生きものはかなしかるらん―室生犀星詩集 (美しい日本の詩歌 3)

著者 :
制作 : 北川 幸比古 
  • 岩崎書店
3.67
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本棚登録 : 19
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (102ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784265040438

作品紹介・あらすじ

みずみずしい詩情・美しいことば。いま甦る望郷の詩人、室生犀星の美しくせつない抒情詩の珠玉。

感想・レビュー・書評

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  • 好きなタイプの詩だった。

    田螺が鳴くことを知った。


    好きな詩↓

    動物詩集 序詩
    うじのうた
    かまきりのうた
    途上

    藪鴬
    どよめき
    あさぞら
    こころ
    はる
    何故詩を書かなければならないか
    愛あるところに
    序詩 (第二愛の詩集)
    よき友とともに
    招かれるもの

  • “蜂は毎日おこっている。
    おこりすぎるので友達がない。”

  • 私が気に入った詩





    東京の空は
    いつも綺麗に晴れあがり
    一つの白い雲も見えない
    見渡すかぎりの青、
    青が白っぽく見えると、
    午後になる、
    雲ばかり見えたふるさと、
    そして雲を見ない日が、
    幾日続いたことだろう、
    雲を見ないということは
    よりどころなく悲しい。




    途上

    毎朝
    途中でゆきあう
    美しい小さい靴のひと、
    わたしとおなじ学校であろう、
    むこうでも振りかえり
    こちらでもよく見合う、
    そして何時の間にか笑うようになった。
    まだ おかっぱのひと、
    明日もまた行き会うであろう、
    そのうつくしい人にしあわせあれ、
    いつでも すこやかであれ、
    いつかはお話する日もあれ。




    招かれるもの

    時々
    自分もやがて死ぬだろうと考えてみて
    喉に物のつまったような驚きをした
    信じなければならないことだ
    自分はよく自分の生活や
    この世界の生活をかえり見た
    空や明るい地上の姿を見た
    しかも自分は
    それらに別れてゆかなければならない
    自分は潔く
    この宇宙の招きに抱き去らねればならない
    この重りくる胸は
    喜ばしい招応をゆめに見る

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著者プロフィール

詩:詩人・小説家。本名、照道。金沢生まれ。北原白秋・萩原朔太郎らと交わり、抒情詩人として知られた。のち小説に転じ、野性的な人間追及と感覚的描写で一家を成す。「愛の詩集」「幼年時代」「あにいもうと」「杏つ子」など。


「2013年 『児童合唱とピアノのための 生きもののうた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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