本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (280ページ) / ISBN・EAN: 9784267022593
作品紹介・あらすじ
いまや世界中に広がった日本食「握り寿司」。
江戸時代に考案された酒粕から造る「粕酢」の登場が、現代まで続く寿司人気のきっかけとなった。
のちのミツカングループ創業三代、三人の又左衛門を描く歴史長編!
感想・レビュー・書評
-
現在のミツカングループの創業三代――江戸時代の3人の「又左衛門」の物語だ。
読む前は「地味な題材だなァ」と思ったものの、読んでみたらとても面白かった。
さすがに歴戦のプロ作家、事実に基づいて話を盛り上げる術を心得ている。
江戸文化に造詣の深い作者だけに、酒粕由来の「粕酢」の誕生が江戸前寿司の隆盛につながっていくまでの描写が濃密だ。
私は昔、江戸前寿司の黎明期について記事を書いたことがあり、本作にも出てくる華屋与兵衛(江戸前握り寿司の考案者)についても調べた。
なので、いっそう楽しめた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ミツカンの本社が半田にあったことに驚いた。確かにお寿司には酢が不可欠なのに、握り寿司ブームを考えるときに、酢を意識したことがなかったと改めて気づく。二百年のあいだにはさまざまな波瀾もあったわけで、小説としても面白かった。
-
2025.8 いかにもミツカンの小説ですね。人情時代劇としても面白く読めました。
-
江戸時代の酢製造業の商家の話。時代小説である。
愛知県で酒蔵を営んでいた商人一家が、アクシデントで酒が腐り、酢になってしまった。酒は上方にかなわずどう頑張っても二級品ということで、分家して酢を製造することにした。
跡継ぎが生まれずに養子をもらって学ばせたり、自然災害に見舞われたり、裏切られたり、商売や家族のいろいろな出来事を綴ってある。著者は本書の執筆にあたりかなりいろいろ調べたようだ。
出てくる人物の名前が襲名で途中で変わったり、奥さんたちの名前が似ていたり、複雑で覚えるのを途中であきらめてしまった。最初に巨大な家系図が書いてあると、面倒臭くなってしまう。厳しいことを書くと、オチがなくストーリー展開もやや陳腐。
江戸前寿司が米酢から粕酢を使うことで発展するところは興味深くて、美味しそうな握りずしの描写で食欲を刺激された。 -
「蔦重の教え」の作者だけに、この作品も圧巻の読み応え。
ミツカンの成り立ちの伝記になっている。
副題が「酢屋三代の物語」
不思議なことに、当主は他家からの養子が大きな名を残している。
元々は名古屋地区の酒蔵。
だが、いつまでも上方の酒には一歩どころか
常に値段では半額以下。
評判の悪い江戸の酒よりはマシといった評価。
酒蔵で樽が酢になってしまったことに端を発し、
もっと美味しい酢はどうしたら作れるか?
研究を重ね、酒粕から上等な酢を作ることに成功。
「粕酢」と言う名前の新しいお酢は、江戸に持っていき、人々に食べてもらうと、なんと、寿司屋から高評価。
そこから、大きく商売が変わる。
この物語は、新しい美味しい酢づくりという、大事業を成功させるまでの、歴代当主の苦労、その妻の援助を、感動的な物語に仕上げている。
著者プロフィール
車浮代の作品
本棚登録 :
感想 :
