アーサー王とあった男 [SF名作コレクション(第1期)] (SF名作コレクション 1)

  • 岩崎書店
2.00
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本棚登録 : 9
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784265046515

感想・レビュー・書評

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  •  SFシリーズとは言いながら「ファンタジー」に分類しているのは内容が到底SFとは言えないからだ。
    むしろ昨今ラノベアニメで隆盛を極めている「異世界転生無双」の走りのような話である。
    19世紀のアメリカ人工場長が6世紀のイングランド(正確にはウェールズかな?)にタイムスリップし1000年以上進んだ技術を使って好き勝手やるのが話の大筋だが、千年紀も時代が違うと習俗や思考も違うので様々な場面でカルチャーショックを受けることになる。
    トウェインの意図が(当時の)現代アメリカ人から見て中世の封建社会、ひいては当時まだ残っていた君主制国家がいかにバカらしいかを皮肉る事にあったのはよく分かるのだが、その割には随所に穴があり過ぎる。

     まずアーサー王を実在の人物として捉えている点が疑問であり、ご丁寧に「当時使われていた鎧に主人公が撃ち込んだ銃弾の跡がある」という描写が冒頭から出てくる。
    アーサー王とは日本で言えば神武天皇並に実在が疑わしいと言うか伝説上の人物であり、モデルとなった人間が実在したとしても「伝奇物語」の記述は大半がフィクションと考えるべきものである。
    実際華々しい騎士物語も現実には誇大妄想と詐欺の産物であると作中でも語られているのだが、実は騎士道が幅を利かせていたのは12~16世紀であり、本来ならそちらを舞台にすべきだった。
    つまり「アーサー王」に時代を合わせてしまった矛盾がここで生じているのである。
    矛盾と言えば何故コネチカットのアメリカ人が突如(それも過去の)イングランドに飛ばされねばならんかだが、アメリカにはトウェインが風刺すべき「封建時代」が存在しなかったから、これもご都合主義である。
    ってゆーかその時代だとフツーに黒人を差別・搾取していただろーがよ。

     「SF」の観点からだが、主人公は6世紀のイングランドで火薬・電信・自転車といった未来の技術を駆使しているにも関わらずそれらがオーパーツとして発見されるなどという事態には至っていない。
    冒頭にも述べたが「鎧に残った銃痕」だけがわずかに伏線として残っているだけである。
    どうもトウェインは歴史改変が現代に及ぼす影響(バタフライ効果)とか過去を弄って生じる矛盾(タイムパラドックス)に無頓着なようである。
    本作は別にSFとして書かれたわけではないが、だからと言って話の整合性が損なわれても許されるというわけではない。

     アーサー王を空想世界の住人として描いていれば普通に風刺物語として楽しめた(「ガリバー旅行記」のように)のだろうが、なまじ「歴史改変」をやっているために話の杜撰さが気になった。
    もっとも、話が杜撰なのは現代の異世界転生無双ジャンルも同じだが。

  • <A CONNECTICUT YANKEE IN KING ARTHUR'S COURT>
      
    装幀/茶谷公人

  • 面白かった。工場長にまでなった主人公が職場の喧嘩で頭を殴られ、気づいたら何故か600年代のアーサー王のもとに。というとんでもな展開。これを以ってSFとしちゃった?日蝕を利用し火あぶりの死刑囚の身から国務大臣になり、培った知識で民主主義を理想として冒険を繰り広げるが、教会・貴族の支配世界に抗するも・・・。小学校高学年から中学生くらいが読めば純粋に楽しめるんじゃないだろうか。

  • 面白い。こらもSFなのか。

  • これを読んだのは学校の図書館。
    いまでも鮮明に覚えています。

    「トム・ソーヤの人ってこんなお話も書いたんだ」

    いま思うとこの発想はすごいと思う。
    大人用が出ているなら、時間のある時に読みたいと思います。
    初めて「うわあ」と思って読んだSF?これSFなのかな?です。

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著者プロフィール

1835年、アメリカ合衆国ミズーリ州に生まれる。父の死後、12歳で実社会に出て、見習い印刷工をしながら文章をおぼえる。蒸気船の水先案内人などをした後、新聞記者として成功。『ジム・スマイリーと彼の跳び蛙』『赤毛布外遊記』で人気を得て、『トム・ソーヤーの冒険』『王子と乞食』『ハックルベリー・フィンの冒険』などでアメリカ文学の頂点に立つ。1910年没。

「2021年 『ハックルベリー・フィンの冒険(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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