- Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784265057931
作品紹介・あらすじ
中一の草子は、現在不登校。図書館に通う日々を送っている。
あることをきっかけに、初めてレファレンスを希望する。
やがて司書の深津さんから渡されたのは「しずかな魔女」というタイトルの白い紙の束。
ふたりの少女の、まぶしい、ひと夏の物語だった。
物語を読み終えた草子の胸に、新しい何かが芽生える。
それは小さな希望であり、明日を生きる力だった。
感想・レビュー・書評
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中学の草子は、平日を図書館で過ごす。
本を読み、考えごとをし、ときどき勉強をした。
目立たない片隅で、どきどきしながら時を過ごす。
図書館司書さんの思いやりで、シルバーサークルに来ていた人からキツいことばを投げかけられても逃れることができた。
司書さんは、「しずかな子は、魔女に向いてる」ということばを残して…。
その本を借りたいとレファレンスを希望する。
司書さんから渡されたものは、本ではなくて白い紙の束。
それは、2人の少女の夏物語だった。
夏の思い出が、特別なものになってもう一度会いたいと願う。
気持ちを込めて手紙を書くと…。
けっして無駄じゃなかったと
〈また会える だって同じ地球の上だし〉
草子にとって、それは魔法の書だった。
彼女は、それを読んで気持ちが前向きになったのだから。
彼女にもいっしょに夏休みを楽しめる友だちがきっとどこかにいるはず。
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学校に行かない草子の居場所は図書館で、他の利用者の「学校はどうしたの?」視線に怯えながらも、司書の深津さんのさりげない気遣いに助けられていた。ある日知らない人に面と向かって不登校を非難され傷ついた草子に、深津さんは<静かな子は魔女に向いている>と書き、「これ、お守りです。だから、だいじょうぶ」と言うのだった。
この言葉が気になった草子は、このタイトルの本を探し始めるが見つからない。ついにレファレンスカウンターにこの文章が出てくる本を探してくれるよう依頼する。カウンターにいた深津さんは、この言葉はそのようなものではないと断るが、どうしても読みたいと食い下がる草子に承諾する。しばらくして<館長>から手渡された茶封筒には、白い紙の束が入っていた。それは、作者名のない「静かな魔女」と書かれた物語だった。
理解されにくい少女が、周囲の優しさから勇気を得ていく物語。
*******ここからはネタバレ*******
傷つきやすい草子への、図書館の人たちの心配りがとてもとても優しい。
野枝とひかりの物語も、愛らしくて楽しい。
ユキノさんが魔女修行の先輩として、とてもいい味を出しています。
「他人の心はね、その人だけのものよ。じぶんの心は、じぶんだけのものですからね」
お化け騒動や、いつも美味しいものが入っている「焼きのり」の金色の缶に入っていたのが、干ししいたけだったところには笑ってしまいました。
小学校4年生のお話なのに、ラストでは泣きました。
この年代の話になると、人生の問題が山積みなものが多いのに対して、この本はとてもシンプル。舞台も図書館の中だけです。華やかさはないけれど、優しさがじぃっと沁み入るお話です。
不登校の話の多くは、再登校することでハッピーエンドとなるものが多い(「鏡の孤城」もそうでした)のに対して、ここでは草子はこのあとも学校ではなく図書館に通います。著者が、安易に不登校の解決場所を「登校」としなかったところに、大きな大きな拍手を贈りたい。
中学年から読めるとは思いますが、これはすべての人にオススメしたいです。 -
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☆ベルガモット☆さん、お返事ありがとうございます♪
市川朔久子さんのイベントを調べていたら、ひとつ心当たりを見つけまして、もしかしたら、ベ...☆ベルガモット☆さん、お返事ありがとうございます♪
市川朔久子さんのイベントを調べていたら、ひとつ心当たりを見つけまして、もしかしたら、ベルガモットさんの住まわれているところは・・・なんて、想像してしまいました。
市川さんが、どのような事を話されるのか、私も興味津々です。
ぜひ楽しんできて下さいね(^∇^)2023/10/01 -
たださん、イベント検索なさったんですね!
どこかの本のレビューでもカミングアウトしていたかもです(≧▽≦)
短歌掲載雑誌にも載ってますし...たださん、イベント検索なさったんですね!
どこかの本のレビューでもカミングアウトしていたかもです(≧▽≦)
短歌掲載雑誌にも載ってますし。
イベントは『作家のいちにちー書くということ・伝えたい想い・本ができるまでー』ということで、児童文学作家の方々のトークが聴けるので楽しみです。なんと無料なんですよ~
またどうだったか報告いたします♪
2023/10/01 -
☆ベルガモット☆さん
やはり、そうでしたか(^^)
私、千葉なので、結構離れたところから、こうしてコメントのやり取りをしてると思うと、何だか...☆ベルガモット☆さん
やはり、そうでしたか(^^)
私、千葉なので、結構離れたところから、こうしてコメントのやり取りをしてると思うと、何だか感慨深いものがありますね。
良いんですか?
