人にはどれだけの土地がいるか

  • いのちのことば社フォレストブックス (2006年4月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (32ページ) / ISBN・EAN: 9784264024378

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

人間の欲望や生き方について深く考えさせられる作品で、特に大人にとっての示唆が詰まっています。物質的な富や所有に対する無限の欲求が描かれ、最終的にはそれが無意味であることに気づかせてくれます。登場人物の...

感想・レビュー・書評

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  •  本書は、トルストイの短編小説(1886年)を原作とし、柳川茂さんの文章と小林豊さんの絵が、より親しみやすさを与えてくれる絵本ではあるが、物語の最後に聖書の言葉が引用されているように、絵本の楽しさというよりは、人間の心に潜む悪魔の怖さを思い知らされる点に、改めて人生とは何なのかを考えさせてくれる作品です。

     自分の土地の必要云々は、私には全く無縁の世界ではあるけれども、それでも人間の、「思いの外、簡単に手に入るものなんだな」と感じた瞬間、更なる欲望を満たすために、たがが外れた時の怖さというのは、土地に限らず、他の事にも当て嵌まりそうに思われて、それを繰り返していく内に、やがては自分自身のキャパシティを超えていたことにすら気付かない、それは自分自身を見失ったということにもなるのではと感じられた時点で、自分の人生なのに、それを自ら持て余している、何とも悲しくてやるせない末路にならないように、それではどうすればいいのだろうと考えたところ、本書の展開で気になる点を発見した。

     それについて、途中からは自らの欲望の赴くままとなったものの、実は最初のきっかけは、他人の言動によって何かしらの負の感情を抱いてしまったことであり、例えば、いちばん最初に土地を買おうと思ったきっかけとなったのは、嫁の姉の一言の、「でも、いくらえらそうなことを言ったって、自分の土地じゃないんでしょ」に、彼の最も気にしている点を突かれたからであり、その前は「自分で土地をたがやして作物をつくる生活ほど、やりがいがあるものはないぞ」と、得意気に言っていたのに、人間とはなんて繊細で移ろいやすい生き物なのだろうと感じられたものの、では後に彼がそうなったのは全て嫁の姉のせいなのかというと、私はそうとも思えないのである。

     小林豊さんの、どこまでも広い素朴な自然の美しさにセピア色を被せたような絵には、どこか哀愁を掻き立てさせながらも、その全ての栄光は遠い過去の日の出来事だったと思わせるものもあって切なさが漂い、彼も最初は、ささやかな幸せを否定されたような無念さで土地を購入して、妻と頑張って豊かな生活を手に入れたまでは良かったが、その後もまた別の出来事によって、新たな負の感情を発現させてしまい、そこには悪魔の魂胆によって彼が決断してしまったこともあるのだろうが、おそらく悪魔が存在しなくても、彼の中に住み続ける別の悪魔が、彼をそのような人生に駆り立ててしまったのだと思わせるものもあった、それは理由はどうあれ、彼自身の決断に他ならないのと共に、彼の人間性が知らず知らずの内に変貌しつつあったことに、自ら気付かない恐ろしさでもあり、身の程を知るとはよく言ったものだが、改めて、自分を見失わないことの難しさと大切さを思い知る。

  • 〝ある村に、パホ-ムという名の農夫がいました。 パホ-ムは働き者で、毎朝、夜明けとともに畑に立っていました。 ある日、町で暮らす奥さんの姉さんが来て「よくこんな暮らしをしているわね。町ではお金さえ出せば、何だって自分のものになるのよ」 奥さんは、畑仕事がどれほど楽しいか話します。 「でも、幾ら偉そうなこと言ったって、自分の土地じゃないんでしょ」・・・パホ-ムの一番気にしていることを言われ、「そうだ、自分の土地だと、もっとやり甲斐がある。 土地さえあれば、何だって怖くない。悪魔だって・・・」 悪魔がこっそり、それを聞いていたことをパホ-ムは知りませんでした・・・〟文豪トルストイ原作の“人間のとどまることを知らぬ欲望と野心”を諫めた、ロシアのある地方に伝わる民話を絵本化。 土地(領土)の拡大を巡る争いは、人類の歴史が始まって以来、今日も絶え間なく続いている・・・。

  • 欲張り過ぎたら、ことをし損じる。
    何事も、良い加減が⭕️

  • ・幸せの話
    ・向上心の話
    ・欲張りの話

  • なんとトルストイの短編を絵本にしたもの。教訓として結末は見えていたものの、最後の頁のひとことに考えさせられてしまった。生きるために必要なものは何なのだろう、と。禅宗の言葉「知足充実」を大事にしたいとあらためて思った次第。

  • トルストイの作品の中でもっとも簡単で非常に示唆に富んだ物語。もともとロシアの民話があり、それをベースにしているという。子供の頃、岩波文庫か何かのトルストイ短編集の一つにあったと記憶していて、再読したくて見つけた本。小説を2006年に絵本化したものだ。ざっくりいうと、パホームという農夫がもっと豊かになりたい、土地を所有していればもっと豊かになる、もっと広くて作物が育つ土地が有ればもっと豊かになれると思っていたところに、村長のふりをした悪魔に「日の出から日没までにひと回りしてきた土地をあなたにあげよう」とそそのかされる。そして暑い中、一人頑張って頑張って、いつの間にか欲張りになり、最後の最後、必要だったのは自分の身体が入る長さ2メートルの穴だったという話。ロシアのウクライナ侵攻を見るにつけ、プーチンがパホームに重なって見える。プーチンは読んだことが無いのだろうか。

  • 10分

  • 朝の礼拝で紹介された本です。

    【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • これは絵本ですが、大人が読むべき本です。
    人の欲は果てしなく、とどまるところを知らないのですね。まさに墓の中に持っていけるお金はないのと同じだ!自分の生活を見直そうと思いました。

  • いのちのことば社/2006・4・25

    原作:トルストイ
     文:柳川 茂
     画:小林 豊

    「高ぶらないように。
     また、たよりにならない富に望みをおかないように。
     むしろ、私たちにすべての物を豊かに与えて
     楽しませてくださる神に望みをおくように」

  • 人生とか生き方について考えさせられるお話。強欲というより愚か者という印象。哀れでちょっと寂しくなりました。

  • 大人用の絵本かな。

  • 8分くらい。働き者のパホームは、借り物でない、自分の土地があったらなぁと願います。ある時、うまい話がまいこんで、パホームは自分の土地を手に入れます。そして、どんどんどんどん広い土地を求め、ある村へ行きます。そこの村長さんは、夜明けから日没までに、お前さんが一回りして歩いた分の土地をやろうといいます。パホームは欲張ってどんどんどんどん歩きましたが、歩きつかれたパホームは死んでしまいます。最後にパホームに必要だった土地は、墓穴分の2メートル四方の土地だけでした。

  • ロシアの文豪トルストイは、長大な大作のみならず、珠玉の短編も数多く遺している。そのような短編の中でも比較的よく知られている一つの物語を、美しい絵と文章で仕立て上げたのが、この絵本。
     自分の土地を持つことを夢見る農夫が、新しく広い土地を次々に獲得していく。そんなある日、村長から「日が昇るときから日が暮れる時まで歩いた土地を格安で売る」という誘いを受ける。懸命になって一日中歩き回った農夫は、息を切らせて何とか時間に間に合う。しかしそこで待っていたのは……。息絶えた農夫が入れられた墓穴は、たった2メートルたらずに過ぎなかった。
     この世でわれわれ人間が生きるのに、一体どれほどのものが必要なのか。「豊かな」現代に生きるキリスト者に訴えかける、含蓄豊かな一冊。

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