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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784265850563
作品紹介・あらすじ
ばくだんが図書館にあたって、まちはもえてしまった。のこった本をつつみながらピーターのおとうさんはいった。だいじなことなんだ、ぼくらがどこからきたか…戦争がすべてをうばっていくなか、だいじなものをかくしながら、どうやってひきつぐのか。その知恵と生命力に満ちた、一冊の本が、ここにある。
感想・レビュー・書評
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戦争で守り抜いた一冊の本。
これまでの歴史が書いてあったんだろうな。
人類が2度と同じ過ちを繰り返さない為に守り抜いたんだろう。
本なんて紙だから燃えてしまえばただの灰。
でもそこに価値を見出したお父さんは素晴らしい人だったんだろう。
やっぱり知恵があるんだもの、過去の教訓は生かさないといけない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戦争によって、自分たちの家を追われた人々・・・今もたくさんいて、これからも…
荷物を持っての移動は大変だけれど、父は最終的に赤い本だけ持ってゆく。
その後のことは‥‥絵も霞がかかっているようで…
読んでよかった本です。(子供たちがいない時間だったので、子供の絵本コーナーで読みました。…昔は私も子供だったので -
空襲に焼け出された父と子。
敵の軍隊が街に迫ってきたとき、「おとうさん」は、1冊の赤い本を厚手の布で包みながらこう言う。
「ぼくらにつながる、むかしの人たちの話がここにかいてある。おばあさんのおばあさんのこと、おじいさんのおじいさんのまえのことまでわかるんだ。ぼくらがどこからきたか、それは金や銀より、もちろん宝石よりだいじだ」
二人はその宝物を持って逃げる。
やがておとうさんは死ぬ。
息子のピーターはそれを引き継いで逃げる。
ある山の手前の村はずれに立っていた大きなシナノキの根元に、ピーターはそれをとうとう埋めた。
それを持って山を越えることができないと判断したからだ。
さてその本の行末は?
この絵本は一度目に読むと感動する。
二度目に読むと「?」が頭に浮かび始める。
そんなに大切な本なんて存在するのだろうか。
私も本は大好きだけど、だからこそお腹が減ったらそれを売り払うだろう。そしたら他の誰かが読むだろう。
あるいは灰になってしまうかもしれない。
それはそれで良いのではないかという感想が浮かんだ。
よく言うように歴史は物語だ。
何度も語り直されればよい。本当の事実など存在しない。そう言うと語弊があるかもしれないけど、その事実を解釈する側の社会、あるいは未来の誠実さこそが重要だ。
語り継ぐ事の倫理が重要だ。
事実がフェイクとなり、フェイクが事実となる現代にとって、1冊の本に書かれた歴史が貴重だという考えは、ちょっとナイーブすぎやしないかと思ってしまった。 -
見返しに、各ページの絵に、本の文字がコラージュされて、戦争による破壊が、命や財産のみならず、民族の文化や歴史にまで及ぶことを象徴しています。町や村、どうかすると国ごと消滅させられてしまう。魂までは破壊させない気持ちはお父さんからピーターにしっかり伝わったのです。
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子ども向けというよりは、大人向けの絵本のような気がします。
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[江東区図書館]
図書館でふと目に付いた本。ただでさえ他人の顔と名前を覚えるのが苦手な私は、題名の次に「マーガレット・ワイズ・ブラウン」と勘違いした著者名に目をやり、「戦争で図書館をやられてしまうから避難させる系の本かな」ととりあえず借りて来た。
その手の本としては、「バスラの図書館員―イラクで本当にあった話」が有名だが、あれは実話を元としている上に、行った本の救出作業の規模が半端ない、圧倒感を与えられる。それに比べてこの本は、表紙絵のつつましさが物語るように、「図書館を守る」といった大それた計画などではない。ただただある避難民が自分の大切に思う書籍を、亡くなった後はその息子が、不自由で大変な脱出避難生活の中でも身の回りのものより優先して大事に所有し、平和になった後年また図書館に備えたというもの。
手に取ったときには読み聞かせで使えるかなと思ったけれど、これは高学年でも避難上での大変さ、このたった1冊の本に込められた民族や平和への願い、こだわりというのは読み取れないかもしれない。一読して読み聞かせには使いづらいなと思ったけれど、この本は内容以上に挿絵がきれいで独特だ。恐らく描いた絵を切り抜いて他の背景画に重ねて置き、その"影"を一緒に写し込むことでまるで立体切り絵のような立体感と静かな中にも一際目を惹くインパクトを与えている。どうしても使うというなら、話の内容(深さ)にこだわらず、低学年に対して"絵"本として魅せるほうが使えるかも。
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[2021年12月追記]
ふと自分のレビューを読み返して、本の概要を思い出した。やはり"未来の自分のために"書いたレビューは自分の印象・記憶を思い出しやすくて、ブクログさまさま。
