水の月

著者 :
  • 潮出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784267023439

作品紹介・あらすじ

百花と千愛は3つ違いの姉妹。両親のもと成長していたが、ある日両親が離婚する。
父の元へ引き取られた百花と、母の元へ引き取られた千愛。離れて暮らすようになって30年が過ぎ、39歳となった百花は、制作会社の契約社員として働いている。
ある日、担当している番組の百花宛に1通の手紙が届く。長らく会っていない妹・千愛からの手紙に驚きながらも、手紙の内容から千愛からのものだと確信し、返信にメールアドレスを書いておいた。
それから2人のメールのやり取りが始まる。千愛はすぐに、重大な事実を知らせる。
会えなかった間の30年の間を埋めるように、互いの辿った道を綴る。
父の再婚相手との関係がうまくいかず、早くに自立した百花。母子家庭で困窮状態にあったが、結婚を経て、1児の子育てに忙しい千愛。最初に語り合ったのは、そんな表向きのこと――。
距離が近づいていくうちに、心の底に仕舞った思いをぶつけあっていく2人。
共有できない母との思い出、途切れた時間は再びつながるのか……。

感想・レビュー・書評

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  • TV番組の最後に流れる制作スタッフの名前の中に「渡辺百花」という名前を見つけ、姉かも知れないと手紙を送った千愛。

    幼い頃に両親が離婚し、姉の百花は父と妹の千愛は母と暮らしてきた。
    この手紙を出すまでは、一切会うこともなく年月は流れていた。

    これは姉妹がメールで紡ぐ、家族の物語である。

    メールだけなのに今の状況が目に浮かぶほどリアルに書かれてある。

    最初は、近況報告だったのがそのうちに母の癌がわかり、それについての苦悩を知らせるうちに次第に胸の内までありのままに知らせるようになる。

    そして、お互いが知らなかった父のこと、母のこと、
    2人の出会いなどを知る。

    姉妹の悩みもお互いに隠すことなく打ち明けて、離れていた年月が気にならなくなるほど。

    この姉妹は、父に母にそれぞれ愛されて育てられたんだと思う。
    そして、両親は決して離れて暮らしていた子どものことも忘れていたわけではないと…。
    夫婦では上手くいかなかったけれど決して憎むべき相手ではなく、信頼してたからこそお互いの子どものことを想っていたのだろうと感じられた。

    優しくて静かな家族の物語であった。

  • 中江有里29年ぶりフルアルバム発売 小説も出版、母の死などを経て精力的に活動する“今”語る - 音楽 : 日刊スポーツ
    https://www.nikkansports.com/m/entertainment/news/202205200001106_m.html?mode=all

    Yuri Nakae Official Website - 女優・作家・歌手 中江有里のオフィシャルホームページ -
    https://yuri-nakae.com

    保坂優子のブログ | SSブログ
    https://yuko-hosaka.blog.ss-blog.jp

    水の月 | 潮出版社
    https://www.usio.co.jp/books/paperback/23287

  • 一気に読んでしまった。

    両親の離婚で幼い頃に離ればなれになった姉妹が、ひょんなことからメールでやり取りをするところから始まる物語。

    自分は一人っ子なので、想像するしかないのだが、母と叔母のやり取りなどを見ていて、こんなものかな?と思うことはある。

    それにしても俺はこの先、ひとりで両親を看取ることができるのか?最後まで面倒を見ることができるのか?甚だ疑問だ。兄弟がいてくれればな、と思わないではないが、いないものは仕方がない。

    最善を尽くすしかないですね。

    なんにせよ、非常に読後感はいい。さらりと読める良書。

  • メールのやり取りのみ、という珍しいスタイルにまずは驚きました。メールなので区切りやすくて、まとまった時間が取れなくても読み進めやすくて良かったです。次に本を開くときまで、相手の返信を待つような、そんな気分で過ごす事が出来るのも何だかワクワクしました。

    本の中で印象に残っているのは、母の携帯に残された宛先のないショートメールに対する千愛さんの「母さんの伝言はこの世に対するお礼で、感謝で祈り……、私にはそう思えます」という言葉。
    良いことも悪いことも、さまざまなことが巡る人生を全て受け入れて、しなやかに生きていく千愛さんの感性に心打たれました。

  • 非常に読みやすい本でした!

