ハーブガーデン (物語の王国 10)

著者 :
  • 岩崎書店
3.71
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本棚登録 : 180
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784265057702

感想・レビュー・書評

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  • 児童書。主人公の小5の由美の行動や言動(母親への不信感、友達に対する劣等感や悪い方へ考える、自分の為に嘘をつくなど)にイラっとするが、実際の子供はそんなものかもしれない。でも、ちょっとイライラする子ではある。花蓮がなんで由美と仲良くしていたいか分からないし、木村君もそう。ハーブガーデンのすみれさんが幸せだといいなぁと思った。

  • 自分に自信がない故に常に人の心情を先読みし、相手が望んでいるであろう答を答える会話はどんなにか疲れることだろう。
    でも人の心など完全に読めることなどできるはずもなかなく、間違った答えを修正するためにまた神経をすり減らす…小学生でも大人でも、ほとんどの人が経験したのではないだろうか。

    誰でも自信にみちあふれているわけではない。弱いところやダメなところもあってこそ私。
    そう想えるようになったとき、初めて「私」になれるのだ。


    草野さんの親子関係は(特に母子)
    は痛すぎるのもあるけど、今回はただのすれ違いだったのでホッとした。

    「だって、花や草や木がどんなにすはらしくても、ひとにはかなわないもの。」(p175)

  • 由美は自分に自信を持てない女の子で、モデルのさくらちゃんにあこがれ、さくらちゃんと同じ気持ちになれば、すてきな人になれると思っていた。
    その日もさくらちゃんのエッセイにあるとおり、原っぱに寝転んでいたら、
    さくらちゃんにそっくりな中学生の綾芽に出会った。
    綾芽に連れて行かれたのは、あまり流行っていない「ハーブガーデンすみれ」というカフェだった。
    綾芽に気に入られたかった由美は、本意ではなかったが、店の売り上げに協力することになった。

    本来の自分を押さえ込んで、理想の自分を作りあげることに疲れた由美。
    クラスメイトの花蓮ちゃんから力をもらって、自分を素直に表す方法に気付いていく。

    冒頭の母親との関係が、かわいそう過ぎたけど、気持ちが通じ合った時には私まで嬉しくなった。

  • 大人が何気なく話してたことを、聞いてしまった子供が見えないところで深く傷ついていたり、
    子供の心を子供だからと軽んじずに、向き合い救おうと出来る人が、夢をうまく叶えられなかった、不完全な社会人だったり、
    下手くそなんだけど、それでも大人として生きている大人がいる。

    親に思っていることを話せない子供、
    好きじゃない子とでも仲良くしなきゃいけない子供、
    人への気遣いを忘れて、自分の感情でいっぱいになってる子供、

    大人も子供も下手くそで、でも自分の足で頑張って歩いて、足掻いて、物語の後も進んでゆくのだと思います。

  • 小学5年生という微妙な年頃の女の子の心情が、うまく表現されている。
    気を遣っているつもりのことが、友達や母子の関係をややこしくしていたり。
    お互いの本音を知れたことで、関係が修復されたので、最後は一安心。
    児童が読むのはもちろん、大人にも子どもの心情を思い出すのにいいかもしれない。

  • _/_/ ガーナのおすすめ本商会 _/_/ 024
    (毎月一回の予定です)

    ガーナのおすすめ本商会(24)


     新型コロナウィルス感染症のせいで、運動会がズレ込み寒い中の練習および無理矢理の決行に怒りを覚えているガーナです。

     今回は「ハーブガーデン」という作品を紹介したいと思います。この作品は、授業中に先生から「残り時間を自由に使っていいよ〜」と言われた時に、急いで学校の図書館に行き見た目の雰囲気だけで借りた本です。読み始めるまではあまり特別な感情はなかったのですが、読んでいるうちに、いままで紹介してきたものとは違う感覚の本だなと、思ったので紹介します。

