無形人 芦東山

  • 潮出版社 (2021年3月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784267022852

作品紹介・あらすじ

江戸時代中期、現在の岩手県一関市で生まれた芦東山。
儒学者として引き立てられるも、柔軟性に欠く性格ゆえ、学問所建設をめぐる騒動で藩に譴責され、
24 年間もの幽閉生活を送る。その間、師の室鳩巣から引き継いだ『無刑録』を著した。

《無刑録とは》
19 世紀末に欧州で確立した教育刑( 教化善導) を、100 年以上前に提唱した刑法思想書。
中国の刑律を集大成し、刑は見せしめではなく善く導くために課すべき、との東山の見解を加えたもの。

感想・レビュー・書評

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  • 江戸時代は平和な時代、武士も庶民も学問に
    目覚めて高名な学者に弟子入り・または学ぶ
    風土が芽生えていた
    本書の芦東山は儒学者であるが、人生の終盤
    24年間を流刑人として過ごしながらも大著
    「無刑録」という我が国の刑法思想の根本原
    理を説いた本で長く秘められたのち、明治の
    時代に東山の説く『刑罰は見せしめや懲らし
    めではなく人の更生にあるべき』という教育
    刑の概念が文明国としても先進的であった事
    に陸奥宗光が刊行した
    頑固者で24年棒に振った人

  • <驚>

    少し前に読んだ著者のエッセイ集『いつもの明日』にて,この本はそれはそれはしつこくw紹介されていた。いや,書いている最中の苦労話を綴っていただけで宣伝してたわけではないのですが・・・という本書に至る経緯などもあって,本が面白いかどうかについては,ハッキリ言ってあまり期待はしていなかった。

    ところがどうであろう,のっけの読み出しは決してとっつき易すくは無かったものの読み進むに連れて俄然断然面白くなって来た。やっぱり熊谷達也はストーリー・テラー・マスターだ!(”ストーリーテラー・マスター”という言い方が正しいかどうかは知らない。単なる僕の思い付きなのだから。すまぬ。)

    師曰く,これはけだし「名作」である。

    (以下蛇足なりてすまぬ。)それにしても仙台藩にはどうしてこうも「七郎」という名前が多いのだ。少し前まで僕の勤める会社に「八郎」という人がいたが,彼はその名の通り八男坊であった。兄が7人いたのだ。そっちはしごく納得できた。でも再度いうが,仙台藩にはなんで七郎と云う奴がこうも多いのだ!W(^^)/。あすまぬ,別に喧嘩売ってるわけでないので念のためw。

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著者プロフィール

1958年仙台市生まれ。東京電機大学理工学部卒業。97年「ウエンカムイの爪」で第10回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2000年に『漂泊の牙』で第19回新田次郎文学賞、04年に『邂逅の森』で第17回山本周五郎賞、第131回直木賞を受賞。宮城県気仙沼市がモデルの架空の町を舞台とする「仙河海サーガ」シリーズのほか、青春小説から歴史小説まで、幅広い作品に挑戦し続けている。近著に『我は景祐』『無刑人 芦東山』、エッセイ集『いつもの明日』などがある。

「2022年 『孤立宇宙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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