実は世界No.1の日本経済

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  • 潮出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784267019258

感想・レビュー・書評

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  • タイトルは誤解されやすいので変えたほうが良い。内容は公開されている客観データと経験に基づいたもので参考になる点が多い。2012年の書であるけれど、現在2018年の状況と合致する点も多く著者の慧眼は素晴らしい。

    なお消費増税に関して、本書の末尾で下記の様に書かれている点は、現在の財務省の森友文書書き換えに通じるものがあり、財務省内があるのではという点で興味深い。
    「...根本的に私自身が受け入れがたいと考える理由は、増税議論の前提となっている経済や財政症状の見方にかなりのバイアスがかかっているという点です。...(略)...そこに嘘や詭弁や思惑があってはならないと考えています。...」

  • 思惑を排除するデータ分析
    ユダヤ系金融財閥ロスチャイルド 日本のバブル→チューリップバブル、南海泡沫事件、ミシシッピ計画の三大バブルのチャートと酷似
    歴史は繰り返す→人間はいつまでたっても同じことをしているだけ

    経済学 人文科学と自然科学に分かれる中で人文科学

    国際収支 経常収支(貿易収支、サービス収支、所得収支、経常移転収支)、資本収支、外貨準備増減、誤差脱漏→プラマイゼロになる。
    対外純資産はストック

    世界一の立場を受け入れたくない人 日本ダメ→海外へ→世界もっとダメ→消去法で日本

    アメリカ ブラックマンデー→湾岸戦争 ITバブル同時多発テロ、イラク戦争 リーマンショック→ユーロ危機
    危機の後にそれをリセットするような事件が偶然発生し、世界中からお金
    一時しのぎ→結局は深い経済的打撃→サブプライム危機以降に身をもって感じている米国民

    年金 都合のよいデータを人は見たがる。
    2012年 AIJ投資顧問年金消失問題→厚生年金部門の事件→公的年金部門には影響なし
    損をするのは未納者ばかり☆未納率上昇は好都合?
    悲観論、極論で儲けようとしている→投資商品を売り付けたい。

    国税収入に占める消費税の割合 日本24.4%→税率のみで低いと錯覚しがち

    モノ言う株主→株主に高い配当利回り→超低金利の銀行から借りた方が調達コストも安い→税金、雇用、地域社会へ収益を還元しなければ、日本の経済へ×

    日本国債市場の暴落に賭けてきた海外のヘッジファンド→売りを仕掛けたときは嬉々としてメディアが報道→撤退のときは報道なし

    ギリシャ人はポルシェ好き→ニュースの捏造
    ギリシャ 年金も高いわけではない、労働時間も長い→ドイツはユーロ安で得している。→経済危機の放置

    ユーロが登場した直後 イラクは自国の原油輸出の通貨決済を米ドルからユーロへ→イラク戦争
    2000年から2008年の間に、米ドルに対して約2倍、価値を高めた。☆2050年の脱炭素社会・中東の石油問題は過去の問題か?

    バフェット・ルール 税制赤字の実質的な解消にならない→選挙戦を有利に戦うパフォーマンスの一環

    アメリカ 大暴落が発生するタイミング 自分の再選がかかっている2期目突入を目指す大統領→株価つり上げ→自分の任期終了間近で暴落→政権はどうせ終わるから関係ない。

    いまだに決済しづらい人民元

  • 2013/10/22:読了
     おわりに 200ページ~201ページ

     例えば日本の財政破綻について、非常に大きなスケールで考えると、何の裏付けも無い紙幣を無尽蔵に印刷する現在の金融システムが果たして正しいのか。そして国債を発行すればいくらでも政府が資金を手に入れられる調達方法が正しいのか。これらはオーストリア学派と呼ばれる人たちの主張と通じる物があるかと思いますが、現代社会は壮大なスケールで考えるべき経済システム上の問題を抱えています。
     (中略)
     ただ、その一方で現代社会はそうしたペーパーマネーが公然と使われ、国債での資金調達というシステムが成立している経済であるのは紛れもない事実です。そのようななかで、果たして日本国債が暴落するような状況にあるのか。日本の財政は破綻直前なのか、と尋ねられれば、各国比で見た場合には日本は最も破綻からは遠い国である、としか答えようがありません。仮に、ペーパーマネーや国債というシステムが機能しなくなれば、世界は大混乱に陥るでしょう。しかし、その中でも何とか凌いでいけるのは日本です。それは世界一潤沢な対外純資産があるためです。

