文庫版 小説 土佐堀川 広岡浅子の生涯 (潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784267020001

作品紹介・あらすじ

豪商三井家から17歳で大坂の両替商・加島屋に嫁いだ浅子は、家運が傾くと持ち前の商才を発揮、「九転十起」の精神で難局を切り開き、大坂随一の実業家として大成する。晩年は女子教育にも力を注ぎ、日本初の女子大学開設に奔走。歴史に埋もれてきた不世出の女性実業家の生涯を、初めて世に紹介した名作が、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 文句無しで面白かったです。
    幕末から大正までの激動の時代を生きています。

    • hibuさん
      岳東さん、おはようございます!
      この作品、最初よくわからないままAmazon様にオススメされて読んだのですが、文句なしに面白いですよね!
      ま...
      岳東さん、おはようございます!
      この作品、最初よくわからないままAmazon様にオススメされて読んだのですが、文句なしに面白いですよね!
      まだまだ知らなかったけど、面白い本がたくさんあると実感した作品でした♪
      2023/10/19
    • 岳東さん
      そうですね。
      この時代の作品は、とても興味深いですし、理解が深まります^_^
      そうですね。
      この時代の作品は、とても興味深いですし、理解が深まります^_^
      2023/10/19
  • 幕末から明治、大正という激動の時代に「九転十起」の精神で様々な苦難を乗り越え実業家として、女性の社会進出の先駆けとなった広岡浅子さんの生涯を描いた作品。

    男女関係なく、浅子さんの気持ちの良い性格に惹かれてしまうのは私だけではないでしょう。

    ドラマの原作にもなったみたいですね。
    オススメです♪

  • 朝の連続テレビ小説で放映中の原案となった小説。
    広岡浅子の生涯を描いています。
    まだまだ女性の地位が確立していなかった時代にこんなにも激しく、心情を貫いた生き方をした女性がいたのか…、と感動しました。
    自身のこと、商売のことだけでなく、その時代のこと、後の女性たちのことにまで目を向ける、広い視野を持ち、行動に移した女性。
    毎日の~んびりと過ごすことに幸せを感じている私に、ちょっと”喝”を入れられた感があります(笑)

    • あいさん
      こんばんは(^-^)/

      私も久しぶりに朝ドラ見てます!
      朝から元気がもらえるドラマですよね。

      やはり原作とは随分違うのでしょ...
      こんばんは(^-^)/

      私も久しぶりに朝ドラ見てます!
      朝から元気がもらえるドラマですよね。

      やはり原作とは随分違うのでしょうか?
      ご主人と仲良しなのは実話と聞いたのですが、ふたりはずっと仲良しでいられるのかな(*^^*)♪

      私ものんびり過ごしすぎているので、あさに喝を入れてもらわねば!

      でも、のんびりって幸せですよね〜♪
      2015/12/05
    • azu-azumyさん
      けいたんさん、こんにちは~♪

      このドラマ、視聴率、高いそうですね。
      ほんと朝から元気がもらえますよね^^

      原作でも浅子夫婦はと...
      けいたんさん、こんにちは~♪

      このドラマ、視聴率、高いそうですね。
      ほんと朝から元気がもらえますよね^^

      原作でも浅子夫婦はとても仲が良いのですが、もう少しお家の事情(?)というか、浅子が仕事に力を注ぎたいという事情がありまして…
      実際の浅子にはもっともっと困難なことが多かったようで…
      おっと、ネタバレになってしまいますね~(笑)
      2015/12/10
  • #あさが来た のモト本。 
    広岡浅子、三井のお嬢さまで、商才と胆力に恵まれ、その力を存分にふるって婚家を立て直すばかりでなく、何倍にも事業拡大して大成功をおさめた実業家。
    その人脈は、大成功した三井の後ろ盾もあって、政財界に大きくひろがり、女子教育への献身にもつながっていく。

    夫の信五郎とは円満だが、当時の社会通念に従って 自分の女中に彼の世話もさせ子も産ませる。
    まぁ、合理的である。
    欧米の高給取りの共働き家庭が、住み込みナニーを高額で(あるいは税金で)雇うのと似ている。
    そういう時代だったのだ。
    もし、こういうやり方が当たり前に残っていれば、 IMF女史に日本の女性は遅れているなんてことを言われずに済んだか?

