- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784267022845
作品紹介・あらすじ
宮城県南部の町、亘理(わたり)。イチゴ栽培が盛んな地域だ。谷川晃(たにがわ・あきら)はイチゴ農家の長男。しかし、家を継ぐ気はなく東京の大学に合格、晃は2011年3月11日、アパート探しなどのために上京していた。一緒に東京に行きたいとせがんだ弟を置いて──。その弟、両親、祖父母、そして飼い犬。晃を除く家族全員があの大震災での津波に呑まれてしまった……。
あの日から9年経った今でも、まだ家族の誰一人も見つかっていない。
大学を卒業後、一旦東京で就職するも挫折し、仙台で肉体労働をする晃には、東京や仙台の人々は、もう震災の事を忘れてしまっているように感じられる。仙台で知り合った恋人の岡本美結 (おかもと・みゆ)も同じ。しかし、美結の明るさに救われているのも事実だった。つき合って2年、二人とも結婚を意識する頃だったが、晃は家族のことを考えると、どうしても、 自分だけが幸せにはなれないと、結婚に踏み出せないでいた。
そんな時、二人の前に一台のタクシーが現れる──。
ドラマ作品では描き切れなかった物語の一つ一つエピソードの詳細が、作者自らの手で鮮やか紡ぎ出されていく──。
ドラマを観た人もこれからの人も、物語の世界観を充分に堪能できること必至!
感想・レビュー・書評
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今現在も震災の傷が癒えないまま過ごしている人がたくさんいるだろう。
この物語は、いちご農家を継ぐ気は無く東京の大学に進学することになった長男…。
アパート契約で上京していた日に家族全員が津波にのまれ、8年経っても見つからず…
という流れで始まる。
同じ経験をしていない者が、何を言っても綺麗ごとに聞こえるだろう。
気持ちも上辺だけで何の支えにも手助けにもなっていないと思う。
口に出して言ってはいないが、毎日こんなモヤモヤとした思いと家族を見捨てた後悔だけあるのでは…と感じた。
だからこそ幻でもいい、家族が笑っている姿を見ればほんの少しずつでも前に進める…
気持ちも安らぐ…じゃあ、ちょっと楽しんでみようかと思えるのでは…。
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内館氏の作品かと驚いた。あまりに主人公の身勝手さが目について、本来の内館さんならばっさり切り捨てたキャラじゃないかと。残念。
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最初は興味深く読んでいたが、タクシーが登場してからは、今まで読んできた面白さが薄れてしまった。
ドラマを見ていないので、こう感じるのかもしれないけど・・・ -
怒涛の展開。泣ける。
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内館牧子っぽくない。タクジーでワープって。
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生者が死者のタクシーに乗り、別の世界に連れられて行くというフィクションにのけぞるも、そうしないと乗り越えられない壁もある。生き残ったものは幸せを繋いでいくしかない。
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本人にしかわからない。
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買って、1時間ちょっとで読み終わりました。3月11日だからでしょうか?一気にいきましたね。テレビは観ていないから、観てみたいと思いました。私が晃さんだったらどうするかな?考えてしまいました。
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東日本大震災の話しです。内館さんが実際の被災者に心遣いして書かれた気持ちが伝わります。