そして新たな認識。これ、アーサー・ビナードとの共著だ。
以前「ドームがたり」と「さがしています」でアーサー・ビナードを認識した際にひとしきり彼について調べたことが、レビューのどこにも書き留められていないことに気づいた。当時はまだ、半分他人への紹介文という位置づけでレビューを書いていたからかも。
そして今回再度彼の著作などをみていくと、エリック・カールの絵本の翻訳など、本来"詩人"と定義される彼が多くの翻訳も手掛けていることを再認識。数年前に課題図書となっていた、「なずずこのっぺ?」も彼の翻訳だったんだ!当初彼を認識した切り口から"戦争関係"のイメージが強く、実際今回のきっかけとなった「この本をかくして」も戦争関連の話だったけれど、子供向けの絵本、そして意味だけでなく"音(擬音表現や繰り返し表現)"に優れた翻訳まで手掛ける方だったんだな。更に、2019年に7年がかりで紙芝居も完成させていることも判明。丸木夫妻の「原爆の図」という屏風スタイルの大きな何枚もの絵の部分部分から、"サイボウ(細胞)"の声をすくい取り、神秘的な生物という立ち位置のネコの視点を借りて綴る、紙芝居(詳細は下記リンクを)。これまで以上に彼とその著に対する関心が高まった。
https://kokocara.pal-system.co.jp/2019/07/01/small-voice-arthur-binard/ -
作者の他の絵本が好きだったから読んでみた。
自分のルーツがわかる本が民族にとっては大事だ、と言うお話。
期待したほど深みがなく感じた。どの民族の話かわからないようにストーリーが抽象化してあるからか。 -
戦争で町の図書館が燃えてしまった。粉々にならなかったのは、ピ-タ-のお父さんが図書館から借りていた赤い表紙の本だけ。お父さんは、ピーターに語った「この本には、ぼくらを生んでくれた人びとのこと、お婆ちゃんのお婆ちゃん、お爺ちゃんのお爺ちゃんことが書いてある。何処から来たか、それは金よりも銀よりも、宝石よりもずっと大事なんだ」 ・・・ピーターとお父さんは、民族について書かれた大切な本を鉄の箱に隠して、町を離れていった・・・民族、国の大事な物、誇りとは? 戦争で失われたもの、守られるものを考え、諭させる絵本。
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貸出状況はこちらから確認してください↓
https://libopac.kamakura-u.ac.jp/webopac/BB00288389 -
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本を抱えて逃げなければならない状況。
お父さんが、ベットで人生を終えれない状況。
何故そうなってしまったのか、をまず考えないといけないなぁと思った。
当たり前に図書館があって当たり前に本が借りれて、当たり前に屋根のあるお部屋で適温で本が読める事は、全く当たり前じゃない世界があること。
少しでも、穏やかな世界が早く訪れますように…
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戦争が図書館を破壊したけれど、たった1冊、町の歴史を記したこの本だけは残さないといけない。
短いお話だけれど、戦争が破壊するものの多さと、本=知や史の価値について考えさせられる本だった。 -
避難民、戦争孤児、移民である少年が、優しく強くお父さんの遺言を守ります。
きっと古今東西、同じ様な沢山の人々によって、この様に記憶が守られて歴史が繋がれてきたのだろうと想像できます。
作者もイラストレーターもオーストラリア在住の移民で、また日本語訳者も外国の方です。
決して楽しい絵本ではありませんが、後世へ伝えたい事が静かにシンプルに表されています。 -
4年生
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息子8歳2か月
息子が喜びそうな本を図書館から借りてきて読み聞かせ…最近は息子が一人で読みます。作品によってはボリュームたっぷりでも読む。母はサミシイ。
〈親〉
絵が好き ◯
内容が好き ◯◯
〈子〉
読んだ◯
何度も読む(お気に入り)
その他
戦争と文化。
こんな世の中だから、読みたい作品。 -
5分くらい。
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6歳9ヶ月の娘に読み聞かせ
これは、実話なのか…?
なんだかぐっとくる。 -
戦争が
街を
人を破壊してしまう
父さんはこの町のことが書かれた本をもってみんなと避難した
けれど,,,
父さんが大事にした本を僕は運ぶ
鉄の箱に入った本はとても重くて、持ったままでは山を越えられない
だから大きな木の下に本を埋めて隠した
歴史をつなぐことが
戦争はだめなんだと
考えさせられる1冊 -
たいせつに守り抜いた本は人々のたいせつな知恵の記憶。誰かのもとに、この本がまた届きますように。
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マーガレット・ワイルド (著), フレヤ・ブラックウッド (イラスト), アーサー・ビナード (翻訳)
マーガレット・ワイルドの作品
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