- 本 ・本 (32ページ)
- / ISBN・EAN: 9784265812042
感想・レビュー・書評
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日本の昔話「桃太郎」を空からの視点で描いた絵本です。
「おじいさんは山へしばかりに」「おばあさんは川へせんたくに」でおなじみの場所はどんなところだったのか、ドローンを飛ばして撮影したかのような風景が横長に広がっています。
空高くから見ているので人物や動物は小さく、空を飛んでいる虫の方が遠近法で少し大きかったりします。
成長した桃太郎は、きびだんご一つとひきかえに、イヌ、サル、キジを家来にして鬼ヶ島へ鬼たいじに向かいます。
「むかしむかし」のお話なので交通網は整っておらず、鬼ヶ島への険しい道のりが壮大に描かれていました。
そして最も圧巻なのは、空から見た鬼ヶ島でした。
桃太郎とイヌ、サル、キジだけで鬼たちによく勝ったな、絵だけを見ると全然無理だなと思いました。
たいへん美しいダイナミックな風景画集でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『桃太郎は盗人なのか?』を読む前にこちらを。
桃太郎の昔話はそのままに、空から見た絵が展開していく。
『桃太郎は盗人なのか?』という視点を持って読んだからか、鬼は本当に悪なのか?桃太郎の正義は本当に正義なのか?と考えてしまう。
まず、桃太郎が突然鬼ヶ島に鬼退治に向かうけど、鬼が悪さをしたという流れがなかった。桃太郎の家や周りの山に荒らされた形跡なし。私が知る桃太郎の話では、鬼が散々悪さをして人間を困らせていたような気がしたけど、違ったのかな?
なぜ、桃太郎は鬼退治へ?
次に、鬼ヶ島は鬼がたくさん暮らす島で、人間のコミュニティと変わらない賑やかさがあった。そこに桃太郎たちが乗り込んで暴れ出す。
これまた私が知る桃太郎の話では、鬼ヶ島は遠く離れた寂しい島で、悪さをする鬼が数人いるだけだったけど、生き生き暮らす鬼の国に乗り込んだの?
このページだけ見ると、桃太郎、乱暴すぎない?侵略者に見えるよ。
最後、宝物を持ち帰る桃太郎たち。
山盛りの宝物を仲間たちに引かせている桃太郎よ、自分はリーダーだから先頭を歩くだけなの?こんなに重そうなのに、自分より小さい仲間を手伝わないのかい?
おじいさん、おばあさんと三人で幸せに暮らしたとさ、らしいけど、村人や仲間たちはどうなったの?宝物独占したの?
そんな感じで、もう桃太郎が普通に読めないかもしれない。
さて、『桃太郎は盗人なのか?』を読んでみよう。 -
桃太郎のお話を俯瞰図で語る。
思っていたよりも可愛らしいフォルムのイラスト。
かこさとしの川が頭にあったためか、あまり変化のない風景が残念な感じ。四季は描かれるんだけど。
そうか、犬,猿、キジは過酷なところで暮らしていたからきび団子に釣られたのか、とか。鬼ヶ島の賑やかな様子に、桃太郎たちは正義だったのか微妙な空気になる。
なんかこれ、キジはけっこう良い暮らししてるから、きび団子いくつで着いていったのかね。1個じゃないな。
俺が知ってる桃太郎は最後、鬼ヶ島の宝はみんなに返してた。なんだこれ。桃太郎、ひどくね?
おいおい、奪った宝も自分では運ばねえのかよ。S16 -
えっと、どうしてこれを読むことにしたのか忘れてしまったのですが(^^;)。
「空からのぞいた桃太郎」というと、桃太郎が空からのぞいてるのかい、と思ってしまいますが(いや、思わないか(^^;))、「桃太郎」のお話を全場面、空から、つまり鳥瞰図で見てみました、という絵本です。
おじいさんとおばあさんが山と川に出かける様子。
桃がどんぶらこっこと流れてくる様子。
桃太郎がすくすく育つ様子。
鬼退治をすると鬼ヶ島に旅立つ様子。
犬・猿・キジと出会う様子。
そして、鬼ヶ島で鬼たちをばたばたとやっつける様子。
比較的、淡々と描かれていくのですが、インパクトがあるのはやはり鬼ヶ島の場面でしょうかね。
楽しく賑やかに暮らしていた大勢の鬼たちがばったばったとやられ、最後は死屍累々の有様。
いや、ふつーに考えて、こんなムキムキの強そうな鬼たちに勝てるわけないだろ!?と思うのですが、なんでか桃太郎、勝ってしまうのですねぇ。
宣伝文句では「『桃太郞』の価値観を根底から覆す、衝撃の一冊」ということのようなのですが、どうでしょうかね?
アイディアとしてはおもしろいし、画力もすごいんだろうなと思うのですが、個人的には価値観がひっくり返る、というほどではなかったように思います。
空から見たから桃太郎の暴虐さが際立つ、というものでもないような。
このあたり、人それぞれなのかな?
うーん、これ、ほかの話で鳥瞰図昔話シリーズというのはありなんでしょうかね。
はなさかじいさんはちょっとおもしろいかな? うらしまたろうじゃ海の中だし、かぐや姫とかは部分的におもしろいかも?
・・・いや、まったくオチがなくてすみません(^^;)。こんな本を読みました、という記録です。 -
あまり面白くなかった。
他のコメント書いてる人たちと同じように、
発想はいいんだけれど、
絵の中にもう少し空からでは見られない
ところなどを取り入れて欲しかった。
ユーモアをまじえて?っていうか、
たとえばおばあさんが桃を発見したシーン、
おばあさんの見えていないところで
みかんも流れてた、みたいな発想なかったのかな… -
着想は面白かった!
鬼の数には驚きました。戦っているシーンは、ほんとに勝てるのかって感じです。。 -
本の文章は所謂一般的な桃太郎の物語だが、絵がそれ以上のものを語っている。
しかし、「解説」は余計じゃないの。なくてもいいというより、ない方がいい。おせっかいな解説はあの「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の岩崎夏海で、「なぜ?」と思ったら、昨年岩崎書店の社長になったらしい。(祖父が創業者)
岩崎書店が変な方向になっていきそうでちょっといやな感じ。
犬、猿、雉が痩せた住みにくい土地に住む貧しい民族で、少ない報酬で「傭兵」となった、なんて解説、要る?
黍団子を「少ない報酬」と考えるのも一つの考え方ではあるけれど、社会学的捉え方もできるわけだから、押し付けるのはどうかと思うし、桃太郎はサンリオキャラみたいな可愛さでありながら、刀一本(+犬の噛みつき、猿のひっかき、雉の目つぶし)だけで、武器を持ち、体格的には圧倒的に勝る鬼たち(それもすごい数の)をどうやって倒したのか。
あまりに鬼の数が多すぎるため、納得は全くできない。
鬼の死体が累々と積み重なっている様子はぞっとする。
しかし、岩崎夏海の解説が先にあり、影山徹はそれに沿って描いたのだろう。岩崎夏海の解説が大いに面白いと感じられる人にはいいのかもしれない。
子どもに読ませる必要は全くない。福音館書店の松居直のでよいと思う。 -
2023.11.17 1-1