    全てがメールのやりとりで口語的、だからか、
    人が話してるのを横で聞いているかのような
    サラサラ感。

    大きな展開はなくとも、
    一つの家族の形を知ることができました。

    たらればって本当に尽きない、
    けど、それを前向きに捉えることのできる
    発想の転換や気持ちの共有の大切さ、が
    随所で表現されていました。

  • 両親の離婚により幼い頃に離れ離れになった姉妹・百花と千愛。30代後半になって初めて連絡を取り合い始まるメールのやり取り。母の闘病を契機に離れていた家族が再会し、互いを思い合う。

    ストーリーとしてはいいんだけど、全編が口語調のメールのやりとりという形式だからか、細切れだし、シリアスな場面でもどうしても軽く感じて、感情移入できない。
    あっさり読んで、あっさり終わった感じ。

  • 百花の職場に両親の離婚で離れ離れだった妹の千愛から一通の手紙が届く。
    そこから始まる二人のメールのやり取りだけで物語が進んでゆく。
    メールというと若者の(確かに二人は若いが)軽いやり取りを思い浮かべるが、そんなことはなく、二人の語る言葉に感情移入して読み進めた。
    病に倒れた母の介護から始まり、母の姉、多情な浮気症な(?)父、千愛の夫の武弘、、、人はときに空回りをしながらも繋がって生きているのだと思う。
    一人になりたい、自由になりたいと思うこともあるが、それは孤独になりたいのではない。離れていてもお互いを思う気持ちで繋がっている、そんな関係もあるのだなと。

    上手くかけないが、穏やかで静謐な月の光に照らされた様な家族の物語。

  • 幼い頃に両親の離婚により、別離を余儀なくされた姉・百花と妹・千愛の間に復活した手紙・メールのやりとりと出会い。父母を交えた30数年ぶりの4人での家族の出会いの場と、今度は病気での永遠の別れ。姉妹のメールに込められた愛情、求める気持ち、そして父母の過去の振り返りが胸にキュンとする。千愛の家族の危機も加わって重層的に話が展開していくところがまた、素晴らしかった。

  • 全編メールで紡がれた家族の物語。

    両親の離婚で離ればなれになった姉妹。
    姉の百花は父の元へ、妹の千愛は母に引き取られる。

    テレビ番組の最後に流れるエンドロールに姉の名前を見つけた事がきっかけで、二人のメール交換が始まった。

    30年という時を経たから話せる事がある。

    自分自身の事や両親の離婚の事。
    面と向かっては言いにくい事や聞けない事。

    メールだから素直に心の内を曝け出す二人。

    母の闘病で姉妹と父親の距離が再び近づいていく過程に家族の絆を感じる。

    メールの文章だけで綴られていても喜怒哀楽の表情までが浮かんで来る作品だった。

  • 両親の離婚により離れ離れになっていた姉妹。ある事がきっかけで30年振りに妹から姉に連絡が。それから姉妹のメールでのやり取りが始まる。
    始めのうちは離れていた時間を埋めるように互いの辿った道を綴るメールのやり取りが、重大な事実を知らせる内容に。
    多情な父、病気の母、父の女性関係に悩まされ、好きな人との暮らしを楽しいと感じながら独りになりたいと願う姉、夫の冷たさに寂しさを感じ離婚を考えながら、母の言葉により少し変わった夫との暮らしを続けようと考え直す妹。
    一つの家族の始まりと終わり、それぞれのその後の暮らしや思いをメールのやり取りという形で綴られた物語。

    本人たちにしかわからない感情や生き方、病気の母の看取りなど内容は重いが、メールのやり取りで物語を描く事により、出来事の一つ一つが重くならずに。あとはこちらが深読みするかしないか。

    兄弟姉妹は他人の始まりだと個人的には考えているが、素直に気持ちが話せるこの姉妹は少し羨ましかったかな。

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著者プロフィール

俳優、作家、歌手。1973年大阪生まれ。89年芸能界にデビューし、数多くのTVドラマ、映画に出演。俳優業と並行して脚本の執筆を始め、2002年「納豆ウドン」で第23回「NHK大阪ラジオドラマ脚本懸賞」最高賞受賞。06年には第一作となる小説『結婚写真』を刊行し、小説、エッセイ、書評など文筆活動も積極的に行う。NHK-BS『週刊ブックレビュー』で長年司会を務めた。NHK朝の連続テレビ小説『走らんか!』ヒロイン、映画『学校』、『風の歌が聴きたい』などに出演。近著に『万葉と沙羅』(文藝春秋)、『残りものには、過去がある』(新潮文庫)、『水の月』(潮出版社)など。文化庁文化審議会委員。19年より歌手活動再開。

「2023年 『北條民雄『いのちの初夜』 2023年2月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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