  • 2013/01/21 借出。
    津市津図書館--安濃図書館。

  • データをもとに検証。世界一のお金持ち、100年破綻しない年金設計、増税より雇用、国債は破綻しない。

    メディアによる世論操作がいかに大きかったのかがわかります。

  • 購入者:北四巡
    購入日:2013.01.03

  • 扇動する経済本に惑わされるな、と教えてくれた。

  • 岩本女史の本を読むのはこれで4冊目になりますが、今回も期待を裏切らない読み物でした。彼女も本の中で述べているように、彼女が主張しているポイントには、必ずデータやグラフが付いていて、読者にもそれを解釈や比較できるようにしてあります。

    このやり方だと、彼女と同じ考え方を持つ人もそうでない人も、それを題材にして大人の議論ができると思いました。彼女の考え方や、文章を書く手順は、ビジネスパーソンには大いに見習うべき点があると思います。

    今回の総選挙では争点にはならなかったようですが、一時期年金は破綻した等を言われていますが、実際には破綻することはないということを、しっかりと現在のデータや想定しているデータの妥当性を述べている点は把握しておく点だと思いました。

    日本国債の安全性については、類書で同様の解説を見たことがありましたが、現在の年金の設計が盤石である、更には、ギリシアの現状(退職年齢も労働時間も他のEUと殆ど変らない)等、今までのメディアでは伝えられていなかったようなことを、詳細なデータと共に、初めて知りました。

    以下は気になったポイントです。

    ・1000兆円というのは政府の粗債務、純債務は政府資産(500兆円=社会保障基金、内外投融資、外貨準備等)を引いた500兆円となる(p29、33)

    ・韓国国債は日本国債より格付けが高いのに、日本は「日韓通貨スワップ協定」に基づき、2.4兆円まで韓国に外貨を融通した(p41)

    ・数値やデータを無視した議論というのは、実は語り手の恣意性が非常に含まれやすいため、正確な情報になりえない(p48)

    ・2004年以前の低い保険料と高い給付額のままであれば公的年金は2027年に破綻してしまう可能性があったが、保険料を段階的に上げて給付金を下げているので、今現在は2105年まで維持できる制度になっている(p52)

    ・年金制度の前提は、日本の出生率の歴史上最悪値(1.26)を使っている、2010年は1.39、実質経済成長率は0.8%の前提値に対して、実際(1995-2010の平均)は、0.88%(p053、54)

    ・2012年にAIJ投資顧問の破綻という問題が起きたが、これから我々が学ぶのは、公的年金破綻といった無用の不安を煽られ、実体の知れない海外投資ファンドに手を出すべきでないこと(p59)

    ・現在の年金制度では、1980年生まれ以降2010年に生まれた人でも、年金給付総額は、厚生年金では保険料の2.3倍、国民年金でも1.5倍(p60)

    ・将来無年金になる人が118万人という推計があるが、無年金で困るのは国ではなく、損をするのは払わない人(p62)

    ・厚生年金も含めた公的年金の加入者全体の比率からすると、国民年金未納の割合は5%(p63)

    ・厚生年金や国民年金は高齢者に給付された後に、諸経費を引いた余剰金で積立てられた基金はGPIFが自主運用を開始して、累積収益額:14兆円、通期収益率:1.3%(p64)

    ・日本の消費税(国税分:4%)は、国税収入に占める割合は24.4%、これが10%になると、国税への割合は37%(p78)

    ・給与所得者の構成比率は、1500万円以上 1.0%、1000-1500万円:2.8%(p81)

    ・平成24年度で消費税の還付金額は2.54兆円、消費税として徴収された金額の21.3%、5%が10%になれば、輸出企業に支払われる還付金は倍になる(p84)

