糸に染まる季節 (ちしきのぽけっと13)

著者 :
  • 岩崎書店
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (36ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784265043637

感想・レビュー・書評

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  • 『色には季節がある』、という言葉で始まる大西暢雄さんによる写真集。
    被写体は、新潟県十日町市に住む染織家・岩田重信さんの手仕事だ。
    色には季節があるというのが、岩田さんの言葉。
    ??と思わずページをめくる手が止まるひと言だ。
    「季節には色がある」という分には何の違和感もない。
    無駄のない大西さんの文体と、岩田さんの仕事ぶりを実に自然に写し取る画像とで、この言葉の意味を探っていく。

    『自分の育った町の植物で染めたい。十日町の色を出したい』
    という思いで植物を採集し煮出して染色液を作る。
    どれもがその季節だけの植物から出た色であり、すべての色は季節そのものなのだ。
    う~ん、こんな見方はしたこともなかった。
    複雑にして素朴な草木染の魅力は、それはそれは手間暇かけて完成に近づいていくもの。
    春の色は春、夏の色は夏にしか染められない。
    まさに、「衣・食・住」と同じで季節の流れに沿った当たり前の暮らしが、とても尊いものに見えてくる。
    かつては、誰もがそんな暮らしをしていたはずなのに。

    子どもたちにもぜひ見せたい一冊だ。
    分からずとも、何かを感じ取ってくれることを願って。

  • 6分くらい。
    「色には季節がある」
    染色家岩田重信さんを取材。

  • 「新潟県十日町市の草木染の染織家のくらしを追った写真絵本。近所で集めた変哲もない草木から、その土地のその季節にしか染められない色が生まれる。それぞれの地域が深い雪に備え、春から秋に色を保存し、分業でつながっていきます。手間ひまのかかる作業の向こうに、昔はどの家でも手作りするしかなかった「布」を作る技術・文化を伝えます。」

    「カレーやブドウの汁を服にこぼしてしまい、洗ってもなかなか色がとれなかったことはありませんか。カレーの黄色はウコンという植物の色です。このように私たちの周りにある植物には色を出すものがあり、員とや布を染める事に使われてるのです。

  • 大西さんの本をー冊ずつ読んでいくんだ。自然と一体化するって四季を常に感じていないとできないことだ。感覚を研ぎ澄まして。天井に吊された察数の糸束に見とれた。

  • 1-1 2016/02/03

    **********
    「職業紹介」に。

  • 自然から貰った奥ゆかしい色の美しさ。
    これからも大切に続いてほしい手仕事。

  • 再読記録に。

  • その土地の植物を採集して
    その土地にしかない色で染め上げる

    科学的な説明はなくて
    たんたんと染色の過程の写真が続く
    寒い時期の立ち上る湯気が印象的

  • 新潟県十日町市の染色家の紹介。
    一年を通じての染色作業の様子が描かれている。
    写真絵本なので、非常に分かりやすい。

  • 興味深く読みました。
    写真がいい。
    新潟県十日町市の染織家の暮らしを追う。
    かいこのまゆから紡いだ糸を染める仕事、
    十日町の色を出したいから、十日町で育った植物を使って。
    その土地にあった季節の流れに沿った暮らしは、
    素朴で知恵のある暮らしだ。

    東日本大震災で被災されていませんように。

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著者プロフィール

おおにし・のぶお
1968年、岐阜県揖斐郡池田町育ち。
東京綜合写真専門学校卒業後、本橋成一氏に師事。
1998年にフリーカメラマンとして独立。
ダムに沈む村、職人、精神科病棟、障がい者など
社会的なテーマに多く取り組む。
2010年より故郷の岐阜県に拠点を移す。
映画監督作品に、
『水になった村』、
『家族の軌跡 3.11の記憶から』、
『オキナワへいこう』などがあり
著書等に、
『僕の村の宝物 ダムに沈む徳山村山村生活記』
(大西暢夫 著、情報センター出版局、1998年)、
『分校の子供たち』
(大西暢夫 著、カタログハウス、2000年)、
『山里にダムがくる』
(菅聖子 文、大西暢夫 写真、山と溪谷社、2000年)、
『おばあちゃんは木になった シリーズ自然いのちひと4』
(大西暢夫 写真・文、ポプラ社、2002年、
 第8回日本絵本賞)、
『ひとりひとりの人 僕が撮った精神科病棟』
(大西暢夫 写真・文、精神看護出版、2004年)、
『花はどこから 花・花びん・水をめぐる3つのものがたり』
(大西暢夫 写真、一澤ひらり 文、福音館書店、2005.年)、
『水になった村 ダムに沈む村に生き続けたジジババたちの物語』
(大西暢夫 著、情報センター出版局、2008年)、
『徳山村に生きる 季節の記憶』
(大西暢夫 写真・文、農山漁村文化協会、2009年)、
『ぶた にく』
(大西暢夫 写真・文、幻冬舎エデュケーション、2010年、
 第58回小学館児童出版文化賞、第59回産経児童出版文化賞大賞)、
『糸に染まる季節 ちしきのぽけっと13』
(大西暢夫 写真・文、岩崎書店、2010年)、
『ミツバチとともに 養蜂家角田公次
 農家になろう2』
(大西暢夫 写真、農文協 編、農山漁村文化協会、2012年)、
『津波の夜に ~3.11の記憶~』
(大西暢夫 著、小学館、2013年)、
『ここで土になる』
(大西暢夫 著、アリス館、2015年)、
『シイタケとともに きのこ農家中本清治 
 農家になろう8』
(大西暢夫 写真、農文協 編、農山漁村文化協会、2015年)、
『お蚕さんから糸と綿と』
(大西暢夫 著、アリス館、2020年)他がある。

「2020年 『ホハレ峠』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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