つらいと言えない人がマインドフルネスとスキーマ療法をやってみた。

著者 :
  • 医学書院
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784260034593

作品紹介・あらすじ

人とを助けるひとは、なぜ自分を助けられないのか。自分の感情をないものとし、感情を出す人を「レベルが低い」と見下す“オレ様”開業医のヨウスケさん。自分の感情より相手の感情を優先して、他人の世話ばかりしてしまう“いい人”心理士のワカバさん。一見対照的なふたりですが、意外なところが似ています。それはどちらも「つらいと言えない」人たちだということ。いえ、これはもしかして、医療や福祉に携わる専門職や、ボランティア活動に勤しむ人たちに共通した特徴なのかもしれません。日々他人のために活動し、自らの感情に目を向けない。そして、そんな自分は強くなくてはならない。とても重要なことですが、ときどき息苦しくなりませんか?というわけで、そんな人たちがマインドフルネスとスキーマ療法をやってみたら……世界が違って見えてきました!…………(「私はなぜこの本を書いたのか」より抜粋)BPD【境界性パーソナリティ障害】を抱える人以上に、はるかにそれができない人たちがいます。すなわち感情を感じられない、特に「つらい」「傷ついた」「怖い」「寂しい」「腹が立つ」といった、いわゆるネガティブな感情を感じたり、表現したりすることが本当に難しい人たち。BPDの人たちはつらい感情を抱えていることを自ら知っているがゆえにそれを出すことを恐れるのですが、これらの人たちは、むしろ自分にそのような感情があること自体を知らない。というか無意識レベルで「知らんぷり」しています。あるいは「感情なんか馬鹿馬鹿しい」「感情なんか必要ない」「感情なんかくだらない」「感情より理性が重要」というように、感情を見下し、感情なんかあたかも「ない」かのように信じて、生きてきた人。そういう人は自分の感情だけでなく、他人の感情も見下します。感情を出す人を「レベルの低い人」として見下すのです。一方で、感情があることは知ってはいるのですが、あるいは感情を感じられないこともないのですが、自分の感情より他人の感情を優先する癖がついてしまっている人も、自らのネガティブな感情を認め、誰かに「つらいから助けて」と言うことができません。こういう人は他人のつらい感情には敏感で、「助けてあげたい」と思うのですが、他人の感情を優先してしまっているがゆえに、自分のつらい感情をつかまえることが非常に苦手なのです。非常に自己犠牲的です。…………

感想・レビュー・書評

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  • これまでちゃんと向き合うことを避けてきた、自分の心と向き合おうという気にさせられました。マインドフルネスとスキーマ療法はそのよい助けになってくれそう。

  • 架空の2事例を通して、認知行動療法、マインドフルネス、スキーマ療法を用いたカウンセリングの流れがつかめる構成になっている。すっきりとしたわかりやすい文体で、著者のカウンセリングもこんな風なのかなと想像させる。

    マインドフルネスがまさかここまで流行するとは思わなかった。本来は仏教の気づきの概念で、そこから宗教色を排してストレス低減法に活用されている。マインドフルネスという英訳自体、数年前には知人の僧侶に聞いても知らなかったが、その後、Googleの書籍が刊行されたことを契機に、医療よりもビジネスサイドから注目され、自己啓発系セミナーが乱立することになった。そのせいか、どこか胡散臭い感じもするが、医療ではエビデンスも出揃ってきて、かなり信頼のおけるセラピーのようだ。とはいえ、独学できるものではなく、本書の伊藤先生のようなメンターの存在が必要な気がする。

    本書はストーリー仕立てなので、より詳細な知識は、しばしば本書で紹介される著者の本を読めということか。まるで専門外だけど、この方の本なら読んでみたいかも。

  • 精神的な病気じゃなくても、人生でつらいことやストレスはあるし、もしかしたら、それで病気になる可能性もある。日頃からストレスに対処できるように自分でトレーニングして、なんとか対処できたらって思うし、みんながその方法を知っていれば、もっと生きやすい社会になるのではないかと思う。この本は、自分で実践できるマインドフルネスとスキーマ療法のことが書かれていて、実際に臨床心理士の方も自ら日々使われている手法で大変参考になった。

