さち子のお助けごはん (潮文庫)

  • 潮出版社 (2020年6月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784267022487

作品紹介・あらすじ

出張料理人さち子が、依頼者の悩みを料理で解決していく笑いあり涙ありの痛快ストーリー。

大御所の小説家を喜ばせた意外なレシピ、依頼者の老いた母を元気にした魔法のスープ、
異国の来客に戸惑う両親とその息子を救った言葉……。
そんなさち子は老舗料亭「花菱」の一人娘だったが、花板である父の死によって事態は最悪の展開に。
大好きだった父の味は滅んでしまうのか──。

食堂小説で大人気の著者が、料理、そして家族を愛する全ての人に捧ぐ、渾身の連作短編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 山口恵以子さん初読み。料理にまつわる小説を数々執筆されている方という認識はあったが、山口さん自身が食堂の元調理主任というご経歴の持ち主であることを初めて知りとても腑に落ちた。

    本書の主人公は出張料理人の飯山さち子。様々な家庭に出張し作り置き用の料理からパーティー用の料理まで、依頼人の要望に応じた様々な料理をいとも簡単に作ってしまう。一般的な短編集よりも1話の長さが短く、一冊の中に全24話が収録されている。出張先の依頼人たちの話だったり、さち子自身の話だったり、手伝っている子ども食堂の話だったり、24話のうち何度も登場する人がいたり。色々な角度からの話なので、さち子が単に中年のやり手の出張料理人というだけでなく、生い立ちや育った環境、家族との関係、どのような思いを持って仕事に取り組んできているのか、どのような友人たちがいるのかが良くわかる。

    さち子のような、人間としての深みや優しさを持ち合わせ、美味しい料理をぱぱっと作れてしまう人がいたら私もぜひ頻繁に依頼したい。各話に必ず色々な料理が出てくるが、どれも本当に美味しそうで、やはり食は、心身にとりすごく大事なものだと思った。山口さんの他の作品も読んでみたい。

  • 短編集24話。出張料理人のさち子は元人気旅館の娘。
    父と母の愛のもと、いずれは自分が女将として切り盛りしていくことに疑問を持たずに育ったのはすごいと思う。旦那様との出会い、結婚まではよかったのだが、父の死後、急転直下。

    さち子に料理を依頼する理由は様々。自分たちでも頼んでもいいんだって思える。(某番組の伝説の家政婦Sさんみたい!)時々、一二三の話と同じような人が出てきたな(エリート家族の正体、とか)。

  • 飯山さちこは明治から続く老舗料亭「花菱(はなびし)」の一人娘だった。
    家政婦を経て、今は「出張料理いい山」として、依頼人の自宅に出張して料理を作っている。
    日常の作り置き、パーティー料理、病人のための特別料理など、内容はさまざま。
    依頼人のプライベートにはかかわらないを旨としているが、訪問した先で、料理にまつわる相談事は避けては通れない。
    人は様々な悩みを持ち、ときとしてゾッとすることも、ムッとすることも、ホッとすることも?

    ほとんどが、3~4分で読める掌編なので、「ひと駅で読める美味しいお話」と言ってもいい。
    さち子自身のドラマも挟み、すっきり明るい気持ちになれる最終章によって、短編集だと思っていたものが全体として一つの小説にまとまった感がある。
    料理はやはり作り慣れた人の描写。
    テレビで見る“伝説の家政婦さん”がてきぱき調理している様子が目に浮かびました。

  • 出張料理人さち子が様々な家庭に赴いて料理を作りながら、家族と食の絆を結び直してゆく物語。

    あっさりした読み心地。
    料理の描写も家族の絆も感動的なはずなんだけどさらりと私の中で流れていった。

  • 短い短編集がたくさん入っていて読みやすかった!
    さくさく読めて色々なお料理が出てきて楽しかった〜

  • 異国のお客さんでの、田舎の両親が外国人に対して偏見を持つのはそんなに悪いこと?ショック療法を受けさせなきゃいけないほど?ってのは目から鱗だったなあ。いやそりゃ偏見なんてないほうがいいに決まってはいるんだけど、ショック療法が必要かどうかはまた別の話やんな〜。

    振り込め詐欺を防ぐさち子かっこよかった。夫との離婚にグズグズしてた若い頃のエピソードからは想像もできない姿だ…

    それにしてもよく旦那のこと許せたな!?私だったら何十年経ってようと絶対許せないだろうし息子を会わせたいなんて思いもしないと思うけど……さち子もゆかりも懐広すぎん!?