ありがとうございます(^o^)
ご報告、楽しみにしております♪2023/10/01
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ロニコさん、こんばんは。
これ、読まれたんですね。
優しいお話で、私は結構気に入ったんですけど、中の物語が中学生には幼すぎるということで...ロニコさん、こんばんは。
これ、読まれたんですね。
優しいお話で、私は結構気に入ったんですけど、中の物語が中学生には幼すぎるということで、残念ながら、今取り組んでいる選書本には載らないことになってしまいました。
うちには3人の不登校経験者がいる(娘全員ですね(笑))ので、周囲の目に怯える気持ちや家に居づらい気持ちとか、よくわかるんです。そして、学校へ行くことができるのがゴールではないことも。
だから、親としては、こういうお話はありがたいと思いました。
でもきっと、当事者の子どもは、他の話の方が読みたいかも知れないですよね。
もしかしたらこれは、当事者を慮るための周りの人たちのための本かもしれないですね。
市川朔久子さんは、私の好きな作家さんで、「小やぎのかんむり」が一番のお気に入りです。
ロニコさんはいかがでしたか?2020/08/09 -
図書館あきよしうたさん、こんにちは^_^
コメントをありがとうございます。
返信遅くなりごめんなさい。
お嬢様方の成長過程で学校に行けな...図書館あきよしうたさん、こんにちは^_^
コメントをありがとうございます。
返信遅くなりごめんなさい。
お嬢様方の成長過程で学校に行けない時期があったとのこと、色々と心配されたこともあったのではないでしょうか。
いつもあきよしうたさんのレビューを読み、「こんな風に書けたらいいなぁ」と思って読ませて頂くので、きっと懐の深い素敵なお母様なのだと思います。私の言葉は出過ぎだことかもしれません、すみません。
市川朔久子さんの作品は、「ABC!曙第二中学校放送部」と「小やぎのかんむり」を読みました。
中学生のリアルな日々が描かれているなぁ…と実感を交えながら読んだのですが、当事者である中学生はこういうお話を読みたいのかな?とふと思いました。
主人公一人に絞って書かれているよりも、何人かの登場人物に分散されて書かれている方が、少し距離を取って読めるのではないかな?などと考えたこともあります。
この作品は、主人公から離れて別の物語が展開されているところが、ワンクッションあっていいな、と思いました。
確かに、物語の内容がちょっと幼いですよね…そこのバランスが難しい…。
私の勤め先の中学も1クラスに1人の割合で不登校の生徒さんや別室登校の生徒さんがいます。中学校という場は一部の生徒さんにとっては、非常に居辛い場なのだなぁと感じます。
世の中の変化に合わせて学校のカタチも柔軟に変えていかないといけない時期にきているのだと、日々思うのですが…。
まだまだ暑い日が続きそうですね。
あきよしうたさんも、どうかご自愛下さい^_^2020/08/12
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学校に行けなくなった「草子」が、図書館の司書「深津さん」に探してもらった物語のタイトルが「しずかな魔女」。
そして、キーワードが「しずかな子は、魔女に向いてる」。いったいどういうことなのだろうと、好奇心が湧き、読んでみた物語は、大いに私のノスタルジーを刺激した、二人の女の子のひと夏の想い出。内容のひとつひとつが事細かく新鮮でいて、かけがえのないものに感じられた物語は、本当に素敵だった。
また、その物語は草子自身にも、大きな影響を与えており、他人に解決してもらうのではなく、自ら意識を変えさせるよう促す物語の構成が素晴らしい。
更に教えてくれたのは、本の素晴らしさ。当たり前なんだけど、本の世界では誰にでもなれるし、何処にでも行ける。楽しくて、素敵だ。
でも、それだけでなく、「本の力で人生を変えることだって出来るんだよ。」ということを、この作品は教えてくれた。これって、すごくないですか?
児童書だということで、読まないのはもったいないですよ。 -
「学校が死ぬほどつらい子は図書館へいらっしゃい」と呼びかけたのは、鎌倉の図書館の司書さんでしたね。
「自殺したくなったら図書館へ」は、米国の図書館に貼られていたポスターの文言だそうだ。図書館には問題解決のヒントや人生を支える何かがあるというメッセージだそうだ。
そして利用者の秘密を守るのも、図書館の大事な原則だということも。
中学生の草子が、学校に行かずに図書館で静かに過ごす事ができるのも、この原則のおかげだ。
そんな図書館にいても、周りを気にしてオドオドしてしまう。
ある時、図書館司書の深津さんから「しずかな子は、魔女に向いている」と言う不思議な言葉をお守りとしてもらう。草子は、その言葉がでてくる本をレファレンスサービスで探してもらい、読むことになった『しずかな魔女』のおはなし。
このおはなしがまた良いのです。
読み終えた草子は、すこし生きやすくなった。自分の気持ちを言葉で伝えようと一本前に踏み出す。
この本には、静かな森にたとえた居場所としての図書館と素敵な司書さんが登場する。
図書館好きの心に響くお話です。 -
不登校の中学生・草子は、図書館で司書の深津さんに出会う。人の視線を気にする草子に、お守りになると言って、深津さんはある言葉を教える。
生きづらさを抱える少女を、文字どおり「見守っている」司書たちの視線が温かい。無遠慮に立ち入ったり、訳知り顔で近づいたりすることなく、ただ、彼女の居場所を設け、さりげなくサポートし、必要なときにそっと手を差し伸べる。
社会にそんな余裕があるといい。