  • あんまり帯の言葉「人を助けるひとは、なぜ自分を助けられないのか。」はピンとこなかった。

    タイトルは合っていた。
    だいたいつらいと言えないから、つらいことに気づくことがつらいから、大変なことになっている。
    つらいと言えるようになるまでの2人の物語。
    でも、ヨウスケさんの話で本の8割は意外だった。

    「マインドフルネス&スキーマ療法BOOK1+BOOK2」の方がカラーで心和ますイラストもあるし、スキーマやスキーマモードについても詳しく書いてあるので、自分のことを自分で振り返りたい場合はそちらの方がおすすめかも。

    よくわからないけれど身体の痛みが続いて困っている人、どうにかしたい人。頭痛とか背中の痛みとか。
    いろいろマッサージとか針とか試しているけど、痛みが消えない。
    そういう人にはヨウスケさんの話を読むことで、心因性の身体化でそういう症状が出るんだ。
    心に向き合うことで、身体の症状、痛みが消えることがある。ということを知るにはいいと思う。
    ここまでで全体の8割。

    最後の最後で、自分の感情より相手の感情を優先してしまうワカバさんの話になる。
    この時点で結構息切れしてしまっているかもしれないけれど、「お母さんのことを負担に感じるなんていけないことだ。」という思いをどこかに抱えつつ、苦しんでいる人、「周りに悪いから○○しちゃいけない」と、思いすぎてしまう人には、ワカバさんの話の方が共感できるかもしれない。

    ただ、本書最後の方で書かれているが、心がとても傷ついていて一人でワークをするにはキツイ、しんどい時は信頼できる心理士(師)と一緒に取り組む方が安全。

  • スキーマ療法の日本トップランナーである伊藤絵美先生。担当心理士(以下PS)さんから、えみちゃんワールド、と条件付きで薦められた一冊。
    独特の語り口もさることながら、この本だけではスキーマが何のこっちゃ分かりにくい。そのため実際に受けたスキーマ療法の体験も交えて、少し長くレビューしたい。(そのテキストもえみちゃんワールド)

    他のレビューでスキーマ療法を「自己理解」だと超要約してしまった。そんなに外れでもないと思う。認知の歪みを治すのが認知療法、その歪みの原因を探るのがスキーマ療法。これを氷山に例えると、海面から飛び出たとこが認知、海面下の巨大な塊がスキーマと説明を受けた。なるほど。スキーマは認知に影響を及ぼしているわけね。

    その氷のカタマリを解きほぐす作業、いや「苦行」の深刻なケースが本著で紹介されている例。少しずつでも患者が変わっていく所がドラマチックだ。
    しかし私も含めて一般人のあるあるからは結構遠かったりする。治療も一年、二年三年と長期になることが繰り返し言われるのでげんなりしてしまう。
    私自身の体験を付け加えると、約半年で氷塊の宝箱にたどり着いた。人によってはここまでがしんどい。でもって大腸カメラくらいに恥ずかしい。過去の恥ずかしいことを全部大安売りする感じ。ただ、根があけすけな人間だったのが幸して比較的短期間で済んだのかも。

    本当にアタリの宝箱かは断言できない。ただ少なくとも病気だか生きづらさだかは改善。効果はあったと確信している。感謝している。こうしたスキーマの手応えを知ってから本書を手に取っていれば、もっと共感しながら読めたというのが正直な感想。
    そうはいっても間違いなく他にない良著であることに変わりはないので、トライされる方を応援したい。


    あれ…以下PSさんて、どこにも使ってへんやーん。

    これが私の生きづらさの正体の1つ。(ええかっこしい)

  • いっきに読みました。
    心理士がCBT、スキーマ療法、マインドフルネスを読者に理解してもらえるよう、分かりやすくまとめられています。事例で挙げられている2名のクライアントのそれぞれのストーリーには、時々涙が出ました。
    CBTの大まかな概要、スキーマ療法、マインドフルネスなどが功を奏した際に、どのようにクライアントに変化が起きるのか、事例とは言え結果まできちんと書かれています。
    一人の心理士の物語としても読めますし、専門的な内容を理解しながらも読めます。少なからず人それぞれ考え方の癖が誰しもあると思うので、読んでみて損のない内容だと思います。
    カウンセリングは、担当者によって相性などあるでしょうが、丁寧に真摯に向き合っている姿勢が感じられました。著者の他書も読んでみたくなりました。