    そして、これは朝ドラではなく大河のネタだ。
    前に女医をとりあげてコケたシーズンがあったそうだが、広岡浅子であれば政財界とのつながりもあるので掘りやすかろう。

    でも、大河がとりあげる女性は”奥を支える”人物だ。
    それは日本の社会通念の反映であると同時に、そのように世の中をあらしめようとする考えの表層化でもある。

    作品としては面白くない。
    名手による文章であれば、出版から20年も待つ事なく浅子は著名な人物になっていたであろう。
    だが、彼女を発見し歳月をかけて調べ上げた眼力と粘りに敬服する。

  • 幕末の「尊王攘夷派」「佐幕派」「公武合体派」の三つ巴の混乱の中に、商人ならではの戦いがあったことを知った。商人には、朝廷派だとか佐幕派だとかの政治的側面よりも、どちらに就くことが事業の存続につながり、どちらのほうが儲かるのか(損をしないのか)の判断が重要であり、つまりは先見の明が必要であった。

    この難しい時期に、豪商三井から大阪の両替商「加島屋」に嫁いだ広岡浅子がこの小説の主人公。一言でいうならば女性剛腕実業家だが、ほとんど100%男性社会と言えるこの時代にあって、女性でこれだけのことを成し遂げた人物がいたとは驚きだ。

    幕府による政権、廃藩置県、明治維新、西洋の経済の仕組み導入、新政府の強引な負債解消政策、これらのあおりで、これまで強制的に資金調達命令に従わされてきた豪商たちは、勝手気ままな新政府のやり口の為、莫大な貸付金を帳消しされたり、約束を反故にされて利益が得られなかったりで、よほどの体力がない限り倒産に追い込まれていった。

    そういう状況の影響をうけて、大手両替商である加島屋も、財政的な危機的状況に追い込まれる。これが加島屋の経営を切り盛りすることとなった浅子の最初の障壁である。

    商才ある浅子は、加島屋の財政再建のため、蒸気機関の動力として必要となる「石炭」の将来性に着目し、筑豊炭田の炭鉱買収に全精力を費やし、炭鉱で加島屋の経営再建に賭ける。
    買収した筑豊の炭鉱の男衆から、女経営者ということで軽く見られバカにされるが、毅然と立ち向かい、最終的には工夫たちの信頼を勝ち取る。その全身全霊で壁に立ち向かっていく姿が感動的なのである。

    浅子はその後の人生も同様に誰もが不可能と思えるような課題や目標を、信念と実行で切り拓いていく。「九転十起」が浅子の異名であるゆえんである。

    自身の幼少期から懐いてきた矛盾の一つ「女性に学問の機会均等がない」ということがあった。成瀬仁蔵との運命的な出会いにより、それを日本女子大学創設という形で実現しようとする。

    目の前にはだかる資金調達の大きな壁に対し、今でいうクラウドファンディングのアナログ版と言えるだろうか、すなわち持てる人脈を一人一人地道に足で歩いて交渉し賛同を得て、資金を集めるというとてつもない労作業を買って出る。これもシナリオ通りにはいかず、それでも最後まで諦めない精神が、硬い壁を打ち破るのである。

    難波銀行破綻に伴う経済恐慌のあおりをうけ、加島銀行も倒産の危機に巻き込まれていく。風評被害がさらにその状況の悪化を加速していく。経営破綻を恐れる銀行は、預金者の集中的な預金引き出しを制限し、それが庶民の不安をあおり、益々経済恐慌がスパイラルしていく。その歯止め、銀行の信頼維持のため、浅子は預金引き出しを実行する決断をするが、そのために考えた大口預金者獲得というプランの難航に、これまた苦悩のどん底まで落ちてしまう。

