- Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
- / ISBN・EAN: 9784267020018
作品紹介・あらすじ
近江の小さな寺で勉学に励んでいた大谷平馬(吉継)と石田佐吉(三成)。ひょんなことから二人と幼馴染の少女・香瑠は、羽柴秀吉に仕えることになる。しかし、毛利攻めで敵に捕らわれた平馬は過酷な獄中で原因不明の病に侵される。なんとか生還するも、紅顔の美青年が、顔にしこりができ、髪や眉は抜け、残りも白髪となった。平馬はそんな自分を「白頭」と号するが、なんと顔や体が崩れ始め…。周囲からの偏見と畏怖、その中に光る秀吉や佐吉との信頼と友情。何があっても夫を支える香瑠との夫婦愛-。そして、陰謀渦巻く「関ヶ原」へ運命は大きく傾く!「軍配者」シリーズ著者による戦国歴史小説の最高傑作!!
感想・レビュー・書評
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平馬こと大谷吉継の生涯を描く。
自分が賢いと思い、周りをばかにしているのを隠さないため、嫌われている佐吉。
平馬の目を通すと、そのまっすぐさや単純さに可愛げがある。
佐吉こと石田三成との、友情がさわやか。
秀吉からの信頼。
病に苦しまされつつも、妻とのあたたかな家庭。
前半は、さまざまな人物との出会いや人間関係が、魅力的。
誰もがいい人で、ややさらりとした感。
最後は関ケ原の合戦をなぞる感じで、あまり平馬の話ではなくなってしまい、残念。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大谷吉継を主人公にした作品。病魔に悩ませられながらも義に生きた武将。前半は石田三成との友情や秀吉や妻との関係性に重点を置いて後半は吉継がいかにして生きたのか分かり易くスラスラと読める作品。
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信長が浅井・朝倉を破り破竹の勢いで天下を掴みかけていた頃、秀吉が木下から羽柴に改姓した頃、平馬(大谷行部)は16歳、佐吉(石田三成)は15歳だった。
平馬の話はそこから始まり、関が原で破れ、42歳で亡くなるまで、前後およそ30年間の物語りだった。
滅多に見ない大河ドラマで(何だったか)黒頭巾(ドラマは黒頭巾だった)の重役を見たことがある、大物俳優が演じていた。あぁこの人だったのか、大谷行部、少しだが名前に覚えがあった。
平馬は秀吉の命を受けて西の草刈家に朱印状を届ける使者になった、だが小早川隆景のいる毛利軍に捉えられ土牢に入れられる。そこで病に罹りその後の平馬の悲運が始まる。
清洲会議、光秀と戦った山崎の合戦、高松城の水攻め。秀吉の世になってからの戦いの歴史は、諸国の諸大名の命運存亡をかけた戦いで、そこを見据えながら駆け引きが面白い。
史実を織り交ぜ、秀吉に仕える平馬の真情、佐吉(石田三成)が秀でた頭脳を持ちながら、自信家で直情径行、人望が薄い、そこを幼馴染の平馬が補佐しながら友情を保つ話。妻子を思う心など、読者の読みどころを掴んでいるのは面白い。
大雑把な歴史を辿り、小競り合いや正面切っての戦いの原因結果を知ることが出来る、が何しろあっさりすぎる。
泣かせどころはここですという作為も見える。
平馬を主に据えたことで、彼の忠臣としての命がけの働きも、進行する病気の様子も、肩入れしないではいられない、気持ちがかき立てられる。それはいい、だが、ページ数の関係か、賤ヶ岳の戦いも個人的に面白い上田城の戦いも昌幸の作戦勝、というように通り過ぎていく。周りの武将の有名どころも東西に分かれ、東軍についたものはその後生き残って、家康に盛り立てられるが、人情がらみで平馬のように一生を終わるものも多い、個々のエピソードも余りない。少し味気ない。
関が原の大きな山場、ここで平馬が死ぬというとき、悲痛な妻子との別れは泣かせる、が戦いの渦中は、布陣にも少し触れているが、いつ小早川軍が家康援護に駆け下りてくるか、この勝敗が決した謀反の話も、歴史の事実の前では後追いでしかなく、緊迫感がない。
平馬の死後、冬の陣、夏の陣も数行で終わり、贔屓の源次郎(幸村)もあっさり天王寺で討ち死。
平馬の妻(香瑠)を訪ねる黒田官兵衛(如水)のシーンで終わる。
歴史的な戦いの流れが大雑把につかめた。エピソードも納得した。そんな意味で言うなら面白かった。
この出版社の姿勢を疑った最大の原因は「洞ヶ峠」に「どうがとうげ」と振り仮名があったことで、もうがっかり。
登場する武将の逸話などはまた別の機会に読んでみたい、評判のいいこの作者の「軍配シリーズ」を読むことにする。積んである予定の本からそれていく読書コースは、こうして広がって収集がつかなくなっていく。 -
石田三成と親友だった大谷吉継の物語。
症状からしてハンセン病を患っていたと思われる大谷吉継の生涯、崩れゆく肉体に反し正しく美しく保たれ続ける精神や大切な人たちとの関係に、人と人を結び付けるのは魂の在り方だと思う。醜い外見を得たからこそ、それに惑わされない真の信頼関係を築くことができたのかもしれない。
読み応え自体はそれ程重くないものの、自分自身の命の使い方についても考えさせられた。
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関ヶ原で西軍(石田三成)側で戦った以外戦国時代マイナーであまり馴染みが無かった大谷吉継(平馬)を描いた作品、幼少時代幼馴染の石田三成(佐吉)と学び、母親が秀吉の母を助けたふとしたきっかけで秀吉の家来となる、そこには後の加藤清正、福島則明等の武功を上げる人、幼馴染の香瑠が居て一緒に育つ、秀吉の毛利攻めで敵方に捕らえられ地獄を見て生還するも病を負うも香瑠と結ばれる。病は白頭且つ、全身に瘤が出来る今で言うバセドー病で周りから偏見、畏怖される。その後も秀吉への忠義から病の身で北条攻め、朝鮮攻めにも加わりながら、香瑠ならび、子供達を思いながら秀吉への忠義を全うする。黒田官兵衛、石田三成、直江兼続、真田幸村らとも通じて乱世を生きたマイナー武将にスポットを浴びせた生涯を描く富樫倫太郎の小説で面白く読めた。
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コンパクトにまとめた感があって、何かが足りない。
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相変わらず気持ちのいい、スラスラ読みやすい文章で、あっという間に読了してしまった。