  • ヨウスケさんの話、過去の部分が辛かった
    とはいえ外にみえている部分において
    過去の出来事は見えないので
    自分を縛るものがあればあるほど
    先細りしていくのが悲しいところ。

    伊藤先生のもとにたどり着けてよかったし、
    諦めずに取り組めてよかったと思う

    この手の話でいつも気になるのは、
    ドアを開けている時点で改善に近づいている
    人の裏にそもそもそのドアを叩けない
    (金銭的理由、そもそもドアを知らないなど)
    人もたくさんいるはずで
    そことの繋がりって難しいよなあということ。

    私個人でいうと、
    先のことを悲観的に考えてしまう部分があるので
    そのあたりは解きほぐしていきたい。

    帯にあった「人を助けるひとは、なぜ自分を助けられないのか。」はちょっとミスリードしそうな文章だなと思った(人を助けるひとが自分を蔑ろにしているという話ではないように感じた)

  • この本は認知行動療法と言われる治療法の具体的な実践例を通じて、本人がメンタルの問題として捉えてなかった問題をメンタルの問題として自覚し、解決に向かう話だ。
    TBSラジオsession22にて自身もうつ病に罹患した事を公表している荻上チキが「荻上チキが間違って2冊買っちゃったけどイイ本だったので1冊あげちゃうよSP!」にてお勧めしていたので、読んだ。

    マインドフルネスは最近ビジネス書でもよく見かける手法で、スキーマ療法は心の深いレベルでの認知の傷つきを理解し癒す手法だ。

    非常に胸を打つ話だった。自身が心を守るために行ってきた行為、例えば感情を出さないとか、弱味を見せないとか、自分の感じている事を遮断しようとするという事とか、そうした行為を早期に身につけ、身につけたその対処法が不健全な為、今度はその後の人生において生きづらさの原因となる。

    さらにその苦しさの背景が本人にはわからず、苦しさから解放されるために何らかの依存症、苦痛を和らげる薬やお酒にのめり込んでいく場合もある。

    この状況は「反省させると犯罪者になります(新潮新書)」でも似たような事が書かれていた。著者の岡本茂樹は刑務所での累犯受刑者の更生支援にも関わっていた人間だ。
    彼は犯罪者の多くが小さい時に親から受容されなかった経験を持ち、その時身につけた人間関係の対処法、暴言や暴力を伴うような対処法を身につけるようになる。
    だから刑務所によって反省文や反省する姿勢を表面的に行う事は出来るようになっても、もともと身につけている犯罪に繋がるやり方(ある種の苦しみからの解決法)を抱える本人の解決にはならないという事だった。

    自己肯定感や承認欲求とかそういうものにも繋がるわかりやすく良い本だった。

  • 二つのケースをあげて、マインドフルネスやスキーマ療法について分かりやすく解説されており、更に詳しく知りたくなる。難しいクライアントにも根気強く対応する著者の対応に、好感をもった。

  • 「人を助ける人は、なぜ自分を助けられないのか」と衝撃的な副題。対人関係職に就く人には、自分の感情を押し殺していたり、自分の感情より他人の感情を優先する人が多いかもしれない。そうだから、この職業を選ぶのかもしれないが。ただ、初級者の時はいいかもしれないが、複雑なケースを扱ったり、仕事が増えてくると、自分をスポイルしてきたり、疲れ切ってしまう時も出てくる。そうなった時、もしくは、ならないためのセルフヘルプ本でもあり、マインドフルネス、スキーマ療法を学ぶきっかけになる良本である。著者は、分かりやすい事例を提供することで、読む者を引き付ける本を書かれる。一気読みして、さらに勉強を深めたいと思える本である。

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著者プロフィール

公認心理師、臨床心理士、精神保健福祉士。洗足ストレスコーピング・サポートオフィス所長。専門は臨床心理学、ストレス心理学、認知行動療法、スキーマ療法。2004年より認知行動療法に基づくカウンセリングを提供する専門機関を開設。

「2023年 『攻略!きみのストレスを発見せよ!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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