    そこに現れた救世主は渋沢栄一であった。金融業界の危機は国家経済の危機、政府が放置しておくはずはないという渋沢の大局的な助言を信じ、これまで行ってきた地道な預金者獲得の歩みを貫き、渋沢の予想通り為された日銀の金融政策に状況が一転し、浅子の地道な活動が一気に実を結び始めた。またしても捨て身で現実と戦う浅子の信念の活動が、大逆転をもたらすこととなった。

    浅子は、自らの乳がんをものともせず事業に打ち込み、病もその勢いに収まっていたが、晩年徐々に進行してきた。浅子の最終事業の一つとして、大同生命の社屋移転(土佐堀川肥後橋前への移転)の大事業があったが、このビルディングは加島屋の事業の大成功、そして広岡浅子の生涯を通じての成果の大きさを象徴するかのような巨大かつ近代的な大阪一のビルディングであった。

    病んだ体を最期の精神力で超越しながら、このビルの完成祝賀会に出席し、挨拶を終えたあとに倒れこむ浅子の最後まで全力でことを成し遂げるシーンは感動的である。

    その挨拶の内容が、広岡浅子の人生を物語っている。
    「うちは、どんな困難に出遭おうとも、いつもこれからが本番や思うてやってきました。生涯が青春のような気いで、事業に取り組んできました。これからも加島屋のために、大阪の実業界のために烈々たる気概でいこうと思うてます。本日はほんまにありがとうはん、本日はほんまにおめでとうはん」

  • 朝ドラの原作ということで知った作品でした。大同生命を作った人のドラマらしいといことで、ほとんどドラマも見ていなかったため、どんな人かと読んでみたら、想像以上にすごい人生だった女性の話でした。

    こんなに広い視野をもって、先を読んで、世の中のためになることをと考えながら、日本が近代化していく時代の中を生きたのは、本当にすごいと思いました。

    幕末~明治、大正と日本が経済的に大きく変わっていく様子が、主人公が次々と進めていく事業を通してよくわかります。ただ、もう少し主人公の広岡浅子さんの目に映る日本の様子や大阪の経済事情、起業者にとって大切な、人とのつながり、相手との信用を詳しく描写してほしいという欲が出てしまいました。

  • 小説というより、教科書の説明のような本だった。

  • 朝ドラで興味を持って読んでみた。
    ドラマより数段男前の浅子が卓越した行動力を発揮して事業を繁栄させていく様子が胸をすくようで気持ち良い。そして単に事業に才覚があるだけでなく、浅子自身の人柄も大変魅力的。
    私の知っている活躍した女性の中で、スケールが一番大きいのではないかと思う。

  • 朝の連ドラ「あさが来た」のネタ本。

    とにかく元気でパワフル。
    止まることを知らない。
    動き出したら止まらない。
    多くの人を巻き込み、引っ張り、突き進む。
    とにかく商売への熱意と加島屋を守ることへの執着、そして延いては経済界を動かしや女子教育の礎を築いたことに驚きと尊敬の念を抱く。

    三井家の出身で豪商加島屋に嫁いだことから環境と人脈に恵まれたとは思わずにはいられないものの、本書を読み進めるに従い出生に恵まれただけではないことは自明である。

    是非経営や起業を志す方々には読んでいただきたいと思う。
    とはいうものの読み物としては淡々と事象が進み面白みに欠けた。

  • NHK朝ドラ「あさが来た」の原案本。広岡浅子はまさに不死鳥、「九転十起」。ピンチをチャンスに変えてしまう。自分だけのことを考えるのではなく、利益を社会にどう還元していくか等、学ぶべき点が多数。登場人物・団体が聞き知っているものばかりで、元々持っていた人脈を広げていく力もすごいな。諦めちゃだめなんだ。/小説を謳っているけど、あまり小説らしさはない。彼女の伝記を読んでいるかのようだった。

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著者プロフィール

東京女子短期大学大学部卒。著書に「赤き心を」「風花の城」「一輪咲いても花は花」「性転換」「炎の河」など。日本文芸家協会会員。ヴィクトル・ユゴー文化賞受賞。潮出版社文化賞受賞。著書「小説土佐堀川」がNHK朝ドラ「あさが来た」の原案となる。

「2017年 『きっと幸せの朝がくる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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