  • *出張料理人さち子が、依頼者の悩みを料理で解決していく笑いあり涙ありの痛快ストーリー。
    大御所の小説家を喜ばせた意外なレシピ、依頼者の老母を元気にした魔法のスープ、異国の来客に戸惑う両親とその息子を救った言葉……。
    そんなさち子は老舗料亭「花菱」の一人娘だったが、
    花板である父の死によって事態は最悪の展開に。大好きだった父の味は滅んでしまうのか──。料理、そして家族を愛する全ての人に捧ぐ、渾身の連作短編小説*

    日清医療食品「美し国」冊子連載の掌編をまとめただけあって、一話一話がとても簡潔で短いです。
    一般的な短編集と思って読むと、ちょっと物足りないかも。

    けれど、どのお話にも美味しそうなお料理と人情がぎゅっと凝縮されていて、感銘を受けます。
    いつもより少しだけ丁寧にお料理をしたくなりました。

  • 連作超短編集。1話を3〜5分くらいで読める。
    隙間時間で読めるのはいいけれど、ちょっと物足りなく感じた。
    しかし、人間の善性をもとに組み立てられた話は、読後感が良く、続編があれば読んでみたいと思った。

  • 婚活食堂シリーズで有名な山口恵似子さんの作品。超短編の連作。
    出張料理人さち子は依頼者の悩みを料理で解決する。料亭の娘として育ち、婿養子の旦那と新婚早々に離別し、シングルマザーでもあるさち子。一冊の最後には別れた旦那も登場。
    一話ずつが短すぎ感情印入出来なかったので、やや物足りない読み応えだった。

  • さち子さんの料理の腕は最高!
    食べる人の心と体に、ピッタリと寄りそったレシピばっかり。
    真似したい物が沢山あった。
    介護食や療養食、子供食堂まで、何でも作れる。
    幕の内弁当のような人!
    「一汁一菜」「命のスープ」がでてきたので、感激。

  • 食堂のおばちゃんシリーズをよく読んでいるので、この本も長編ものかと思いきや、とても短い短編集。
    あとがきで、冊子の一話読み切り作品を集約したと知り、納得。

    色々な人の人生を垣間見れる短編集。
    人が生きていく上での悲喜交々を味わえる短編集。

    残念だなーと思うのは、食堂のおばちゃんシリーズでは、描かれたお料理の数々のレシピが本編でもわかりやすく書かれているが、こちらは、さらっと料理名が載っているだけ。
    まあ、短編だから仕方ないのだが、その点で著者の料理描写が物足りなく感じてしまったのが残念だなと。
    レシピを知ると、料理をありありと想像できるからなー。

    ラストの話は、ホッとしたというか、ああよかったなと。
    色々とあった人生だが、その色々の末の宿題に決着をつけられ、また新たに歩み出せる家族たちがとても良いなーと思ったとともに、その歩み出し方が清々しく感じた。

  • いつもの感じではあるが、短いと説教くささがやや鼻につく。料理の描きっぷりも味気ない。24話完結だから、仕方がないけれど。

  • 一話一話がとても短くて、最初は少し物足りなさもあったけど、さち子さんの人生ドラマがサイドストーリーとして描かれて、最後はいい感じにまとまり、満足感。

    おばちゃん食堂同様、料理したくなるー!

    山口恵以子さんのお人柄がわかるような、考え方だったり物事の捉え方だったり、人生も学ばせてもらってる。

  • いまいち。山口恵以子さんの作品は今まで読んだものは全て面白かったんだけど、これは…
    期待外れ

  • 少し苦い話の短編で寝る前に読むのにちょうど良かった!(^^)出張料理人の話だから、寝る前に美味しそうな料理が出てくるのは危険だ!(>.<)と思ったけれど、それぞれの家庭の人間ドラマで相殺?(^^;)最後にはさち子さん自身のドラマにも決着が…(^-^)

  • 出張料理人さち子の料理がどれもおいしそうだった。
    でも、訪問先で料理で癒すというか助けるというか、そういうのは思ったよりも薄かった気がする。
    1つ1つの作品も短かったし。
    でも、さち子のそれぞれの依頼者に向ける視線は温かい。
    さち子と元夫の話も、ずいぶんあっさりしていた。
    母や息子もなんのこだわりもなく、かつての味の再現を喜んでいて意外。
    元夫は何も語らないし。
    ううむ。
    悪くはないけど、全体に薄味に感じた。

  • 超短編で少し物足りない

  • 「食堂のおばちゃ」んシリーズの著者の短編集。一話はほんの2から3ページほどで読みやすい。話の内容も展開も面白くてサクッと読めました。

  • 短編、一話一話やや短くて読み応えがないようにも思うが反面読みやすくもある。

  • 短編で読みやすかった。たくさんのお料理を短時間で作る手際の良さがスゴすぎる。
    家事代行のサービスっていいな…。

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著者プロフィール

1958年、東京都江戸川区生まれ。早稲田大学文学部卒業。松竹シナリオ研究所で学び、脚本家を目指し、プロットライターとして活動。その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務しながら、小説の執筆に取り組む。2007年、『邪剣始末』で作家デビュー。2013年、『月下上海』で第20回松本清張賞を受賞。その他の著書に「婚活食堂」「食堂のおばちゃん」「ゆうれい居酒屋」シリーズや、『風待心中』『ゆうれい居酒屋』『恋形見』『いつでも母と』、共著に『猿と猿回し』などがある。

「2023年 『婚活食堂9』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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