ノートル=ダム・ド・パリ (ヴィクトル・ユゴー文学館)

  • 潮出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (507ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784267015656

作品紹介・あらすじ

宿命的な恋愛、情熱、嫉妬…人間の生々しい感情を、詩情に富んだ自由奔放な手法で描き出したロマン主義文学の典型的な作品。

感想・レビュー・書評

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  • こりゃひでえや

    恋をしたらみんな、こうなるんだっていうんだったら、わたしは恋なんかしたくないね!
    エスメラルダが典型的なバカ娘にしか見えなくて残念至極。正直ディズニーでも「えっ何でその男に恋すんの?」って思ったけど、原作はそれ以上だったぜ…危ないところを助けてくれたっていう補正がかかっていたにしても、あんな下心が見えなくなるのが恋だっていうのかい?
    とりあえずフェーバスはいっぺんぶん殴ってやりたい。どんだけイケメンだったとしてもクズはクズだネ!
    なによりクロード(フロロではなくクロードと呼ばせてもらう)、クロードにも腹が立ったけど、彼はカジモドと並ぶ悲しい存在だったなあ。若いうちに禁欲的になりすぎるとよくないっていう典型例ですね…老いらくの恋、ってほどじゃないはずだけど…まあでも禿げてるしな。
    最近よく考える、美醜について。美の象徴ともいえるエスメラルダは悲惨であっけなくもある最後だし、対照的に醜さの権化みたいな存在として扱われるカジモドもまたあんな死に方ですよ。

    コレが人間の本質をついているんだ!っていっちゃえばそれまでですが。
    あんだけ騒いでてこんな終わりかよ!?って言わずにはいられない!
    とにかくエスメラルダがよくも悪くも妖精的だったね。
    ディズニーのノートルダムが好きな友人が、「フロローがどんな人間だったか、カジモドを見てくれ。悪い人であるはずが無い」と言っていて、ひどく感銘を受けたが、原作の方がよっぽどそう。あんなに純粋に、なじられても一身に心を捧げる様は見ていて痛々しい。そしてそれはクロードが弟ジャンに向ける愛情だってそうだ。

    言いたいことはたくさんあるが、欲しいものは力ずくで手に入れようとしてはいけません!愛は真心恋は下心。

  • 人間の建前と内面の葛藤を描いたユゴー渾身の一作。私はこれほどまでに人間らしさを感じる作品を知らない。特に聖職者でありながら、エスメラルダを愛さずにはいられず、聖職者にあるまじき行為を積み重ねるフロロの姿には人間味が溢れていた。人間はきれいな心を持ちつつも、闇を抱かずにはいられない。その苦悩こそが人間の深さであり、面白さだと思う。ディズニー映画「ノートルダムの鐘」では隠されていた、登場人物たちの真の姿を受け止める勇気があるならば、是非この本を開いてほしい。

  • パリのせむし男、ノートルダムのだっけ?の原作のはず。読みたい。

  • ヴィクトル・ユゴー文学館第5巻。
    脇道にしょっちゅう逸れてなかなか話が進まない、なんて欠点もあるけれど、…泣ける。
    でも、きっと文庫化とかされないんだろうなぁ。

  •  ユゴーの代表作であり、映画、舞台、バレエの作品としても有名。
    特にディズニーがアニメ化したことで有名な作品です。実際にパリにあるノートルダム寺院を舞台にした鐘突きカジモドが主人公の悲劇的な作品。原作はとても重厚で、結末も切ない。映画において結末がハッピーエンドにされているものが多いので、原作と読み比べると面白い作品です。

    (請求記号:北棟書庫B1階 B081∥2∥Ⅰ-100-1/2/3)

  • 学問一辺倒の清らかな生から肉欲の業火へと身を投げ打つ聖職者クロード・フロロ、
    外見の醜悪さゆえに愛されない男カジモド、
    美しく誰からも愛されながらそれゆえに身を滅ぼす娘エスメラルダ、
    愛すべき中道のヘタレ詩人グランゴワール…。

    文明の井戸というべき一大都市パリを舞台にした愛憎の物語は、燃えるような愛で身を焦がし果ては彼と我とを焼き殺す凄絶なる展開を迎える。

    徐々に残酷な宿命の刃が登場人物たちを追い詰めてゆく陰鬱なシナリオと、ノートルダムの塔の頂上から眺めるパリの夜明けの爽やかさとのコントラストが印象的だった。

    えせ芸術家によって破壊されてしまった建築物への礼賛、追憶を綴った3章は読みづらかったけれど、読み終わってみると、必要な章だという作者の思いが何となく伝わってくる。
    パリで生きる全ての人々を見守るノートルダム大聖堂も、間違いなく登場人物の一人であったのだ。

  • とてもにんげんらしい、これこそが愛の物語。

  • カタストロフですっきり!フロロの切実な性欲にアウグスティヌスも天国からOUI!中世建築のトリビアも豊富でお得な作品。ディズニー版から入った人はフィーバスのクズっぷりに注意してください

  • 解説曰く、ユゴーの最初の傑作小説。
    15世紀のパリを舞台に繰り広げられる、愛と狂気と宿命の物語。
    もしくはストーカーの物語。

    ユゴーを読むのはこれが2冊目。『九十三年』を読んだ時も思ったが、序盤は死ぬほど退屈である。ユゴーは蘊蓄が長いし、詳細さと厳密さを法としているようで、しばらくは興味深く読めてもさすがに辟易してしまう。
    それでも中盤にさしかかったあたりから話は転回し始め、終盤はもうすっかり夢中になった。結局読み終わってみれば非常に満足させられてしまう。ユゴーはそういう作家であるようだ。

    この小説は、感情が爆発している。
    中でも、クロード・フロロの恋はもはや狂気である。あまりの凄絶さにもはや笑うしかなくなる場面すらあった。カジモドやエスメラルダの純粋な愛情も、彼の狂気の前には対称をなすどころか霞みがちですらある。

    ドラマティックな展開と言い、ハッキリ描き分けられた登場人物の造形と言い、ノートル=ダム大聖堂および15世紀のパリの街という舞台と言い、映画にすればピタッとはまりそうな作品である。
    おそらく、探してみれば何度も映画化されていることだろう。

    序盤の退屈さを乗り切れば、非常に魅力的でパワフルな作品であることは間違いない。これから読もうという方におかれましては―もしあなたが気短な方であるならば間違いなく―第3編は読み飛ばすことをオススメしておきたい。

  • 20091115読売新聞。西川美和。「<悪魔>と嫌われるカジモドの不器用な『愛』。その懸命さは、差別や暴力、欲をむき出しにした中世のパリの情景の中をつーっと貫く一筋の透明な光のよう。<怪物>や<カジモド>が輝いて見えるのはなぜか。他者の誤解に悩み、笑われることの悲しさを知る人の葛藤はそれ自体が宝物なのかもしれない。」

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著者プロフィール

1802年-1885年。フランス・ロマン主義を代表する詩人・小説家・戯曲家。10代の若さで詩人として国王ルイ18世に認められるなど、早くから頭角をあらわす。すぐに戯曲や小説を発表するようになり、1831年に『ノートル=ダム・ド・パリ』、1862年にフランス文学界の頂点といわれる『レ・ミゼラブル』を発表して、不動の名声を獲得。政界にも進出したが、激動の時代により亡命生活も経験している。

「2022年 『ノートル=ダム・ド・パリ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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