    ・株式持ち合いが登場した背景には、第二次世界大戦後の財閥解体によって株式が一般に売り出されたのが始まり、買収から防衛するため(p93)

    ・消費税率の引き上げ前に、所得水準をあげるべき、その一つの方法として、企業収益の社会への還元と企業金融の見直しを提案したい(p100)

    ・海外のヘッジファンドが日本国債の売りを仕掛けているようだという報道は積極的にされるが、日本の国債暴落や財政破綻は「考えられない」という海外勢の声は、日本のメディアを通して殆ど入ってこない(p108)

    ・国内向けには財政破綻すると言っておきながら、IMFへの資金拠出(600億ドル=4.8兆円)は2012.4.17に表明している(p111)

    ・政府が為替介入(ドル買い円売り)すると日本の外貨準備高は増えることになる、2012.3で103兆円と、2002.3比較で約3倍に増えている(p116)

    ・今までに何度となく海外ヘッジファンドが日本国債の暴落をしかけてきた(ピムコ等)が、毎回のように巨額の損失を出して撤収していった、これはメディアには取り上げられない(p117)

    ・ギリシア問題が浮上する2008年のデータでも、EU平均の退職年齢が62歳であるのに対し、ギリシアは61.9歳で殆ど同じ(p138)

    ・債務危機の慢性化は、ユーロ安を継続させ、ドイツ経済を活性化させるという側面がある、これがギリシアに支援の手を差し伸べていない現状を説明する(p143)

    ・今でも外国為替で取引される通貨の8割、世界貿易の7割、外貨準備高の6割が米ドルで、その存在感はまだ健在(p148)

    ・財政破綻をした場合、IMFから融資されるのは米ドル、1994メキシコ(80)、1998タイ:160,韓国:580,インドネシア:430、1998ブラジル(420)、ロシア(170)、2002トルコ(160)ブラジル(300)、2003アルゼンチン(130億ドル)がある、返済は米ドルなので、危機が継続的に起こる限り米ドルの需要も生まれる(p149)

    ・アメリカは、民主党のブルーステート(北東・西海岸・五大湖)、共和党のレッドステート(中西部、南部)に加えてスイングステート(オハイオ、フロリダ、バージニア等)がある(p157)

    ・基軸通貨になるためには、外国為替市場で自由な売買が必要条件、円・ドル・ユーロは可能だが、元は規制が厳しく送金も自由にできず、決済スピードが遅い(p182,186)

    ・元は2005.7から7年間で20%の切り上げをしている、日本の場合は1985.9から2年足らずで50%(240→120)だったので円高不況となった(p188)

    2013年1月6日作成

  • 非常にわかりやすく丁寧に書かれているので読み易いですが、著者の思いが伝わってくる真摯な内容です。

    この著書で伝えられるメッセージと比較して、新聞やテレビに登場する経済学者やエコノミストの偏向度合いは半端ない。そのため、本書で伝えられる内容に良い所どりではないか?との感想を抱かれる方も多いと思います。

    決して一つ一つの内容が良い所どりばかりでは無い事は、著者も個別の課題について問題点もしっかり挙げています(例えば年金の制度設計における賃金上昇率や運用利回りの設定が高いこと)。

    安心して読めて、かつ現実の問題に対するいわゆる「専門家」の言説に対して、「そっれってどうなの?」と疑問を持った時に、一つの客観的な事実を教えてくれるそんな一冊です。

    著者の『新・マネー敗戦』と共にわかりやすくかつ、深い洞察に満ちた本としておすすめです。

  • 何を持って、経済というのかということなのだが、、、、
    日本ダメダメというのに反対なのはわかりますが、いい一面だけ引っ張り出して本にした感じが否めない。かな?

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著者プロフィール

大阪経済大学経営学部客員教授。91年より外資金融機関にて外国為替を中心にトレーディング業務に従事。金融専門誌『ユーロマネー』誌で為替予想部門の優秀ディーラーに選出。為替のプロとして、いま大注目の経済評論家。『新・マネー敗戦』『世界のお金は日本を目指す』など著書多数。

「2013年 『経済は「お金の流れ」でよくわかる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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