- Amazon.co.jp ・本 (150ページ)
- / ISBN・EAN: 9784260117692
感想・レビュー・書評
-
精神療法の面接の目的は、
「わかる」ことではなく、
「わかるはずなのに、わからない」
ことに気づくことである。
まず、人間には、わかってほしいひとと、わかってほしくないひとがいることを知ることが大事である。
わかってほしい患者に、わかっています、と伝えてはならない。医者がわかったのは「表」であり、患者が本当にわかってほしい内容は「表」ではなく「裏」である。
つまり、わかってほしいのだけれど、本当は本人が「何をわかってほしいのか」がわかっていないのである。
そして、患者によっては「わかってもよさそうなのにわからないという抵抗感」の手応えが欠如している場合がある。それが、内科疾患などで引き起こされる器質性精神病なのである。
医者は、ときに患者に拒否された気持ちになることがある。それはわかってほしいが欠如した相手だからである。残るのは挫折感、そして軽蔑と嫌悪。
そして、このような不快な感情を、医者は患者に伝えることはできないため、押し殺してしまう。しかし、もしその場で生じた現象を面接で取り上げることができないならば、この患者はわけがわからぬという知覚だけ残るはめになる。そして面接は不毛になるのである。
医療面接では、言語が大切にされきた。でも本当は非言語コミュニケーションこそが大事であり、むしろ、非言語コミュニケーションが見当たらないコミュニケーションは、上っ面なだけの挨拶的な上滑りコミュニケーションにすぎないのである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【目次】
第1章 方法としての面接
第2章 面接をどう始めるか
第3章 「わかる」ということ
第4章 面接の進め方
第5章 「ストーリ」を読む
第6章 見立て
第7章 家族の問題
第8章 劇としての面接
第9章 面接とケース・スタディ
[付] 臨床的研究の方法論
註1 「関与しながらの観察」について
註2 共感について
註3 患者に対する尊敬について
註4 「わからない」について
註5 「わからない」と器質的精神障害
註6 投影同一化について
註7 対象関係の能力
註8 非言語的コミュニケーションの重要性
追記 主観を通して客観へ -
後半はなかなか理解が追いつかなかった。
また改めて読んでみようと思う。
臨床経験が進んだらまたきっと得るものがある。
前半見て、思ったこと。
Cl.が語る情報から改めて物語を再編しなおすこと。
その中で、うまく物語が編めないところ、不思議に思うところは大事にしておくこと。
わかるということは、わからないということがわかること。その不思議に思った部分がわかったとき、理解が一段と深まる。
この不思議の中にとどまれる力を臨床においても大事な話としている。
ケースカンファレンスでケースを見るとき、自分のケースを考えるとき、"どうしてここはこうなんだろう?"と不思議に思ったことをしっかり書き留め、そこについて向き合おう。 -
1749円購入2018-06-18
-
何度読み直しても味わい深い。読んでいるときのそれだけ懐の深い本なのだろう。
-
精神科医療に懐疑的になったときにはこの本を読むことにしています。読むのは3度目です。
-
精神療法、心理臨床関係ならだれもが知る一冊。
ある程度、面接の経験を積んでからのほうが理解が深まる気がした。
抽象的な話が多いけど、事例も丁寧に紹介されていて、わかりやすい。
まずは、聞いて「わかった」ことを、どれだけ客観的に記述、報告できるか。
臨床家の能力の基礎はそこにある。 -
読む時の自分の状態によって,
毎回違うところで「なるほどなー」って思うし,
考えさせられるからとても勉強になる。
何度も読みたい大切な1冊。 -
土居先生の面接技法の妙を垣間見た。臨床家を目指す人には一度は読んで頂きたい名著。
-
入ってこなかった。まだ違うわ