- Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
- / ISBN・EAN: 9784265911219
作品紹介・あらすじ
おいらはスリ。ある時、路地裏の窓辺で女の子に出会った。足が悪いその子は、おいらのことを、絵本に出てくる「しあわせの王子さま」にそっくりだって。そのわけは…。
30年前にミュージカルをもとに作られた名作絵本です。
結末部分が破れた「幸福の王子」の絵本を大切にしている病気の女の子と貧しいスリの心の交流の物語がまさにオスカー・ワイルドの「幸福の王子」のテーマと重なり、やさしくせつなく、感動的です。
とかく損得が重視される世の中で、他者がいることのかけがえのなさ、生きることの美しさに改めて気づかせてくれるストーリーだと思います。
変化球の絵本が増えている今の時代に、王道ともいえるストーリーがむしろ新鮮に感じられます。
岩崎書店から絵本や画集を何冊も出させていただいていた安井淡先生のすばらしい絵も、この機会に改めてご覧いただきたく、岩崎書店80周年の記念に復刊しました。
今年は、オスカー・ワイルド生誕60年の年でもあります。
感想・レビュー・書評
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スリの男が逃げている途中で路地裏に逃げ込み、歩けない女の子が窓から外を眺めているのに出会う。
スリの男はたまたま女の子が眺めていた水たまりの中に入ってしまい、私の空に入らないで、と。
よく見ると水たまりには空が映っている。
外に出られない女の子にとって路地裏と水たまりに映る景色が全てだったのだ。
女の子はスリの男を絵本で読んだ「幸せの王子」に似ていると言う。
貧乏な家庭で、母親がくずかごから拾ってきた破れた本しか持っていなかったので女の子は結末を知らなかったので知りたかったそうだ。
スリの男はそれからも女の子に会いに行った。
女の子にお菓子をあげたりしつつ、町の知り合いに「幸せの王子」の結末を聞き回っていた。
結末を知った男だが、死んで天国に召される話に納得が行かず、嘘の、金を剥がしても剥がしてもトカゲのしっぽのように生えてくる幸せな結末に変えて教える。
女の子に車椅子を与え、一緒に本物の空を見に行こうと思い、目の前にあった車椅子を盗んだことで、警察に捕まる。
投獄されている間に女の子は死んでしまい、母親から絵本を渡される。
その絵本はページが破けており、スリの男の顔の刀傷のように王子様の顔にも線が入っていたのだった。
元々は舞台劇だったとかで言葉遣いが荒々しく、小さい子には向かないかな。
文字だけでもかなり泣けてくるから舞台だったらもっと泣いてしまいそうだ。