隊長ブーリバ (潮文学ライブラリー)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784267015854

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  • 私にとって、ウクライナと言えばこれ!初めて読んだ小学生時代は、「モンゴル人がなぜ出てくる?」「同じキリスト教徒なのにポーランドが不倶戴天の敵?」と、?だらけ。高校、大学で歴史学を専攻した事で、薄皮が剥がれるように疑問が氷塊して行きました。17世紀のフメリニツキーの乱を題材としたフィクションですが、遙かなる大草原から集い来るザポロージェ•コサックの勇士たち。二人の息子と共に参戦するブーリバ。転戦に次ぐ転戦の中で、一人、また一人と命を落としていく仲間たち。命をかけて歴史を作った男たちの姿が、ゴーゴリの重厚な文章で綴られていきます。
    尊敬する父と兄を裏切ってまで愛に生きようとする次男アンドリューの姿は、小学生だった私に大きな衝撃をあたえました。
    大国(当時のポーランド)に翻弄されるウクライナ(当時はキエフ•ルーシ)は、この物語の後の時代にモスクワの支配下に入る。そのウクライナを支配下に置こうとするモスクワを中心としたロシアの現状を、ブーリバたちはどう見ているのだろう。

  • ■ドストエフスキーは「我々は皆ゴーゴリの『外套』から生まれ出た」と言ったかもしれないがそれはともかく、原泰久は間違いなくゴーゴリの『隊長ブーリバ』から生まれ出ている……。
    ■相手が敵の戦士だろうが、娘だろうが乳児だろうが、殺して殺して殺しまくるのみ。動機は”殺人衝動”と認めるワケにはいかないから、”熱い信仰心”ということにしておけば寝覚めはいい。
    ■「そして東部ロシアの自由放縦な世界から集まってきたこれらの勇士たちは、互いに接吻をとり交わし、それからすぐに、次のようない質問が発せられた。
    『コスィヤンはどうした?』
    『ボロダフカはどうした?』
    『コルベルはどうした?』
    『ピトゥスイショクはどうした?』
    そしてこれらの質問の返事として、タラス・ブーリバが受けたのは、ボロダフカがトロパンで絞殺されたということ、コロベルはギズィキルメンの近くで生皮を引き剥がされたということ、ピトゥスイショクの首は樽の中へ塩漬けにして帝都へ送られたということだけであった。老いたるタラス・ブーリバは悄然とうなだたれて、陰鬱な調子で言った。
    『どれも立派なコサックだったがなあ!』」
    ■はい、全員狂ってます……。ただし、歴史の徒花となって消えたザポロージャ・コサックの当時の熱気を肌で感じられるのは確か。ゴーゴリってこんな世界が好きだったのネ。

  • ある意味、喜劇なのかも知れない。
    悲劇なのだけれど、他の人から見ると喜劇にも見える。
    平家物語も似たところがある。

  • ウクライナの戦闘集団としてコサックが描かれている。タラス・ブーリバはそのリーダーで、2人の息子や若者たちが鍛えられるためには戦争に行くことが必要だと考えていた。

    凄惨な戦闘シーンの数々。息子が敵の女性と恋に落ちることで、もっと人間的な融和を一瞬、期待したが、物語はひたすら憎しみの連鎖を拡大していく。

    処刑を見世物として傍観する大衆の姿と比すれば、許せない仕打ちに対して復讐に徹するブーリバの勇姿には、人間として誇りというものを考えさせる。

  • 南ロシアの勇猛なコサック隊長ブーリバと、二人の息子たちの情愛や、次男アンドリイと敵方ポーランド貴族令嬢との、死を賭した恋を描く勇壮なロマン。

  • リアリズム作品の特徴といってよいと思うが、どのような視点で読むのかによって一人一人の登場人物への印象は180度変わってしまう。もちろん題名になっているタラス・ブーリバを中心に描かれているのだから、彼の視点で読み進むのが正道かもしれない。しかしそれでもタラス・ブーリバの行動や思想の全てを肯定的に受け止めることは、私にとってほとんど不可能だ。だからとって彼の行動全てを否定しようということでは...

    【開催案内や作品のあらすじ等はこちら↓】
    http://www.prosecute.jp/keikan/034.htm
    【読後の感想や読書会当日の様子などはこちら↓】
    http://prosecute.way-nifty.com/blog/2008/01/34_b156.html

  • シェフチェンコ劇場でオペラを観ました。

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