     話の内容は、夢も目標もない、誰にも嫌われたくない、そんな、自分を抑えた少女・由美が自分の憧れのモデルと似ているお姉さんに連れられハーブガーデンに行くというところからはじまります。しかし、自分の思っていたことと違っていたり、いろんな嫌な出来事にあい、どんどん自分を追い詰めていってしまう……、そんな話です。

     私が元々、思春期の女の子の心を描いたような話が苦手なのもありますが、主人公の由美がマイナス思考というか、他力本願な性格で、読み始めの頃は、読んでいること自体も苦痛に感じて「この話、違ったな」と思っていました。ところが、読んでいるうちに、心の中の黒くて嫌な部分を最初にはっきりと見せることによって、さまざまなことを通して、前向きに変わっていく由美に、いろんな気持ちが入り混じり、最終的には涙が出てしまいました。

     この作品のすごいところは、出てくる登場人物がほぼ全員、嫌な感じだということです。よくある物語やフィクションではありえないような設定かなと思います。たとえば主人公がネガティブでも、周りに明るい子がいて、変わっていける雰囲気を感じるパターンが多いなか、全員が嫌な感じなのでびっくりでした。

     たとえば、モデルに似ている女の子・綾芽が「お金出してくれるよね?」と言ってきた時は、流石に「急にお金って、ひどいな」と思いましたし、普段の行動からも、人のことを考えられない自己中心的な部分が滲み出ています。他にも、多種多様なキャラがいるのですが、何故だか憎めません。おそらく、人間らしいと思えるからだと思います。いいことを言っているなぁと思った人の態度が悪いので、なんとも言えない気持ちになります。ハーブガーデンの主人のすみれさんまでもが、ちゃんとしていなかったりします。すみれさんが、「結局このハーブガーデンは、私が魅力的じゃないからどんなに草花が綺麗でも、そのものを好きになってくれる人はいない」と言った時など、心にグッと来るものがありました。

     由美と同じ目線で読むと、大人でも、子どもでも、誰にでも、ままならい所や、抱えてるものがあって、辛いのは自分だけではないんだということをあらためて学べたと思います。レビューだけでは伝えきれないほど、複雑な話だったので、ぜひ読んでみてください。

     余談です。最近、ジャンプマンガの「スパイファミリー」という話にハマっています。名門校潜入のため、家族を作れと命じられた凄腕スパイ黄昏が、養子を取るのですが、その娘は超能力者。おまけに妻は暗殺者で……、といった作品です。心が読めてしまう娘のアーニャ目線なので、みんなが隠していることが、読者にはバレバレな展開でおもしろいです。世界を救おうと奮闘したり、あるいはしなかったり、バトル系コメディーです。ちなみに「少年ジャンプ+」というアプリだと、会員登録なしで、一回だけなら無料で読めます。試しに読んでみてください!

    漢検に受かり安堵するガーナでした。


    2021/10/28

  • なんとなくタイトルに惹かれて図書館で借りる。
    悪くない、気もするけど、もう少し・・・なんかなあ。

  • 小4の次女が借りてきたのを読んだ。
    先が気になり一気に最後まで。
    色々ともやもやは残ったものの、主人公の由美とお母さんの関係がこの先うまくいきそうでよかった。

  • 由美が空き地で寝転がっているところ、憧れのモデルそっくりな中学生に出会いハーブガーデンにつれていかれ、いつのまにか一緒にお手伝いするようになる。そのために由美はそろばんや塾をさぼる。同じクラスで憧れでもある花蓮ちゃんとも最後は仲良くなれる。

  • 小学生向けの本なのになぜか切ない

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著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。実践女子短期大学卒業。99年『透き通った糸をのばして』(講談社)で第40回講談社児童文学新人賞、01年児童文芸新人賞を受賞。07年『ハーフ』(ポプラ社)で日本児童文学者協会賞を受賞。

「2016年 『Q→A』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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