潮文庫 ぼくはこう生きている君はどうか

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レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784267020544

感想・レビュー・書評

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  • 哲学者鶴見俊輔さんと作家重松清さんの対談集。
    テーマは「教育」。児童・青少年教育という視点はもちろん、老年期の学び、広く生涯教育にも切り込んでいます。親として、友人として、ひとりの人間として、読んだ年齢・読むときの立場など、本を手にした時々で琴線に触れるフレーズは変わりそうです。

    内容でも印象的な考え方は多いのですが、それ以上にお二人の会話のキャッチボールに引き込まれました。
    1922年生まれの鶴見氏の言葉のセンスや湧き立つ好奇心、対談相手への敬意や姿勢がとても思いやりに溢れていてとても素敵です。そして適切なタイミングで適切な質問や返答を投げかける重松氏もお見事。
    対談をまえに、地道で膨大なインプットをし準備を整えること。そしてインプットした情報を活用して自分の言葉で的確に表現、つまりアウトプットすること。一朝一夕では身につかないことですが、自分の考えや思いをこの先も正しく言語化できるように、幅広い言葉と表現方法を地道に身につけていきたいと思える一冊でした。

    ~memo~
    ・「大人」の物差しをたくさん持たせる
    ・子供の健やかな成長を喜ぶ
    ・エピソードで語れるような友人付き合い
    ・死ぬことを考えて生きる
    ・文芸評論家ではなく自分の人生の一部として本を読む
    ・人生八十年時代を「悠々自適」ではなく「一生現役」でいられるよう、ひらめきと持久力を継続する

  • 2015年に亡くなった哲学者鶴見俊輔さんと、作家重松清さんの、2009年に行われた対談集。

    主に教育をテーマに対談が続いていくが、印象的だったのは両者のお互いへの敬い方。
    鶴見さんの重松作品を読み込んで対談に挑む姿勢。重松さんの相手を尊敬しているからこそできる質問、会話の引き出し方。こんなふうに人を尊敬をすることのできる人間に憧れる。

    最近重松さんの作品は読めてないけど、「尊敬する人は誰か?」という質問を見ると、今のところ「重松清」が自分の頭の中にでてくるのは何年も前から変わらない。

  • 2010年に発刊された鶴見俊輔と重松清の対談の文庫化。鶴見俊輔氏は2015年に亡くなったため、遺言を読むような気持ちで読んだ。
    日本について、日本人について100年のスパンで論じる鶴見氏の意見は説得力がある。
    日本人の線が細くなっている。それは日本人の思考が細くなっていることを示している。
    庶民からたたき上げたエリートが少ないのは、我々が描くエリート像がそうなっていないからだ。

  • 2016/09/18

  • 鶴見俊輔の言葉がとても素敵な一冊。もっと彼の著作を読みたくなった。

  • 重松清は知っているけれど、鶴見俊輔という哲学者を私は今まで知らなかった。

    教育、家族、友情、老い、師弟。
    斬新な答えが出て来るテーマではない。
    けれど、鶴見氏の圧倒的……なんだろう、人柄?
    時代を渡り、多くの人を見つめてきたその人物がよく現れている、素敵な対談集だった。

    弱みを見せて、余裕を持って、向き合っていく。
    けれど、例えば挨拶のようなカタチを軽んじない。
    そういうところが、いいなと思う。

    その中で育つ人物とは、点数が取れるわけでも、一番でなくても、何かを為すのだろう。
    そのことに、価値を見出さなくとも、いつも我慢が効かなくなって不安になる。
    そんな自分への処方箋にもなった。

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著者プロフィール

1922年東京生まれ。哲学者。15歳で渡米、ハーヴァード大学でプラグマティズムを学ぶ。アナキスト容疑で逮捕されたが、留置場で論文を書きあげ卒業。交換船で帰国、海外バタビア在勤部官府に軍属として勤務。戦後、渡辺慧、都留重人、丸山眞男、武谷三男、武田清子、鶴見和子と『思想の科学』を創刊。アメリカ哲学の紹介や大衆文化研究などのサークル活動を行う。京都大学、東京工業大学、同志社大学で教鞭をとる。60年安保改定に反対、市民グループ「声なき声の会」をつくる。六五年、ベ平連に参加。アメリカの脱走兵を支援する運動に加わる。70年、警官隊導入に反対して同志社大学教授を辞任。著書に『鶴見俊輔集』(全17巻、筑摩書房)『鶴見俊輔座談』(全10巻、晶文社)『鶴見俊輔書評集成』(全3巻、みすず書房)『戦後日本の大衆文化史』『戦後日本の精神史』(岩波書店)『アメノウズメ伝』(平凡社)ほか。

「2015年 『昭和を語る 鶴見俊輔座談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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